第69話 ライバルの降臨
今回は新たな敵が降臨です!
零夜達は要塞の中に突撃し、急いで最上階へと向かっていた。ゲルガーを倒してペンデュラスを救う為にも、一刻を争う事態と言えるだろう。
「次のステージはどんなのか気になるが、何れにしても油断は禁物だ!」
「そうね。敵もゲルガー以外多くいるし、用心して進まないと!」
ヤツフサからの忠告に対し、アイリンも真剣な表情で頷く。敵は要塞の中にまだいるので、何れにしても油断は禁物であるのだ。
すると日和が突然足を止めてしまい、目の前の部屋に視線を移す。そこには「この先二階への通路」と看板が建てられていた。
「恐らくこれは罠である可能性が高いわ。ゲルガーならこんな事を仕出かすだろうし、入ろうとしても何1つないからね」
「そうね。他に2階へ続く道がないか見てみましょう」
日和の推測に全員が同意し、マツリの合図で他の通路を探しに向かい出す。すると彼等の目の前に戦闘員達が姿を現し、銃を構えながら発砲しようとしていたのだ。
前には罠と呼ばれる扉。後ろには銃を持った戦闘員。完全に詰まれてしまったが、ここで倒れてしまう彼等ではないのだ。
「やっぱりこうなると思ったわね……」
「そっちがその気なら! アラウンドバリア!」
すると倫子が味方の周りにバリアを展開し、全員が一斉に戦闘員へと立ち向かう。彼等は銃から砲弾を発砲するが、次々とバリアに弾かれてしまった。
「バリアタックル!」
「「「がはっ!」」」
そのまま彼等はバリアに激突されてしまい、勢いよく飛ばされて壁に背中を激突。そのまま金貨となってしまい、倫子のバングルの中へ自動的に入ったのだ。
「よし。早く別の道を探しましょう」
倫子の合図で全員が二階へ続く道を探そうとしたその時、扉が突然開いて黒い触手が飛び出してきたのだ。予想外の展開に零夜達は驚きを隠せず、誰もが冷や汗を流してしまった。
「扉の向こうから触手か出てくるなんて……」
「捕まったら何をされるか分からないからね。ここは逃げないと!」
予想外の展開にアンナは呆然としてしまうが、エヴァは危険を感じ取って逃げ出していく。倫子達も後に続いて逃げようとしたが、零夜が捕まって扉の向こう側に連れて行かれてしまう。
「うわああああああ!」
「「「零夜(君)!」」」
零夜は触手によってそのまま部屋に連れて行かれ、扉はバタリと閉じられてしまった。倫子とエヴァはヘナヘナと座り込んでしまい、目から涙を流してしまう。
「零夜君が……、触手に捕まった……。うう……」
「ヒック……。どうしてこんな事に……。うえ~ん……」
倫子とエヴァは我慢できずに泣いてしまうが、ユウユウが彼女達に近づいてゆっくりと抱き締める。その温かみはまさに母親其の物であり、倫子達は涙を流しながらユウユウの胸に顔を埋める。
「大丈夫。零夜はこんなところで倒れる輩じゃない。彼には諦めの悪さがある事を、私等全員知っとるのは分かってるやろ?」
「「あ……」」
ユウユウからのアドバイスに、倫子とエヴァは零夜の事を改めて思い出し始める。第一ステージをクリアしたのは彼の諦めの悪さがあったからこそであり、そうでなかったら今の倫子達は此処にいなかっただろう。
「そうだった……。零夜君がいたからこそ、今のウチ等が此処におる……」
「となると、泣いている場合じゃないみたいね。このままだと零夜に心配されてしまうし」
倫子とエヴァはユウユウから離れ、両手で涙をゴシゴシと拭き取っていく。そして前を向いたと同時に、真剣な表情で全員に視線を移す。
「零夜君は大丈夫。私達は私達で頑張るしかあらへんよ」
「それに私達は彼に頼り過ぎている部分もあるし、今度は私達の手で彼を助けるわよ!」
「「「おう!」」」
