第74話 ゲルガーとの戦い
ゲルガーとの戦いがスタートです。
零夜達4人はゲルガーの行動を見ながら、真剣な表情で戦闘態勢に入る。零夜は村雨、倫子は剣の二刀流。エヴァとユウユウは格闘の構えを取っているのだ。
「エヴァ。この戦いがお前との因縁を終わらせる戦いだ。奴隷にされた恨み……、すべて奴にぶつけてやろうぜ!」
零夜はウインクしながら、ガッツポーズで笑顔を見せる。それを見たエヴァは寂しそうな笑みを浮かべながら、コクリと頷く。
「ええ……。けど、奴の恨みはそれだけじゃないからね……」
「えっ? どういう事だ? まさか他にもあるんじゃ……」
エヴァが真剣な表情でゲルガーを睨みつけるが、零夜は彼との因縁がこれだけでない事に疑問に感じてしまう。その直後にゲルガーが動き出し、素早いスピードで襲い掛かってきたのだ。
「っと! よそ見は厳禁だ! スパイラルキック!」
零夜は素早く攻撃を回避したと同時に、強烈なハイキックをゲルガーに当てる。しかし彼には効果なく、余裕の表情で平然と頭を搔いていた。
「あー、かゆいかゆい」
(なるほど……。そう簡単に倒せないかもな……。どうやらGブロックの時とは一筋縄ではいかないよな!)
零夜は余裕のゲルガーを見ながら、真剣な表情で睨みつけていく。相手が手強ければ手強い程、その分燃えてくるだろう。
すると倫子が彼の様子が違和感である事に気づき、すぐに彼の元に駆け寄る。
「倫子さん?」
「待って。さっきウチ等と別れた時、刺客である神田裕二と戦っていたでしょ? その時の怪我、まだ残っているんじゃない?」
「そう言えば受けたダメージと疲れがまだ残っているし、今のキックも弱くなっていましたね……」
倫子からの正確な指摘に対し、零夜は考えながらも自分が疲れとダメージがある事を自覚する。
裕二との戦いによって零夜はある程度のダメージを受けていただけでなく、自ら回復術を使っていなかった結果、攻撃の威力も弱くなってしまったのだ。
「けど、今は戦い。すぐに終わるから待ってて」
「へ? すぐに終わるってどういう……、むぐっ!?」
「うわ……」
「むーっ!」
倫子は零夜を自身の方に向かせたと同時に、強烈なキスを零夜の唇に浴びせていく。まさかのキスにユウユウは口を抑えながら驚きを隠せず、エヴァに至っては怒りが増幅されてブチ切れそうになっていたのは言うまでもない。
「こ、こいつが……! 俺の目の前でキスをするなんて……!」
ゲルガーに関しては嫉妬の力によって大激怒してしまい、今にでも襲い掛かろうとするのも時間の問題であるのだ。
すると倫子が零夜から離れた途端、彼の体力と傷はすっかり回復していた。身体の動きの良さも万全となっていて、何時でも戦える状態であるのは間違いないだろう。
「回復しました! もう大丈夫です!」
「良かった。ウチのマジカルキスについてだけど、味方の体力や状態異常を完全回復できる効果を持つの。この様子だと大丈夫そうやね」
倫子は笑顔を見せながら、今の技であるマジカルキスについて説明をする。キスによって味方の体力や状態異常を完全回復できる効果があり、万全の状態に戻す事ができるのだ。
「ええ。迷惑かけた分は頑張らないといけないですね。思う存分やりますか!」
「その調子!」
零夜は倫子に対して笑顔を見せたその時、ゲルガーが嫉妬オーラを全開にして彼に襲い掛かってきた。今のキスを見た事で嫉妬の魂が暴走してしまい、今にでも殺そうとしているのだ。
「殺す殺す殺す! お前を殺さなきゃ気が済まない!」
「そうはさせるか! はっ!」
零夜は再びゲルガーの攻撃をサイドステップで回避し、跳躍したと同時に脳天に強烈な蹴りを入れる。その衝撃は脳にとても強い揺れを起こし、ゲルガーはフラフラになってしまった。
「ぐお……。頭が揺れる……」
「これで終わると思ったら大間違いだ。エヴァ、攻撃の用意を!」
「ふん!」
零夜はエヴァに攻撃の合図を出すが、彼女は嫉妬で頬を膨らましながらプイッと横を向いていた。零夜が倫子とキスした事がとても気に食わないらしく、この様な行動を取りながら怒っているのだ。
