第91話 襲来の忍者
新たな敵に零夜が立ち向かいます!
「ハー……ハー……」
「まさかこんな事になるなんて……」
零夜達はようやく目的地に辿り着いたが、ヘトヘト状態で床に両膝をついていた。しかもヒカリまでしぶとくついてきたので、彼女もヘロヘロとなっているのだ。
するとヒカリが疲れている零夜に接近し始め、彼の手を取り始める。しかもその目は涙目で、ますます顔を近づけてきた。
「一体何で零夜君がここにいるの?私にも詳しく教えてよ!」
「わ、分かりました!教えますから!」
ヒカリの涙目に零夜が慌てる中、今度は日和達も駆けつけてきた。どうやらこちらも椿にバレていたらしくて、彼女に追いかけられて今に至るのだ。
「そっちもやられたのですか!?」
「うん……椿にバレてしまって……もうクタクタ……」
日和達もそのままヘナヘナと座り込んでしまい、椿も走りながら姿を現す。そのまま彼女もヒカリと同様に日和に接近し、おでこをぶつけながらジト目で睨みつけていた。
「日和?どういう事か説明してもらいましょうか?」
「いや、それはその……」
椿の睨みに日和が冷や汗を流す中、トワ達もこの場所に駆けつけてきた。しかし目の前の展開を見た途端、ヤツフサはため息をつくしかなかった。
「まさかお前達二組がバレてしまうとはな……」
「すいません……まだまだ未熟でした……」
ヤツフサからの指摘に対し、零夜達はがっくりと項垂れてしまう。その様子にトワとエイリーンは苦笑いするしか無く、椿とヒカリは首を傾げていた。
「仕方がない。お前達二人にも話すとしよう。実は……」
ヤツフサはヒカリと椿に対し、ここに来た理由を正確に説明し始める。その内容について彼女達は、真剣に話を聞き始めた。
※
「なるほど。そう言う事か……だったら私も力になる!」
「ヒカリさん!?」
ヤツフサの話を聞いたヒカリは納得の表情をした後、自身も戦う事を決意。それに零夜は驚きを隠せず、思わず叫んでしまう。この戦いに一般人を巻き込ませてしまうのはあまりにも危険であり、怪我でもしたら大騒動と化してしまう恐れもあるのだ。
「私も零夜君達の活躍を見て、様々な格闘術を習っていたから。それに応急処置も習っているから安心して」
「……あまり無理はしないでくださいよ。怪我したらこちらの責任になりかねませんので」
「心配しなくても大丈夫だから。よしよし」
零夜は心配そうな表情をするが、ヒカリは苦笑いしながら彼の頭をよしよしと撫でる。まるで姉妹其の物であるが、この様子に倫子とエヴァが頬を膨らましているのも無理はなかった。
「私もサポートは任せて。できる限りの事はするから」
「あまり無理しないでよ、つばきん」
「大丈夫。日和は心配し過ぎよ」
椿もサポートする事を宣言するが、日和も心配そうに彼女に視線を移す。それに椿が苦笑いする中、零夜はすぐに敵の気配を察し始める。恐らく何者かがこの場所に近づいてきて、彼等を襲おうとしているのだろう。
「敵襲です!すぐに警戒態勢に!」
零夜の合図で全員が警戒態勢に入ろうとしたその時、一人の小学生が姿を現す。その姿を見た零夜は真剣な表情をするが、ヒカリと椿はその小学生が何者かである事を見抜く。
「あれ?この子って、一般参加の刈谷智之君じゃない」
「彼も参加者の一人だから、この場所に逃げてきたんじゃないのかな?」
ヒカリと椿の話を聞いた倫子達は、安堵の表情をしながら警戒態勢を解除しようとしている。しかし零夜とヤツフサは刈谷を警戒していて、今にでも飛び出そうと身構えているのだ。
「違います。正解は……こちらです!」
零夜は突如刈谷に向けて苦無を投げ飛ばすが、彼はバックステップで回避する。その動きを見た零夜はすぐに駆け出したと同時に、刈谷の首根っこを強く掴んで勢いよく床に叩きつけた。
「零夜君!?」
「普通の小学生ならこんな行為はしない。明らかに偽物であり、敵である事には間違いないからな」
驚きを隠せない倫子達を尻目に、零夜は刈谷が偽物である事を既に見抜きながら宣言する。すると刈谷の身体が姿を変えたと同時に、忍者の姿へと変化したのだ。
「まさかバレるとは驚いたな。流石は八犬士の忍者……」
刈谷が忍者に変化した姿を見た倫子達は、一斉に警戒しながら戦闘態勢に入る。零夜もすぐに村雨を構え、警戒態勢を強める。
「俺は悪鬼Cブロック所属の忍。陽炎だ!」
「陽炎か!本物の刈谷はどうしたんだ!」
零夜の質問の直後、陽炎は指を鳴らす。すると本物の刈谷は部下に捕まっていて、全裸のまま担架で運ばれていたのだ。
「悪いが彼には少し痛めつけておいた。生きるか死ぬかは……分からないが」
「こ、こいつが……!」
零夜は怒りで陽炎を睨みつけ、倫子達も怒りで武器を構えながら戦闘態勢に入る。ヒカリと椿も警戒しながら身構え、ヤツフサも全身の毛を逆立てながら警戒態勢に入る。
「行くぞ!」
陽炎が苦無を構えて素早い動きで倫子達に襲い掛かるが、零夜が前に出て村雨で攻撃をガードした。あのまま攻撃を防いでなかったら、倫子達にダメージが与えられていただろう。
「邪魔するとはな……だが、この俺を倒す事は不可能だ!」
「その言葉、そっくり返してやるぜ!」
零夜と陽炎が互いに離れたと同時に、村雨と苦無をぶつけ合いながら戦い始める。それぞれの武器同士がぶつかる事に激しい戦いが繰り広げられ、火花を散らす激闘となってしまった。
「凄い……!これが零夜君の実力なの?」
「いや、彼の実力はこんな物じゃない。彼は更なる進化を発揮していくし、この程度で倒れていく人じゃないからね」
驚きを隠せないヒカリに対し、倫子がウインクしながら零夜の事を説明する。倫子は零夜の成長を間近で見ているからこそ、その成長ぶりが良く分かっている。一緒にいればいる程、お互いを知る事が強くなるのだ。
「こいつが!」
陽炎が一発逆転の勢いで苦無を投げ飛ばすが、その攻撃は跳躍されながら回避されてしまう。同時に零夜の村雨に水のオーラが宿され、その勢いも強くなり始めた。
「水神竜王斬!」
「がはっ!この俺が……」
陽炎は零夜の村雨による斬撃で切り裂かれてしまい、そのまま光の粒となって消滅。彼は武器を手元から消滅させた後、手を叩きながら陽炎が消滅した跡を睨み付ける。
「子供に手を出して変装した。その選択をしなければこんな事にはならなかったかもな」
零夜は消滅した陽炎に対して冷酷に吐き捨て、それに倫子達も強く同意する。小学生の子供に手を出した時点で、陽炎は哀れな最期を遂げてしまったのだった。
見事陽炎を撃破!零夜を怒らせたからこそ、この様な結末になりました。




