第六話 〜六番目〜
第三節 七つの都市伝説
「じゃあ最後に六番目の噂について話すね」
そう笑顔を見せて答える
それを聞いて、そういえばまだ一つ噂が残っていた事を思い出す
太陽はすぐにその会話に合わせるように
「そうだったな、聞かせてくれよ」
と雪に答える
それを聞いて
「えーとね、六番目の噂・・・
えーと、噂わね・・・」
と雪は話し始めるが何か様子がおかしい
次の瞬間、涙を流しいきなり
「うぁーん」
と大きな声で鳴き始める
周りの迷惑を考える暇もなく〝悲しい事を世界に伝えようとする〟ほどの大きな声で泣き始めた
太陽と雪はこの雪の状態を知っている〝あの癖〟が出たのだ
そう、さっき言ったあの〝忘れる癖〟である
こうなるとかなり対応に困る
そんな太陽達の事をよそに泣き続ける雪は
「うぁーん六、六番目の、噂、わかんなくなっちゃったよー」
と泣いているせいか、つっかえながら答える
しかも自分で答えて余計に悲しくなって、さっきよりも大きな声で鳴き始めた
セーターの下を両手で掴み、空を見上げて大粒の涙を流しながら泣き止みそうにない
その姿はまるで〝迷子の子どもが泣き叫ぶ〟ようだった
そんな雪の状態の対応に困っている太陽の横で、雪は携帯を取り出し何かを調べ始める
そして何かを調べ終えると雪に画面を見せて
「落ち着け雪
七つの都市伝説ならこうしてまた、調べたら思い出せるだろ
ほら、調べたら出てくるから、そんなに泣かなくていいんだよ」
と答える
それを聞いて雪は携帯を雪から、ぐずりながら受け取ると目に涙を浮かべたまま、ようやく泣き止んだ
受け取りすこし落ち着くと、携帯画面を見るためにセーターの袖で涙を拭きとった
数分後すっかりと泣き止んだ雪は
「さっきはごめんね
もう思い出したから大丈夫だよ」
と笑顔を見せながら答えた
そのままの流れで雪は答え始める
「それじゃあ、改めまして
六番目の噂〝必ず死ねる山上の崖〟について
話したいと思います」
そう話し始める雪の様子は、本当に嬉しそうな表情を浮かべている
そんな雪は一つ深呼吸をして気を落ち着かせると、雰囲気を作りながら噂話を話し始めた
「この六番目の噂はね
なんと一番不思議な噂と言われているんだ」
そう前振りをつけもったいぶった
そんな雰囲気の中で太陽は
「そう勿体ぶらないで教えてくれよ」
と急かすように雪に話しかける
それに対して息を整えると雪は話しを始めた
そういえば太陽はこの噂が一番気になっていた
〝七つの都市伝説〟の中で〝一番都市伝説とかけ離れた噂〟だったからだ
そのことがあったからだろうか、太陽は雪の話し始めた内容にいつもより真剣な思いで聞いていた
「二人とも知ってるだろうけどね
この噂だけ〝必ず死ねる山上の崖〟と言うどこにでもある噂なんだよ」
と雪が話し始めた
それに対して雪が
「確かにありふれた話しだよね」
と雪の意見に賛同するように相槌を打つ
それを聞いた雪も
「そーなんだよねー」
と腕を組みながら頷くように答える
その腕を解いて右の人差し指を立てると
「でもね、その秘密こそがこの噂が七つの都市伝説として、数えられることになった原因らしいんだ」
と答えた




