第65話 逃走ゲームの始まり
逃走ゲームがスタートです!
零夜達は要塞を目指しながら駆け出していくが、一塊になればあっという間に捕まえられてしまう。ここは個人で行動するのが望ましいが、エヴァと倫子は零夜に抱き着いたまま離れずにいるのだ。
「二人共、ここは個人で行動するので離れてくれませんか? 捕まる可能性もあり得ますので」
「嫌! 離れたくない!」
「だって零夜から離れたら、何かが起ころうとするんだもん!」
「それってどういう事だ!?」
零夜が二人を説得しようとしても、なかなか離れてくれない。これに日和達は苦笑いをせざるを得なく、アイリンに至ってはイライラでストレスが溜まろうとしているのだ。
「まったく……、こうなったらグループに分かれて行動よ。それしか方法は無いわ」
「そうね。それなら分散して行動するのが効率的だし、二人の為を考えればその方が合うかもね」
アイリンの提案にマツリも同意し、グループに分けて行動する事に。すぐに決まったと同時にグループ分けはこうなった。
・零夜、倫子、エヴァ
・日和、ユウユウ、ユイユイ
・マツリ、サユリ、ヤツフサ
・アイリン、ルイザ、アンナ
「これで良し。後は全員が無事に集結する事を忘れるな。直ぐに行動開始だ!」
「「「了解!」」」
ヤツフサの合図と同時に、彼等は4グループに別れて行動する事に。そのまま蜘蛛の子を散らす様に駆け出し、お互い無事である事を心から誓ったのだった。
※
零夜グループは敵がいないか確認しながら、慎重に駆け出していく。更に黒服の男達も姿を現しているので、捕まってしまえば牢獄行きは確定だ。
「手強い敵に遭遇したら大変な事になりそうね……」
「ええ。離れない様に密着した方が好ましいと思います。気を付けてください」
「うん……。そうするよ」
零夜のアドバイスに倫子が同意した直後、インプの軍勢が姿を現す。しかも数は五十ぐらいだが、舐めて掛かると痛い目に遭うだろう。
「まさかいきなり出てくるとはね……、用心して戦わないと!」
「ああ。インプの戦い方は熟知しているからな!行くぞ!」
零夜達は一斉に飛び出したと同時に、インプ達に対して攻撃を仕掛けていく。インプ達も集団で立ち向かうが、零夜達の強さに押されて数が減っていく。相手を間違えたのが敗因だろう。
「アンタ達はこれでも喰らいなさい! アイアンストライク!」
倫子は手元に鉄球を召喚し、次々とインプ達に向けて投げ飛ばす。鉄球はインプ達の顔や腹などに直撃し、その隙を逃さず零夜とエヴァが駆け出していく。
「そこだ! 苦無乱れ投げ!」
「ウルフスラッシュ!」
零夜が投げ飛ばした苦無、エヴァのガントレットによるクロー攻撃も炸裂し、インプ達は次々とやられて消滅していく。最後の一匹まで倒されてしまい、ここにいるインプ達は素材であるインプの角と金貨になってしまったのだ。
「まずはインプ達を撃破。しかし、黒服の男達が来るので要注意だ。すぐに隠れるぞ!」
零夜の合図と同時に、倫子とエヴァは彼と共に樽などの物陰に隠れ始める。すると黒服の男が姿を現し、冷静に歩きながら辺りを見回していた。姿はスーツを着ていて、サングラス、更には特殊マスクを着用しているのが特徴だ。
黒服の男は辺りを見回すが、ここには目的の人物がいない。彼は別の場所へと向かってしまい、彼がいなくなった後に零夜達は移動を開始する。
「今の男……、逃走ロワイアルのハンティングマンにそっくりだった様な……」
「偶然かも知れないし、歩き方も機械その物だった……。もしかすると水攻撃なら倒せるかも……」
(ハンティングマンって何だろう? 零夜達の世界って一体どうなっているのかしら……)
零夜と倫子は黒服の男を思い出しながら、彼の倒し方を話し合い始める。それにエヴァは心から疑問に感じながらも、彼等と共に行動していたのだった。
※
日和、ユウユウ、ユイユイのチームは警戒しながら進んでいて、敵がいないかキョロキョロと見渡していた。今のところは問題ないと言えるが、何時襲ってくるか分からないのが現状と言えるだろう。
「ここには敵がいないわね……。早く次の場所に進まないと!」
日和の合図と同時に彼女達が駆け出したその時、ユウユウとユイユイは敵の匂いを察していた。彼女達もエヴァと同じ特殊嗅覚があるので、敵の匂いをすぐに察する事ができるのだ。
「どうしたの?」
「敵が来るで。種族はゴブリンでその数は三十やけど……」
「サイクロプスが一匹紛れ込んでいるみたい……」
「さ、サイクロプス!? それってまさか……」
ユウユウとユイユイの説明に日和が驚いた直後、目の前に三十匹のゴブリンとサイクロプスが姿を現した。
サイクロプスは単眼の巨人で、腰布を巻いているのが特徴。パワータイプでありながら、かなり凶暴な性格であるのだ。
「あれがサイクロプスか……。厄介な敵に目をつけられたけど……、ここはやるしかないよね!」
日和はため息をついてしまうが、すぐに前を向いて二丁拳銃を構える。彼女は前向きな性格だからこそ、すぐに立ち直って行動するのが長所の一つであるのだ。
その姿を見たユウユウとユイユイも頷いたと同時に、サイクロプスとゴブリン達に立ち向かい始めた。
「これでも喰らえ! ファイアーマシンガン!」
「私もお姉ちゃんに負けられない! アイスエデン!」
ユウユウは両手から炎の球を連射し、次々とゴブリンに当てて倒していく。ユイユイも負けじと地面から氷の柱を召喚し、サイクロプスの動きを封じた。
ユウユウは主に炎と雷属性の魔術を持つが、ユイユイは水と氷の魔術を持つ。姉妹で持つ魔術が違うのは、それぞれ自分の意思で決めたのだろう。
「なら、私も負けられないわ! 新たな銃で倒さないと!」
この光景を見た日和も負けじと銃を変化させ、信号機を元にしたレーザーガン「シグナルゼロ」を構える。
シグナルゼロは素材に信号機の模型を入れる事で、この様な武器となるのだ。レーザーガンについている信号は、青は回復、黄色は状態異常、赤は効果抜群の効果を持っているのだ。
「喰らえ! レッドシグナルショット!」
シグナルゼロから発射されたレーザーは、サイクロプスに直撃して大ダメージ。そのままサイクロプスは消滅してしまい、素材と金貨になってしまったのだ。
「ゴブリン達は?」
「こっちも終わったよ!」
「私達にとっては楽勝だったけどね」
日和がユウユウとユイユイの方を見ると、彼女達も問題なくゴブリンを倒し終えていた。この様子だと心配はないみたいで、日和は安堵のため息をついた。
「さっ、早くこの場から移動しないと! 黒服の男に見つかる前に!」
「「了解!」」
日和の合図にユウユウとユイユイはコクリと頷き、三人はその場から急いで駆け出した。仲間達と無事に合流するだけでなく、皆が無事にこのステージを突破する事を誓いながら。
※
その数分後に黒服の男が姿を現すが、日和達は既に逃げられていた。彼は無言のまま別の方向へと向かったが、何処に行くのかは分からないだろう。
零夜達とユウユウ達は無事に逃げ切り成功。しかし油断は禁物です!




