第48話 ルイザとの戦い
今回はルイザとの戦いです!
零夜達はロックマウンテンから下山していて、早くギルドへと戻ろうとしていた。目的は3つ。昇級試験のクリア報告、レッドドラゴンが竜人族のマツリだという事、そして彼女が八犬士の一人であるという事だ。この事を早めに伝えておかなければ、また冒険者達がマツリを狙おうと挑んでくるだろう。
現在は中腹辺りまで進んでいく中、ウルフの一匹が足を止める。何か見つけたみたいだ。
「どうしたの?」
一匹のウルフの案内で崖の方に視線を移すと、そこには崖崩れの跡があった。そこは崖崩れによってルイザが落下した跡地でもあるが、その事を零夜達はまだ知らずにいた。
「崖崩れか……。まさかこの場所で起きるとは……」
「誰かが落下したみたいだけど、その人は運が無かったみたいね……」
「ご愁傷様……」
零夜達は真剣な表情をしながら、全員で黙祷を捧げる。たとえ悪人であろうとも、死者を弔う事は忘れてはならない。それが基本の行動であり、零夜達も大切にしているのだ。
「さあ、行こうか……」
「そうね……。って、あれは!」
零夜達が前へ進もうとしたその時、エヴァが敵の気配を察しながら前方に視線を移す。そこには崖に落ちていた筈のルイザが山の中腹辺りで待ち構えているのだ。
ルイザの服はボロボロで、身体は傷だらけとなっている。その状態でありながら、どうやって崖から復帰したのか疑問に思うばかりだ。
「ルイザ! ボロボロになっているわ!」
「ルイザと言ったら、エヴァを追い出したS級パーティーの一人ね。でも、なんで一人でいるのか気になるけど」
エヴァはルイザの姿を見て驚きを隠せず、日和は何故彼女が一人で居るのかに疑問に感じる。倫子達もルイザの姿を見て疑問に感じる中、零夜は真剣な表情で彼女を睨みつけていた。
ルイザはエヴァをS級パーティーから追い出し、彼女をアリウスに奴隷として引き渡した張本人の一人。その人がここにいるのは何か理由があるが、エヴァに酷い事をしたのは許せないだろう。
「ちょっと奴の元に向かう! すぐ終わるから!」
「零夜!?」
零夜はすぐに山の中腹へと向かい出し、物凄いスピードでルイザに迫ってくる。エヴァを傷つけた報いを果たす為なら、どんな状況でもお構い無しだ。
そのまま山の中腹に到達した直後、零夜はボロボロのルイザを睨みつけてきた。
「何しに来たの? アンタ、もしかしてエヴァの仲間?」
「ああ。事情はエヴァから聞いている。お前、彼女をパーティーから追放しただけでなく、アリウスというバカに奴隷として引き渡したそうだな……」
ルイザの質問に対し、零夜は真剣な表情で応えながら接近してくる。彼の背中からは怒りのオーラが溢れていて、近付けば殴り飛ばされる可能性もあり得るのだ。
「役立たずは追放するのみ……。けど、そいつがアリウス様から逃げ出してから、私が奴隷として引き渡される羽目になったの!」
「奴隷だと!? まさかお前も同じ目に!?」
ルイザは笑みを浮かべるが、急に表情を変えて悔しい表情をしてしまった。それに零夜は驚いてしまい、エヴァ達も同様に信じられない表情をしていた。まさかS級パーティーの間にそんな事が起きたとは、誰も知らなかったのだろう。
「ああ。私はエヴァと同じ目に遭うのは嫌で、無我夢中で逃げていたんだ。彼女が逃げて無ければ、こんな目に遭わずに済んだ! 全部アイツが……」
「悪いのはお前の方だ!」
「な!?」
ルイザが身体を震わせながら、全てエヴァの責任に擦り付けようとする。元はと言えば自業自得なのに、それすら考えていないのは異常と言えないだろう。
ルイザが言い切ろうとしたその時、零夜は大声で彼女に向けて叫んでしまう。それに誰もが驚きを隠せず、全員が彼に視線を向けてしまった。
「元はと言えばお前等がエヴァを追放して、あのバカ男に奴隷として引き渡すからこうなったんだ!この事を自分が悪いと認めない奴には……、S級を名乗る資格なんかない!」