「おーい……。キスを先越されたぐらいで嫉妬するなよ……。今は戦闘中なのに……」
「だって倫子とのキスで笑顔になっていたんでしょ?」
「ハァ……。余計な事をしたのかもな……」
零夜が呆れながらため息をついたその時、ゲルガーが頭を振りながら正気を取り戻す。やられた分はやり返そうとしていて、次こそ強烈なタックルを決めようとスピードを上げてきたのだ。
「今度こそ決めてやる! ウルフタックル!」
「そんな技はお見通しだ!」
「何!?」
零夜はすぐに跳躍し、ゲルガーの攻撃を回避する事に成功。攻撃を外したゲルガーは急ブレーキをかけた後、真剣な表情をしながら零夜を睨みつけていた。
「やはりタックルでは無理みたいだな。それなら格闘術で勝負だ!」
ゲルガーの両手の爪が伸びたと同時に、光に照らされた爪の刃がキラキラ輝き始める。この攻撃を喰らえばダメージを受けるどころか、切り裂かれた部分から出血する可能性もあるのだ。
「喰らえ! ウルフスラッシュ!」
「チッ!」
強烈な爪による波動攻撃が襲い掛かり、零夜はアクロバティックな動きで跳躍しながら回避する。倫子とユウユウも急いで回避する事に成功するが、思わぬ事態が起きてしまった。
「しまった!エヴァちゃんに!」
「な!?」
なんと爪の波動攻撃の1つが、嫉妬している状態のエヴァに向かっていた。スピードを上げながら勢いよく彼女に襲い掛かろうとしていて、喰らってしまったらダメージや出血は免れないだろう。
「そうはさせるか!」
しかし零夜が素早い動きで駆け出し、エヴァをお姫様抱っこで抱えながら高く跳躍する。当然爪の波動攻撃は外れてしまい、壁に激突して大爆発を起こしたのだ。
「ご、ごめん、エヴァ!」
「ううん、ありがとう。零夜って優しいのね」
零夜は赤面して慌てながら謝罪するが、エヴァは笑顔で彼に視線を移す。そのまま零夜の頭をポンポンと撫で始め、嫉妬から満面の笑みへと変わったのだった。
「これも外れか! なら、別の攻撃を仕掛けるしか方法はない! サーチダークボール!」
ゲルガーは両手に闇の波動弾を生成したと同時に、次々と相手に向かって投げ飛ばしてくる。しかも追尾機能まで持っているので、逃げようとしても無駄と言えるだろう。
「ここは私に任せて! アイスウォール!」
しかしエヴァは地面に手を当てながら魔術を発動させ、地面から大きな氷の壁を召喚する。そのまま闇の波動弾は氷の壁に激突してしまい、爆発を起こして消滅してしまった。
エヴァは八犬士として目覚めたと同時に、氷の能力を授けられていた。その為、氷の力を使った攻撃を得意としていて、今の様なアイスウォールまで出す事が可能なのだ。
「くそっ! サーチダークボールが駄目なら、奥の手を使うしかないな……」
ゲルガーは舌打ちしながら悔しそうな表情をした後、指を鳴らしながらある仕掛けを発動する。すると要塞の天井部分が開き始め、中央部分のみ青い空が見える様になってしまった。
「なんだ。青空が見えるだけじゃないか」
「驚くのはまだ早い。夜になれ!」
ゲルガーは人差し指を空に向けながら、呪文を出して天候を変化させる。すると昼間から夜へとなってしまい、空には満月が浮かんでいたのだ。
「満月……、まさか!?」
零夜が満月に気付いたその時、ゲルガーは満月の光によって強化し始めていく。攻撃力や素早さが最大限に上がってしまい、凶暴さも一段とアップ。これこそゲルガーの真の力であり、こうなると止められる事は難しくなるだろう。
「俺はダークワーウルフの最後の生き残り! 狼男と同じく満月によって強化される! 散々舐めていた分、仕返ししてやるから覚悟しろ!」
ゲルガーは凶暴な顔をしながら、零夜達に対してこれまでの仕返しの宣言を行う。それを聞いた彼等は冷や汗を流すしかなかったが、この状況をどう打破できるかがカギとなるだろう。
ゲルガーが凶暴に!果たしてどうなるのか!?




