初恋
中学に入って、気になる女の子ができた。
登校するとき、毎朝目にする、
小柄で 大人しそうな 女の子。
決して可愛い顔ではないけれど、
なんか、好き。
しばらくして
持ち物がださいとか
運動ができないとか
みんな僕を除け者にし始めた。
悲しかったけど、平気だよ。
クラスは違うけれど
毎朝あの子に会えるなら
一人ぼっちでも、学校は楽園。
話したことない彼女へ
想いは、ただ 加速する。
ある日、彼女が僕のクラスへやって来た。
友達に教科書を借りに来たようだ。
声が小さい。
もっと聞きたい。
あんたが忘れ物するなんて珍しいねと言われ、
こぼれる、控え目な照れ笑い。
決して可愛くはない。
でも、
一人ぼっちの机から
まじまじと彼女を見つめた。
目が合う。
思わずドキッとした。
視線を友達に向け直す彼女。
僕は彼女をまだ見つめている。
「あいつこのクラスだったんだ。なんかキモいよね」
やっと彼女の声をはっきり聞けた。
またうつ伏せになって、寝てるフリを再開する僕の
そんな、初恋。