表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
芳桜妃伝 〜 お仕事妃は、夢叶える 〜  作者: 悠月 星花


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/97

第49話 芳家の令嬢との約束っていうのは

 私は胸を押さえる。どうしてか苦しくなり、泣きたい気分になった。涙を見せるわけにもいかず、少しの間、下唇を噛んでやり過ごす。

 そのしぐさを見て、煌蔣が「ほら、桜妃が何かを我慢している」と斎に説明をしていた。


「そ、そんなことはありませんよ!」

「桜妃のことは、なんだってわかるよ。私は、ずっと、桜妃のことを見ていたのだから。仕草一つで、どんなことを考えているのかくらい、想像ができる」


 私は、煌蔣の言葉に微妙な微笑みだけを返す。そうしないと、次の言葉を出すことができそうもなかったからだ。


「……殿下は、私との約束を、その、覚えていたのですか?」

「もちろんだよ。ひと時も忘れたことなんてなかった。私が生きる理由の一つだったからね」

「主、聞いてもいいですか?」

「なんでも、聞いて。今更、隠す必要もないだろう?」


 斎が煌蔣に疑問を投げつけるらしい。私が、躊躇って言えなかったことを。喉元まで出かかっては、言葉にならなかったことを聞いてくれるらしい。


 ……私を妻として娶るという約束。


「芳家の令嬢との約束っていうのは、一体何だったですか?」

「知りたい?」

「……ここまで聞いていたら、最後まで知りたいですけど? 話したくないなら、構いませんよ」


 軽い口調で、斉は言っているし、煌蔣も同じように感じた。私だけが、躊躇していることに、虚しさすら感じた。忘れていた私も悪いのだから、仕方がない。


「いいよ。教える。幼いころから、桜妃を妻として娶りたいと考えていたんだ。もちろん、一方的なものではなく、桜妃も私のことを愛してくれていると思っていたからね。幼さとは、何とも浅知恵なのか」

「主は、芳家の令嬢が好きだということか?」

「まぁ、端的に言えばそうなる。でも、桜妃の傍には、今、兄上もいるし、幼馴染の怜冬嵐がいる。怜家の令息は、今年の科挙を主席であろうともっぱらの噂だぞ?」

「なるほど、なるほど。なかなかおもしろい展開ではありませんか? 主!」


 恋愛など興味はありませんというふうな斉の雰囲気からは、図り知れなかったのだが、興味津々という風に、煌蔣と私を交互に見た。


「おもしろい? どこがだ? 私は全く面白くない。兄上が関わっていて、怜家の令息だとか、あとから出てきたやつらが、桜妃の婿候補なんて、面白いわけがないだろう?」

「……えっと、殿下?」

「そもそも、桜妃と先に約束を交わしたのは私であって、ポッと出の兄上なんて、まず、論外なはずなのに、今日、父上に聞いたら、兄上は桜妃との婚礼を望んでいると言っているらしい」

「それは、それは……、だから、主はこの上なく不機嫌で帰ってきたのですね? まぁ、芳家の令嬢が誰を選んだとしても、主以上の逸材はいないと思いますけどね? 皇太子がなんですか? 怜家の令息? どっちも、主には敵わないでしょう?」


 斉が自信満々に胸を張って煌蔣を自慢しているなか、私は目の前での会話についていけない。いや、ついて行ってはいたが、情報量が多くて、目を白黒させるしかなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