第五話 〜周りの意見〜
第一節 小さな変化
担任の先生が太陽に意見を求めた後に続く沈黙…
その沈黙を破ったのは雪だった
「先生、太陽はイジメに近い仕打ちを受けて来たんですよ
それなのに〝いじってた連中〟がいる所で本音で話せるとは思えないんだけど?」
それを聞いた担任は少し考えてから
「確かに言われたらそうだな…」
と呟きながら納得した表情を浮かべる
〝それ〟を確認し、雪は
「それから雪!
太陽がクラスメイト全員から酷いことされていたとしても、みんながみんな〝酷いことしよう〟としていた訳じゃないだろ?」
と雪に言った後、そのまま紅葉の方を向き
「紅葉も誰が見ても〝悪い事〟を〝悪い事〟だと理解してない連中の〝謝罪〟だけで、解決出来ると思うの?」
と投げかけた
もちろんその会話を聞いていた〝いじり連中〟は
「なにそれ、雪も私らが悪いって言いたいの」
と反論を始める
しかしそれに対して雪は
「人を傷つける事しておいて〝私らが悪いって言いたいの〟なんて言葉が出てくる時点で、俺からしたら反省してるとは思えないけど…
反論あるなら受け付けるけど、君らがしてた事を考えたら俺も謝罪だけで許す気にはなれないよ?
なんなら雪と同じで君らの人生めちゃくちゃにして、二度と家の外に出れないようにしてやりたいよ
そしたら君らの顔を二度と見なくていいしね…
そうしないのはね、一応これでも〝クラスメイト〟だからだよ
まー君らと俺の関係なんて〝それだけ〟だけど」
と〝いじり連中〟に冷たい目線を向けながら答える
それを見ていた〝クラスメイト全員〟は、それ以降反論をしなくなった
多分それは感覚的に悟ったのだろう
雪が冷静な雰囲気の奥に光らせてる〝殺気〟に近いクラスメイトへの冷徹な眼差しを…
実際に雪からしてみれば、会話からも分かる様にただの〝クラスメイト〟なのだ
〝そこ〟に情など湧く訳ない
つまりは皆して分かってしまったのだろう
このクラスメイトで雪が一番クラスに興味が無い事を…
同時に敵に回してはいけない部類の人間である事を…
「とりあえず、俺はまず初めに太陽に対して心から謝る事は当たり前だと思うから、そこは紅葉の意見に賛成だよ
でもそれだけで終わらせるのは違うと思うけど…
ただ戒めも含めてなんらかの〝ケジメ〟は必要だと思う
雪みたいに、やり過ぎな意見はアレだけど、先生にその辺は決めてもらうのが一番だと思うんだ?
これが俺の妥協案、もちろん心からクラスメイトが謝罪しなければこの話は無しだけど…」
とスラスラとこの問題に対して、今考えられる範囲の最善の解決案を〝クラスにいる全員〟に雪は提案する
それに対して〝クラスにいる全員〟は、反論する事を出来なかった
そんな中、一人の女の子が手を挙げる
それに気がついた担任の先生が
「何か意見があるのか」
と問いかけると軽く頷く
彼女の名前は秋雨 冬
大人しくて笑顔の絶えない子だが、心から笑っている姿を見た事がない不思議な子だった
そんな子がこの空気の中で手を挙げたことに〝クラス全員〟も驚きを隠せない様子である
冬は深呼吸をして気持ちを落ち着けると
「私は、、、〝いじり〟に参加したメンバー全員がちゃんと、、、ケジメをつけるべきだと、、、思う」
と少し詰まりながらも弱々しく答えた
それを聞いて、反論したのは〝いじり連中〟である
「ふざけるなよ、いじってたからって何で俺らがケジメを付ける必要あるんだよ〜」
「そうよ、もしケジメ付けないといけないなら、見て見ぬふりしてたクラス全員も同罪でしょ」
と冬を責め始める
それにビクつく冬の姿を見て〝いじり連中〟の間に割って入るように雪が声を上げた
「お前ら言い過ぎな?秋雨もそれぐらいは分かって言ってるだろ
だから〝いじりに参加したメンバー全員〟って言ってたんだよ?
〝彼らに〟とか〝やってた本人たちは〟って言ってたら、お前たちだけ〝悪者〟にも出来たのに、、、
それをしないのは〝秋雨が優しいから〟って事は分かってるの?
それにこの空気の中〝勇気を出して発言〟したのに、否定するだけのお前たちは何なの」
そう言われて〝いじり連中〟は口を噤む
その姿を見ていた〝冬と同じ中学〟の花咲優が
「そうよ、冬の言う通り、私たちも含めてケジメは付けるべきだわ!
それだけの事を私たちはして来たんだから…」
と何か含みのあるような口調で答えた
その発言に呼応する形で、周りの人たちも口々に声をあげ始める
そんな中、クラスの一人が
「そうだ、僕らだって太陽を避けたりしたし、ひどい時はグーで殴った事もある
それについて詫びるだけなんておかしいよ!
僕らはケジメを付けるべきだよ!」
と〝いじり連中〟に自分たちのしてきた事が〝心から悪い事〟だと認め始めたのだ
それに対して〝いじり連中〟の一人が
「たしかに悪いことはしたとは思うけどさぁ、それはやっくんがやってたからで」
と〝いじり連中〟の後ろに座る彼に〝様子を伺う様に〟視線を移す
それに同調するように他の〝いじり連中〟も〝彼に命令されてした事だ〟などと〝言いにくそうに〟発言しながらも彼に視線を送る
一方その〝やっくん〟と言われた彼はというと、いつものように教室の隅に座っていた




