第65話 運命で繋がっているなら
私の部屋に向かうと、部屋の中で連珠が待っていてくれた。何故か、部屋の中をうろうろと歩き回っているので、「連珠」と声をかける。驚いたように少し飛び上がった。
「お嬢様!」
「どうしたの?」
「いえ、席を外すように言われたので、その気になってしまって……」
「ごめんね。少し、お父様と二人で話したかっただけだから、気にしなくていいよ」
「わかりました」と落ち着いた連珠は、私にお茶の用意をしてくれるようだった。私は、机に向かう。
「お嬢様、旦那様とは、ゆっくりお話ができましたか?」
「うん、おかげさまでね。そうだ、連珠」
「何でしょうか?」
「数日以内に、旅に出る準備をしてほしいの」
私の言葉に、後宮へ戻るのかと身構える連珠だが、「領地へ帰るの」というと、少しほっとしたような表情をした。連珠も領地出身であるので、帰ると言えば、ついてきてほしいと言うと、「もちろんです!」と言ってくれた。
「久しぶりですね? 領地へ向かうのは」
「そうね。去年は、何かと忙しかったから行かなかったし……、お母様たち、怒っていないかしら?」
「それはないかと思います。奥様はとても優しい方でしたから」
「そうね。そうだ、半年くらいは向こうで暮らすことになるから、そのつもりで準備をしてほしいの」
「何かあったのですか?」
「うん、そうだね。今は言わないでおくわ。領地へ向かう途中で話すから、少しだけ待ってちょうだい」
優しく微笑みながら、うなずく連珠。私のお姉さんは、どうやら、いろいろと思うところがあるらしい。「連珠」と呼びかけると、近くまで来てくれる。子どものころから、私の面倒を見てくれていたので、もしかしたら、父より連珠の方が私のことをよく知っているのかもしれない。
「そういえば、『三々』様には会えました?」
「うん、会えたよ。やっぱり、煌蔣殿下だった」
「えっ? 第三皇子……だったのですか? 私、私……なんてことをしたのでしょう!」
「ふふっ、いいよ。殿下も私も気にしていないから。連珠は気にしなくていいんだよ」
「でも……」
「運命で繋がっているなら、別れていても、そのうち繋がっていくものよ。何がきっかけでそうなるかはわからないけど、今回は殿下が持っていてくれた匂い袋と連珠がしまっておいてくれたこの簪が繋げてくれた。とはいえ、まだ、私は殿下に相応しくないから、これからもうんとがんばらないといけないのよ!」
私は連珠に、手紙を書くから用意してほしいと頼むと、そそくさと準備をしてくれる。整ったころには、私は手紙の内容を考え終わっていた。
手紙を送る人物は3人。それぞれのことを思い浮かべ、私は筆を取った。




