第95話 いつから、桜妃と煌蔣は仲良くなったんだ?
しばらく、科挙試験の話をした。具体的な試験内容やその場で起こったこと、冬嵐との言い争いなどなどを話す。
「貴族の息子がお金を積んだら、科挙試験を替え玉が受けたり、そのほとんどが、合格しているのも事実」
「殿下は、どう思いますか?」
「本来なら、受かっていてもよいものが試験を落ち、到底通らない無能が皇宮にいるということだろう? 科挙をする意味があるのか……。女性の科挙試験の受験に対してもかなりの反対もあったが、自身の子がと思うところがあるのだろう。なんとも情けない話だ。これでは、皇宮の腐敗は進むばかりだ」
私はひと月の間、皇太子を間近で見てきたので、この意見を普通に言えることを知っているが、噂話と違う皇太子に驚く連珠と斉。小さくそれぞれが声を出していて、父が咳ばらいをした。
「いずれにしろ、桜妃が合格したうえで、順位が良ければ、父も科挙における不正などを見直さないといけなくなるだろう」
「そうだといいですけど……そういわれると、少し、自信を無くしそうです」
私は、試験場で写してきた答案を皇太子と煌蔣、父に見えるように机に広げた。それを三人がじっくり読んでいた。どうやら、この三人からは合格点をくれる解答になっているようで、「よくやった」と皇太子が褒めてくれる。
「当日を楽しみにしている。ところで、先ほど、試験場でのことの中に、冬嵐という人物がいたようだが?」
「……私の幼馴染です。怜冬嵐」
「あぁ、怜家のか。状元だと噂されている。それほどできるのか?」
「えぇ、それはお墨付きですよ」
「冬嵐殿とは、あれから会っていなかったのか?」
ふいに煌蔣が話に割って入ってきた。実はさっきも冬嵐の話を少ししていたが、気になったようだ。
「会っていません。お互い、科挙の勉強で忙しかったですし、女性官吏なんて認めないって言われてしまいました」
「言われてしまいましたって……国が決めたことだろうに」
「そうですね。でも、私の実力は知っているので、科挙に合格するとは思っていないのかもしれません」
「桜妃、それは逆だと思う。冬嵐は、桜妃のことを知っているからこそ、そういったんじゃないか?」
「煌蔣様、それはないと思います」
「……煌蔣様? いつから、桜妃と煌蔣は仲良くなったんだ?」
皇太子の言葉に視線を交わすと、皇太子が胸ポケットから何かを取り出した。赤い封筒に一同の視線が集まった。それを父に渡そうとするが、父は大きなため息だけついて、首を横に振っただけだった。




