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運命を変える者たち  作者: 紳羅 修羅
第一章 少年
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第三話 〜叔父さん夫婦〜

第一節 不運な運命

「ピンポーン」


太陽そらはそんなインターホンの音で目がさめた

寝起きのせいで頭が回っていない状態なのか、ゆっくりと玄関へ出ると、そこには昨日話をした桜野刑事が立っていた


「おはよう太陽そらくん、今大丈夫かな」


と問いかける桜野刑事に寝起きの太陽そら


「はい、、、どうぞ」


と目をこすりながら眠たそうに欠伸をして手を伸ばす


「取り敢えず居間の方で待っててもらえますか」


と言いながら少しずつ頭が起きてきたのか、自分の部屋に着替えをしに戻る

着替えを終える頃には完全に目が覚めたようだ

居間に入ると座って待っていた桜野刑事が再び


「おはよう、こんな早くきて申し訳ない」


と挨拶をする

太陽そらはすぐに


「おはようございます、桜野刑事

ところで今日は昨日の続きですか」


と挨拶を返した後、確認をする様に尋ねる

それに対して桜野刑事は


「そう、その話についてだよ」


と落ち着いた様子で答えた

それに対して太陽そら


「そうでしたか、、、」


と言いながらテーブルの上に目を向ける

太陽そらの中で、いつもお兄さんがご飯を用意してくれていた〝あの光景〟が頭をよぎる…

どうやら思っていたよりも、お兄さんには世話になっていたらしい

太陽そらはそんな気持ちを切り替え、話を始めた




まず初めに太陽そら


「それで一体今日はなんの話ですか?」


と話の内容について問いかけた

その問いに桜野刑事は


「今日は身元引き受け人について話をしに来たんだ」


と切りだす

そう太陽そらの身元引き受け人は両親を失ったあの日から、一緒に暮らしていたお兄さんだった

そのお兄さんがいなくなったのだから、今は身元引き受け人がいない状態なのである


「そうですね、、、どうしたらいいんでしょうか?

どうやら僕は周りからは気味悪がられていますから」


と言う太陽そらに対して桜野刑事は〝これを見てもらえるかな〟と言う風に資料を目の前に置く

資料には親戚の人の名前が書いてあった

それを見ながら太陽そら


「これは?」


と疑問を問いかける


「これは連絡がついた太陽そら君の親戚の人で、身元引き受け人になってもいいと言ってくれた人だよ」


と言われて少し驚いた表現を浮かべる

だいたい十名ぐらいの名前が記載されている

どうやらあの葬儀で太陽そらの事を、申し訳なさそうな表情で見ていた人が立候補してくれたらしい


「どうかな、この中で仲の良かった人がいたりしたら、その人に頼んでみるのは」


といわれて少し考える太陽そらは不意に


「そうですね、、、

親戚の人なんて葬儀で会っただけで、全然詳しく知りませんので…

もしよろしければ決めてもらえませんか?」


と言った

しかし桜野刑事は


「これは君のことだから、君が決めないとダメだと思う!」


と言い返された

それでも本当に〝知らない人を選べ〟と言われても困るらしく、太陽そらのそんな困った表情が伝わったのか


「わかった!こちらで決めよう

もし何かあったらすぐに相談してくれ!

あと何か条件みたいなのがあるか?」


と明るく答える

それを聞いてすぐに太陽そら


「ありがとうございます!それでしたら…」


とお礼を言いながら少し考えて


「僕、、、ここは離れたくないので、一緒に暮らしてくれる人がいいです」


と真剣な感じに言った

そんな真剣な姿から何かを察したのか


「わかった、それを踏まえて探してみるよ」


と桜野刑事は言った




それから二日後お兄さんの代わりに、叔父さん夫婦が引っ越してきた

また今日から新しい日々が始まる


叔父さん夫婦の引っ越しの準備が終わると、様子を見にきていた桜野刑事は仕事が残っているのか、軽い挨拶をして帰っていた


桜野刑事が去って一週間は流石に慣れない環境の変化に、戸惑いながらも叔父さん夫婦とは仲良く暮らしていた


そんな一週間が過ぎたある日だった


〝ばちん〟


太陽そらは今、ほっぺたを叔母さんに叩かれていた

理由は会話を全くしない太陽そらが〝気味が悪い〟から、、、ただそれだけだった


叩かれた事に恐怖を感じた太陽そらは、叔父さんに助けを求めて駆け寄る

すると太陽そらを優しく抱きかかえて叩かれた痕を優しく撫でる

そして、、、


「顔は叩いたらダメだろ、見つかったら厄介だ」


と、とても冷たい声が太陽そらの耳に聞こえる

その会話を聞いた太陽そらは、ただひたすらこの二人に恐怖を感じるのだった

そのあと叔父さんが


「いいかい、さっきの事もこれからの事も誰にも話してはいけないよ、いいね」


とすごい不敵な笑みを浮かべて言ったその姿に、太陽そらは初めて心の底から恐怖を感じた

恐怖で声がでなかった事で返事ができずにいると

返事がなかった事に腹を立てたのか、顔色を変えた叔父さんがお腹を一発殴る


〝痛い痛い痛い痛い〟


〝…すごく痛い、でも何で叔父さんも殴るんだ…〟


そんな訳の分からない事が太陽そらの頭の中を染める

そんな痛みを感じながら、叔父さんが次に殴ろうと振り上げた拳を見て必死に声を出した


「ご、ごめん、ごめんなさい

言わない、言わないから、殴ら、ないで」


すごく震えているその声に


「わかればいいんだよ」


と優しく笑顔で抱きしめられる

この飴と鞭を知った太陽そらは〝この人には逆らえない〟そう悟るのだった

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