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性欲と愛と悲しさと

作者: P4rn0s
掲載日:2025/12/13

好きとか愛しているとか、そんな重たい言葉の前に、寄り添われるだけで満たされる夜があった。

一度知ってしまった安心感は、思ったよりも甘くて、同時にえげつないほど後を引く。


誰かの腕の中で眠れるという事実は、私の自尊心をほんの少しだけ柔らかくしてくれる。

「私はまだ大丈夫だ」とか、「必要とされているんじゃないか」とか、そういう勘違いを簡単に生んでくれる。

分かっているのに、やめられない。


その気になれば、寂しい夜を埋めてくれる相手はいる。

名前も性格も深く知らないまま、体温だけで互いをごまかし合う関係。

そこに愛がないことぐらい、最初から知っている。


でも人は、知っているからといって止まれるわけじゃない。

「たくさんの人と関わって得るものもある」なんて、都合のいい言い訳を口の中で転がしながら、私はまた誰かの部屋に向かう。

そんな自分を嫌いになりきれないのが、一番情けない。


優しさだと思っていたものは、相手を傷つけないためじゃなくて、自分が嫌われないための保険だった。

求められる私は、自信を少し取り戻す。

抱きしめられる私は、誰かにとって意味のある存在に見える。


だけど、そこに愛はない。

あるはずがない。


そして気づく。

私は、満たされたいんじゃなくて、確認したいだけなんだ。

まだ誰かに触れてもらえる価値があると思いたいだけなんだ。


そんなことを知ってしまった夜ほど、静かで苦しいものはない。

明かりを消した部屋で、私だけが目を開けている。

横で寝息を立てる相手は、明日にはもう私のことを曖昧にしか思い出さないだろう。

それでいいはずなのに、胸の奥がひどく痛む。


抜け出さなきゃいけないと分かっている。

こんなところに本当の愛が落ちているわけがないことも、とうの昔に理解している。

だけど、私の足は動かない。


だって、誰かに触れられない夜の私は、とても脆くて、とても孤独で、とても自信がない。

誰かの腕に逃げ込むことで、辛うじて自分を保っている。


こうして今日もまた、私は新しい夜を迎える。

抜け出したい。

でも、手放したくない。


そんな矛盾を抱えたまま、私はまだ愛を探していないふりをして、誰かの体温に逃げ込んでしまう。

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