倫子とエヴァの決意の宣言に対し、日和達も拳を上げながら一斉に応える。そのまま彼女達はその場所から離れ、次の階へ進む別のルートを探しに向かったのだった。
※
触手に捕まった零夜は強制的に部屋の中に入れられたが、何故かその場で解放してもらった。同時に触手は引っ込み始め、そのまま消えてしまったのだ。
「ここは一体……」
零夜が辺りを見回した途端、目の前に映るのは大きな部屋の一つだ。柱もなく、壁はシンプル。つまらない場所としか言いようがないが、何処かに仕掛けがあるので油断は禁物だ。
「ともかく今はこの部屋を出ないと。もしかすると仕掛けが何処かにある筈だ……」
零夜が辺りを見回しながら、すぐにこの部屋から出ようとしたその時だった。
「八犬士の東零夜か……」
「ん?」
零夜が突如声のした方を見ると、前方に魔法陣が姿を現す。そこから一人の男性が姿を現し、真剣な表情で零夜を睨みつけていた。
服装は自衛隊でよく見る迷彩服姿で、両手にはガントレットを装着しているのだ。
「あなたは?」
「俺の名前は神田裕二。さすらいの傭兵だ」
「神田裕二……、俺と同じ日本人じゃないか!」
裕二の自己紹介を聞いた零夜は驚きを隠せず、まさか同郷の者とここで出会うのは想定外と言えるだろう。しかし裕二は冷静沈着で、零夜に視線を合わせながら睨みつけているのだ。
「俺はあるお方の依頼で、お前を始末しに来たからな。今の触手も……、俺が召喚したんだよ」
「じゃあ、あの二階に進む看板も、おまえが書いたという事なのか!」
触手を召喚した犯人が分かり、零夜は更に看板の事について質問する。それに裕二はコクリと頷いたと同時に、それぞれの片手に三本ずつのナイフを構えていた。その様子だと戦う気は既に満々であり、今にでも始末しようとジリジリと接近してくる。
使うナイフはダガーで、全長三十センチ程度の諸刃の短剣だ。刺す事と投げる事に効果があるが、切り裂く事は不向きと言えるだろう。
「その通りだ。東だけでなく他の八犬士が五人もいるが、特に要注意なのはお前なのでね!」
「だろうな……。まあ、そう言ってくれるのであれば、ここで死ぬ理由にはいかないからな!」
零夜は両方の手元に忍者刀を召喚し、強く握りしめながら戦闘態勢に入る。忍者刀はリーチが標準で、どんな局面でも使いやすい武器である。更に室内でもオススメの武器と言えるだろう。
「俺と戦うつもりか? 下手したら無様に死ぬことになるぞ?」
「俺がそんな脅しに通じると思うか? 俺は仲間を見捨てて死ぬ理由にはいかないからな。甘く見るのはアンタの方だよ!」
裕二からの脅しに対し、零夜は真剣な表情をしながら彼を強く睨みつける。零夜は仲間を見捨てる事が一番嫌いなので、ここで死んだら仲間達に申し訳無さを感じてしまう。だからこそ、この戦いに勝つしか選択肢は無いのだ。
「そうかそうか……。無様に殺される覚悟は出来ているのか……。なら、徹底的に殺すのみだ!」
裕二は殺気を全開にしたと同時に、六本のナイフを構えながら襲い掛かってくる。それはまさにバーサーカー其の物であり、下手すればバラバラに殺される可能性もあり得るだろう。
「おっと!」
零夜は素早い動きで回避したと同時に、真剣な表情で裕二を睨みつける。彼は本格的に零夜を殺そうとしていて、目を光らせながら殺気を全開にしている。こうなると本気で立ち向かわなければ、やられてしまう可能性もあるだろう。
(この様子だと経験者である事は間違いないな……。だが、俺はこの程度でビビらない!何が何でも、仲間達と合流する為にも!)
零夜は心の中で決意を固めたと同時に、裕二との戦いに身を投じていく。無事に仲間達と合流をする決意を固めながら……。
零夜と裕二。戦いが幕を開けます!




