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Hello, Variants (2)

Note-“獣”

・バールフ(bear-wolf):熊のような外見に狼の頭を持つ,体長1~2mの牙獣種。肉食。5、6頭の群れを率いるのは、体長2.5~4mほどの大柄な同種である。自分と同程度かそれ以上のサイズの草食獣の群れを襲う。体毛は柔らかいが独特の獣臭をどうにかしなければ加工しても使いたくない。また、夜目もきく。

 丁寧な手入れを受けた武器と防具を手に、ギルの手配した荷馬車に彼と向かい合うように乗り込む。中には銃器用の弾薬が積まれた大きめの木箱や砥石、大量の地図の他に、ハンティストクラブ(ハンティストの免許発行から、狩りに必要な支給品の手配まで行ってくれる組織だ)から支給されたであろう近接戦闘用武器の替えの刃が入っていた。だが、切れ味は良いとは言えずそもそもこの刃では型が違うので私の柄には入らない。

 私の剣は、「切れ味を出すために刃を鋭くすると刃こぼれしやすくなる」という、鍛冶屋の長年の悩みを解決するべく私の父が考案したものだ。柄と刀身を着脱式にすることで刃こぼれしても次の刃で攻撃できるようになっているため、従来品より高い切れ味を実現できた(資源だって無限にあるわけではないので限界まで切れ味を優先したわけではないが)……が、替刃の携行に伴い重量が激増する上、大剣や大太刀などは替刃を用意しても装填に時間がかかるため、刀身が短い武器を使うハンターにしか需要はなかった。

 ギルは地図の山から今回の討伐対象の住処である渓流付近の山の地図を取り出し、私に作戦を説明し始めた。

「斥候によると、奴らはこの山の中腹にある洞窟に住んでいるらしい。そこで今回の“バールフ討伐作戦”では、俺と嬢さ……ハインケスさんの少数精鋭で奴らの巣を襲撃する。洞窟内に侵入し、このギロチンで寝首を掻くのさ」

 先遣隊などいつ手配したんだか……若干疑問に思うが、それよりも。

「作戦の段取りはわかりました。しかし、対象のすぐ横でギロチンを組み立てている間に、対象が気づく場合も考えられますよね」

 私がそう訊くと、ギルは少し驚いたような顔をしていた。──まさか想定してなかったのか?予備プランほど綿密に練っておくものだろう……。というか、ほかの街からハンィストを呼ぶほどの依頼なのになんで予備がないんだ。今まではゴリ押しで討伐してたのかよ。

 しばしの沈黙の間、荷馬車がゴトゴトと私を揺する。傾き具合からもう山道に入ったことに気づく、と同時にギルが口を開いた。

「ああ……、それなんだが、まあ、あれだ。『臨機応変に対応せよ』ってことでよ」

 いや「ガッハッハ」じゃない。豪快に笑ってもダメだ。それだけ信頼されているとおもえるほど、私はポジティブ思考じゃないぞ……。などと一人でツッコミを入れていると、ギルが装備の確認を始めた。ああ、もう作戦は「臨機応変」で決定なのか。

 聞こえないように吐息を漏らしつつ、私も支給品と装備を確認する。支給品ボックスの中身は……火炎瓶が1本。対象に張り付き、染色済みの細かい粉塵を吹き出し続けて対象の痕跡を残すカラーボールが5つ。携帯食料と即効性の高い治癒薬がそれぞれ手のひらサイズの小瓶に2本か。ここのクラブが金欠なのかは知らないが、もう少しあっていいと思う……いや、支給してもらえるだけありがたいか。それぞれをポーチに分けて入れ、腰のベルトに結ぶ。

 持参した装備は、ほとんど父のものだ。防具は父が使っていたものだが素材はよくわからない。おそらく“獣”の一種なのだろうが、加工済みでは見当もつかない。なめした革に、白銀に輝く鱗を接着した鎧。武器は剣の柄が1対に、替刃が3対。太ももに携えた鞘に装填する。

 この鞘は脚の付け根から膝までのサイズの箱の様になっていて、脚の付け根から10cmの所を軸に鞘が体の前側に傾くようになっている。柄を接続部分に差し込んで刀身は柄にあるスイッチでしか抜けなくなる仕組みだ。ちゃんと一定の手順通りでないと素手では鞘からは抜けないため、勝手に抜け落ちることもない。

 それと「フラッシュバン・グレネード」──野球ボールくらいのサイズの言わずと知れた非殺傷グレネードだ。洞窟になれた“獣”の瞳孔には痛手になるはずだし、少し多いが3個袋に詰める。視線を袋からギルに移すと、やはり彼は背負っていた大剣を使用するらしい。鋼の刃が、断面が細いV字になる革製の鞘に収められていて、鉱石で作られたらしい甲冑と共に月光をギラギラと反射している。彼は小型の投げナイフと三脚の小鍋を持参してきたようだが、それ以外は私とほとんどかわらないようだ。

 若干ボーッと、単調な振動に身を任せてウトウトしていた。ぼやけた意識が飛ぶ寸前、ギルに呼ばれた。

「起きてくれハインケスさん、時間が来たぜ」

 ……そういえば、斥候達とあわなかったな。別ルートでかえったのだろうか……


  ***


 ──反省として、ターゲットの情報収集を怠ったことが、私の敗因と言えるだろう。

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