「零夜……! 私の為にそこまで……」
零夜の怒りの叫びを聞いたエヴァは、口を抑えながら目に涙を浮かんでいた。自分を必死に庇いながら、ルイザに対して怒りながら叫ぶ姿に、心を打たれて泣きそうになっているのだ。
それにマツリはエヴァの肩を叩き、彼女を落ち着かせ始める。倫子達も同意しながら頷くが、ルイザは怒りでワナワナと震えていた。
「S級失格……? この私が……? なら、あなたに現実を教えてあげるわ!」
ルイザは怒りを爆発させてしまい、インプを次々と召喚した。しかも彼等は背中に羽があり、人間の大きさをしているのだ。
「彼等はヒューマンインプ! 私の召喚獣であり、崖から落ちる時に助けてくれたのよ!」
「崖から復帰できたのは、こいつ等がいたからなのか! こりゃ一筋縄ではいかないかもな!」
零夜が真剣な表情をしながら、手元に忍者刀を召喚。そのまま彼は戦闘態勢に入りながら、ヒューマンインプ達を睨みつける。数は六匹ぐらいだが、油断は禁物と言えるだろう。
「さあ、やりなさい!」
「「「おう!」」」
ルイザの合図と同時に、六匹のヒューマンインプが零夜に襲い掛かる。しかし彼は冷静に判断しながら、襲い掛かるヒューマンインプ達に立ち向かい始めた。
同時に零夜の忍者刀は、炎の刀であるフレイムブレイドに変化。刀身は赤く染まっていて、炎のオーラが纏っているのだ。
「紅蓮連続斬!」
「「「ぐおっ!」」」
零夜は強烈な連続斬撃で、ヒューマンインプを問題なく倒してしまう。彼にとっては敵ではないので、このぐらい余裕なのだ。
ヒューマンインプはそのままスピリットとなってしまい、ルイザのバングルの中へと戻り始めた。
「こうなったら私が相手よ!」
「そうはさせるか!」
ルイザはナイフを構えながら、零夜にそのまま襲い掛かる。しかし彼は二本の苦無を投げ飛ばしていて、彼女の持つナイフを弾き飛ばしてしまった。
「あっ!」
ナイフはルイザの手元から離れてしまい、宙を舞いながら地面に落ちてしまう。すかさず零夜はその隙を見逃さず、強烈な飛び膝蹴り「隼蹴り」で、ルイザの顎にダメージを与える事に成功する。
「がはっ!」
「これで終わりだ!」
そのまま零夜はルイザをうつ伏せで抑え込み、彼女の両腕を交差にする。そのまま彼女の交差した腕の上に乗ったと同時に、首を掴んで背骨を折り曲げ始めた。
これこそ零夜のオリジナル絞め技「阿修羅」だ。
「うああああ! 降参しますー!」
ルイザは痛みで我慢できずにギブアップ。そのままバタンと倒れて動けなくなってしまった。今の絞め技が続いていたら、死んでいた可能性もあり得るだろう。
「さて、ルイザ。洗いざらい話してもらおうか。なんでエヴァを奴隷として、アリウスに引き渡したのかを!」
「ぐ……、正直に話します……」
ルイザは項垂れながらも正直に話す事を約束し、零夜は真剣に頷く。更に地面に落ちているナイフも回収し、彼女に渡しておく。
「これ、大切な物だろ?無くすんじゃないぞ」
「ええ……、ありがとう……」
ルイザは顔を赤くしながらも、ナイフを拾ってくれた事にお礼を言う。その直後にエヴァ達も駆け付け、彼の周りに集まり始めた。
「ルイザを倒すなんて……、相手はS級なのに凄いじゃない」
「プロレスや剣術などを努力したからこそ、倒す事ができたからな。だが、今は早くギルドへ戻ろう。彼女の追っ手がそろそろ来そうだからな」
「そうね。ここは私に任せて!」
零夜の真剣な推測に全員が頷き、マツリは大型のドラゴンに姿を変える。そのまま彼女の背中に零夜達は勿論、ウルフ達やルイザも次々と乗り込んでいく。そのままマツリは勢いよく空を飛び始め、クローバールの街へと向かったのだった。
零夜によってルイザは降伏。そのまま彼女は零夜達と同行する事になりました。




