第77話 シルバーウルフの誇り
エヴァの因縁が終わりを告げます!
エヴァはアイスウルフを装着した状態で戦闘態勢に入り、真剣な表情でゲルガーを睨みつける。彼は冷や汗を流しながらも戦闘態勢に入り、先手必勝と勢いよく襲い掛かり始めた。
「お前の復讐はここで終わらせてやる! クロススラッシュ!」
「おっと!」
ゲルガーによる交差のクロー攻撃がエヴァに襲い掛かるが、彼女はサイドステップで回避する事に成功。そのままバックキックを繰り出し、彼の背中に強烈な蹴りを当てたのだ。
「がはっ!」
攻撃を喰らってしまったゲルガーは勢いよく飛ばされてしまい、壁に激突してしまった。彼はすぐに立ち上がり、真剣な表情でエヴァに視線を移していく。
(馬鹿な……、彼女がここまで強くなるとは……。一体何がそうさせているんだ?分からない……)
ゲルガーが心の中でエヴァの強さに疑問に感じるが、なかなかその解答が出ずにいた。するとエヴァは更に攻撃を繰り出そうとしていて、ガントレットから冷気が放たれていく。
「氷狼連撃打!」
「ぐおおお!!」
エヴァは氷のパンチを次々と放ち、ゲルガーにダメージを与えていく。彼女パンチが連続で当たる事に、彼の身体に氷が付着していた。
「このまま氷漬けにしてたまるかよ! 自然発火!」
「チッ!」
ゲルガーは自らの身体を発火させようとしていて、危険を感じたエヴァはすぐに離れてしまう。しかし彼の身体から火が出ず、シーンと静まり返ってしまったのだ。
「ど、どういう事だ!? もしや……!」
ゲルガーが違和感に気付いた直後、マツリ、ユイユイ、サユリ、アンナの4人が姿を現す。アンナの手に持っているのは、黒焦げの一枚の紙だ。
「悪いけど、アンタの隠し持っていたエロ本は全て燃やしておいたから!」
「は? エロ本!?」
アンナの微笑みながらの説明に、零夜、倫子、エヴァ、ユウユウの4人はキョトンとしてしまう。まさかエロ本がこの要塞にあったという事は知らず、むしろ初耳としか言えないだろう。
「ええ。ゲルガーのいる部屋を探索したけど……、宝物庫は勿論、まさかエロ本があるとは想定外だけどね」
「流石にまずいからエロ本は全部燃やしたで」
サユリとユイユイの説明にユウユウ達が納得する中、ゲルガーに至っては呆然としていた。自身のエロ本の隠し場所がバレただけでなく、燃やされてしまった事にショックを受けてしまった。
「お、俺のエロ本が……。こんなところで……、バレて燃やされるなんて……」
「今がチャンス!」
ゲルガーはショックで真っ白に燃え尽きようとした途端、エヴァがその隙を逃さずに攻撃を仕掛けてくる。まずは連続パンチを繰り出したと同時に、強烈なハイキックで敵の身体をぐらつかせる。すると彼の両足を掴んだと同時に、そのまま円を描く様に回転し始めたのだ。
「あれはジャイアントスイング! プロレスならではの必殺技だ!」
「エヴァのパワーがあるからこそ、この技が可能という事ね!」
エヴァのジャイアントスイングに零夜は驚きを隠せず、倫子はエヴァの成長に感心していた。エヴァは10回転しながらゲルガーを回し、そのまま両手を放して投げ飛ばした。そのままゲルガーは脳天を壁に激突してしまい、ズルズルと倒れてしまったのだ。
「ゲルガーが完全に失神しているわ! やるなら今がチャンスよ!」
「言われなくてもそのつもり! 今までやられた仕返しは終わらないんだから!」
今のゲルガーは完全に失神していて、どうする事もできない。エヴァはとどめを刺そうとアイスウルフを光らせ、強烈か氷を繰り出そうとしているのだ。
「これが最大のフィナーレよ! アイスエデン!」
するとゲルガーが倒れている床から氷が次々と飛び出し、彼を身動きできない状態にする。そのまま彼女は素早く駆け出したと同時に、最後の一撃を繰り出そうとしているのだ。
「仲間を殺した罪、奴隷として扱った罪、愛する人を傷つけた罪を思い知れ! ウルフブレイカー!」
強烈な狼のオーラを纏ったパンチが、氷で身動きできないゲルガーに直撃。その瞬間、氷に次々と罅が入り始め、あっという間に破壊してしまったのだ。
氷はそのまま消滅したと同時に、ゲルガーは前のめりに倒れてしまう。そして彼は光の粒となって消滅してしまい、夜空の彼方へと消えてしまった。
「やった……、ゲルガーを……、倒した……」
エヴァは息を荒げながら、ゲルガーが死んだのを確認する。彼女は溢れる喜びを我慢できず、息を大きく吸い込み始めた。
「ウオオオオオオオオオオオオン!!」
そのままエヴァは狼の咆哮を上げ、彼女の目からは既に涙が頬を伝って流れていた。故郷を滅ぼされた恨みを晴らしただけでなく、死んだ仲間や弟を弔う為に咆哮をしていた……あの涙が何よりの証拠なのだ。
それを見た零夜は咆哮を終えたエヴァに近づき、彼女の手を強く握り締める。
「エヴァ……。死んだ仲間達はきっと思っている。見事だと言う事と、仇を取ってくれてありがとう、そして、我らシルバーウルフの誇りだという事を……」
「う……、う……、うわああああああ!!」
零夜からの話を聞いたエヴァは、泣くのを我慢できずに彼を強く抱き締める。その姿はまるで子供の様で、今まで我慢した思いが全て吐き出されていた瞬間だった。
「エヴァ、ここまでずっと辛かったのね……。その気持ちは分かるわ……」
エヴァが大泣きしながら零夜を抱き締める姿に、マツリも涙を流しながらに貰い泣きしていた。倫子達もお互い頷きながら涙目で笑顔を見せていた直後、天井から見える夜空が真っ昼間へと戻ったのだ。
「夜空が戻っていく……。という事は……」
ルイザがこの様子を見て確信した直後、要塞だった場所は姿を変え、元のペンデュラス家の屋敷へと戻ったのだ。今いる場所はベイルの書斎で、多くの本棚や暖炉が置いているのだ。
「ここはペンデュラス家の屋敷……。じゃあ、外も元に戻ったんじゃない?」
「私、外を見てみます!」
「私も行くわ!」
倫子は微笑みながら推測し、日和とルイザが窓の外を確認してみる。そこには城壁がいつの間にか消えていて、人々が笑顔でペンデュラス家の屋敷前へと駆けつけていく。そう。ゲルガーを倒した事によって、ペンデュラスの街も元の姿に戻ったのだ。
「良かった……。これでペンデュラスの件は万事解決ね」
「ええ……。私達の手でゲルガーを倒し、この街を取り戻せた。本当に良かった……」
日和はペンデュラスが元に戻った事にホッとしていて、ルイザも同様に目に涙を浮かべながら微笑んでいた。自分の住んでいる街が元に戻っていた事で、嬉しさを感じて涙が出るのも無理ないだろう。
「さっ、後は住民達の元へ向かうぞ! 戦いが終わった事を皆に報告しておかなければ!」
「「「了解!」」」
ヤツフサの指示に全員が頷きながら応え、彼等は書斎を後にする。そのまま住民達が待つ屋敷の外へと向かったのだった。
エヴァが見事ゲルガーを撃破!戦いも無事に終わりました。
次回は事後報告です。




