時刻 四時四十四分
ジリリリリ!!
目覚ましがなる朝、4:44。
おかしいな...4:30に設定したはずなのに。
.....まぁいいや。
今日は生徒会が外回りに出て、児童館の手伝いをする日。
僕はお化け屋敷の受付だ。
「お名前お願いします」
「はい。」
......
「ねぇ、アイツ暗くね?」
...というヒソヒソ話。
暗いと言われることには慣れている。先生にすら言われる程だ。
生徒会室でも居場所を失っていた。
先輩達は優しく接してくれるが、それに明るく返すことが出来ない。
目上の人に明るく接するのに慣れてない。
それどころか同級生ですら敬語。
...帰ろ。あったかハイムが待っt((ry
腕時計を見ると針は4:40を指す。学校を出て結構経ったな...
すると後ろからコツ....コツ....と足音が聞こえてくる。
最初は普通の通行人だと思った。
しかし人通りが減る道でもコツ....コツ....という音は止まらない。
額には冷や汗が走る。
...逃げろ.....!
50m5秒の本気!今こそ...!
コツ..コツ、コツ、コツコツコツ、タッタッタッタッタッ!!
後ろの足音も少しずつ速くなる!
ふと時計を見ると4:44...命の危機を感じた。
とにかく死ぬ気で逃げなきゃ...!!
ハァ...ハァ...ハァ......
気づくと足音は消えていた。
...逃げ切った......
........ここどこ?
まぁ確かに本気で5分も走ったら知らないところに出る。
しかたない、交番を探そう...
それからかれこれ30分は経っただろうか。
交番どころか、人間の姿が全く見られない。
何時間と歩いた。誰1人と人とすれ違わない。だんだん怖くなってきた。
そうだ、地図帳に地方の地図があったはず...!
東京都八王子市〇〇町...ここだ!
なんだ、家はすぐ近くだ!
そして、道なりに進んでいった。
僕は無事、家へ辿り着けたのだ。
「ただいまぁ」
........
居ないのかな?....鍵は開いていたし...
取り敢えず荷物を置き、着替えて外に出る。
今は冬、辺りは暗くなっているはずなのだが...
空は昼間の様に....いや、"夢の世界の空"の様に、虹色になっていた。
何これ、夢...?
人は居ない、車も走らない、鳥も飛ばない、虫も居ない。
自分以外...何も居ない。
「まだ気づかないの?私の存在に。」
「...!?」
少し前には何も無かったその場所には1人の見知らぬ少女が立っていた。
「...君は...?」
「名を名乗る程ではない。閻魔大王からの伝言を伝えに来ただけだ。」
「閻魔...大王...?」
「君は四時四十四分にある角を曲がった。その時点で君の未来は決まってしまった。」
......?
「君はその時点で、氏ぬ運命にあったんだ。」
「....は.....ハハハ....何を言ってるんだ、冗談はよしてくれよ...」
「冗談じゃないよ、君、足、見てみ?」
「.....!?半透明に....!?」
「氏ぬ直前、もしくは現実世界で氏んでしまった人間は1度此処へ送られ、その時を待つんだ。事故とかの後の行方不明はこれが原因。」
そんな....嫌だ、まだ死にたくない!!
もう足は完全に消えていた。
「てことで、閻魔様が仕分ける時にまた会えるかもね。じゃ。」
「待て!!まだ!!まだ死にたくない!!」
「...人間は1度運命が決まれば変えることは出来ない。諦めな。」
そう言うと少女(?)は空へ去っていった。
...氏ぬんだ。
......まだ、やり残した事、数えられない程あるのに。
..........
.......
...サヨナラ
気づけば見えるのは顔までになっていた。
...そんな時、死神が現れた。
「...誰」
「ま、人間からみる死神ってやつ?」
「...時間が来たのか」
「いやぁ、俺は君に寿命を預けに来たのさ。」
「...死神なのに寿命を...?」
「俺が君に50年の寿命をやる。しかし、その寿命の二倍、"100年"を、君の子孫に払って貰うことになる。」
俺は何も考えず、「YES」と答えた。
死神はクックックッと笑うと、「ご利用ありがとうございます」、と不気味な笑顔で言ったと思うと、気がつけば僕は家の前にいた。
...生きてる...?
「生きてる!!」
「はいはい、分かったから早く乗りなさい」
お母さんだ。どうやら高速道を通って祖父母の家へ行く日のようだ。
ウキウキしながら車に乗る。
...反対車線から車が突っ込んできた。
...また同じ場所。生物が居ない、虹色の空の世界。
「え、もう氏んじゃったの?」
死神だ。
「...元から少しの寿命を与えて糠喜びさせただけじゃないのか?」
「そんな事ないサ、ちゃんと50年の寿命は与えましたよ。君の運の悪さですね。」
「....ふざけるなああああああ!!!」
「もう君に私に対抗する力は残っていない。でも....
寿命、どうやって返す気?」
......は?
「そんなの...援助してくれるんだろ.....?」
「そんなバカな。ちゃんと払ってもらいますよ、100年の寿命。」
「....どうやってだよ」
「寿命の借りがある人間は地獄の滞在時間が長いとか。それで許しましょう。」
「そんな...100年だと...いくらプラスなんだよ」
「まぁ...百万年?」
................嘘だろ.......?
「仕分けの時間だ、こちらを向け。」