第46話 久々のロックマウンテン
ロックマウンテンでのクエストが再び始まります!
零夜達はAランク昇級試験の場所であるロックマウンテンに到着。その場所に行くのはランク決めの昇級試験以来だが、今回は頂上まで行くので難易度も高くなっているのだ。
「頂上までか。なんか不安だな……」
日和はロックマウンテンに行くのは久々だと感じているが、今回は頂上までなので油断は禁物。下手すれば落下してしまい、死んでしまう事もあり得るのだ。
それによって身体がブルブルと震えてしまい、不安になるのも無理ない。それを見た倫子は日和に近付き、彼女の頭にそっと手を置いた。
「大丈夫。その時はウチがいるから」
「すいません……」
倫子はそんな日和の頭を優しく撫でながら、彼女を落ち着かせていく。倫子は日和のお姉さん的存在なので、不安になった時こそ彼女を支える役目を持つのだ。
それを見た零夜達は安堵の表情をした後、ヤツフサは真剣な表情で頂上に視線を移す。そこに目的となるレッドドラゴンがいるが、果たして仲間になってくれるのか気になるところだ。
「余程のことがない限りは安全と言えるが、ハプニングが起こる限りは油断はできない。早くレッドドラゴンに会いに向かうぞ!」
「そうだな。エヴァの幼馴染と聞いた以上、放って置く理由にはいかない。すぐに向かいましょう!」
ヤツフサと零夜の合図にその場にいる全員が頷き、彼等は急いでその場から移動する。昇級試験をクリアするだけでなく、レッドドラゴンを仲間にする為にも……。
※
零夜達がここを発ってから数分後、何者かがこの場所に辿り着いていた。それは奴隷から逃れようとしていたルイザであり、ゼーハーゼーハーと息を整えながら前を見ていた。
あの後にハイン達から無事に逃げ切れたが、もう前にいたギルドは戻れない。まさか自身が奴隷にされるなんて想定外としか言えず、今後どうすれば良いのか分からなくなってしまった。
「まさか私が奴隷とされてしまうなんてね……。いきなりこんな展開になったのは予想外としか言えないわ……」
ルイザは自身の今の状態を確認すると、彼女の服は既にボロボロとなっていた。更に所々に傷が付いているので、その様子だと酷い目に遭っていたのが確実と言えるだろう。
「どれもこれもあの女のせいよ……。エヴァ……、絶対に復讐してやるんだから……」
ルイザはヨロヨロと動きながら、エヴァに復讐する為に山頂を目指し始める。それが重大な後悔がある事を、この時の彼女は知らなかった……。
※
零夜達はレッドドラゴンを仲間にする為に山道を続けていくが、そこは今まで通っていた道なので問題なく進んでいた。しかし問題は中腹からのその先なので、下手したら落下してしまう事になるだろう。
「今のところはモンスターが出てないが、奇襲して来る事もあり得る。その時こそ用心して進むのみだ」
「油断せず進むべきと言えるな。何時岩が落ちるか分からないし、崖崩れの事故もあり得る」
「そうね。落石とかそう言う事故が多いみたいし、用心して進まないと」
ヤツフサ、零夜、アイリンの忠告に対し、真剣な表情をしながら倫子と日和も頷いた。するとエヴァが匂いを察し、敵が来る事を予測し始める。
彼女は獣人族の為、特殊嗅覚と絶対音感を持っている。其の為、敵が何処にいるのか丸分かりであるのだ。
「エヴァちゃん、どうしたの?」
「敵が来るわ! 皆、戦闘態勢に入って!」
「敵!? まさか来るとは思わなかったけど、立ち向かうしか無いみたいね!」
エヴァの合図で全員が警戒態勢に入ったその時、ゴブリン、ウルフ、ファルコス、インプが姿を現した。しかもその数は100匹以上はいるだろう。
本来ならインプも仲間にしたいところだが、今は昇級試験に集中しないといけない。その為にも無駄な時間は稼ぎたくないのだ。
「そう簡単にはいかないみたいね! だったら正々堂々戦いに応じないと!」
日和は二丁拳銃をクルクルと回し、敵に狙いを定め始める。更に倫子達も戦闘態勢に入り始め、次々と武器を構えながら一斉に飛び出し始めた。
「狙いは見えたから! クラッシュキャノン!」
日和は弾丸から次々と破壊の弾を発砲し、空を飛ぶファルコスを倒しまくる。ファルコスは次々とやられて羽と金貨に変わってしまい、ドサドサと地面に落ちてしまった。
「ゴブリンは俺に任せてください! はっ!」
零夜は苦無を次々と投げ飛ばし、ゴブリン達に直撃。彼等はそのまま抵抗できずに金貨になってしまい、あっという間に半数以上がやられてしまったのだ。
「本当はインプも仲間にしたいけど、今はそれどころじゃないかもね。ここはコイツで倒さないと!」
倫子は両手にダガーを構え、素早い動きでインプを斬り裂いていく。インプ達は金貨となってしまい、次々と地面に落ちてしまった。最早彼女達にとってモンスター達は敵無しと言っても良いぐらいだろう。
それによって殆どのモンスターが蹴散らされ、残るはウルフだけとなってしまった。しかもその数は20匹ぐらい。
「残るはウルフね。ここは私がやるわ!」
「待って、アイリン! ここは私が行くから下がってて!」
「エヴァ、何をするつもりなの?」
「今に分かるから、待ってね」
アイリンがウルフを倒しに飛び出そうとするが、エヴァが待ったをかける。アイリンが疑問に感じる中、そのままエヴァはウルフに向かって歩み寄り始める。彼女の姿に彼等は思わず攻撃を止めてしまい、あっという間に大人しくなってしまったのだ。
「ウルフの動きが止まった! けど、なんでエヴァを見た途端、止まったんだ?」
「そうか! エヴァはワーウルフだから、ウルフ達が彼女を見て上だと認識している。だからウルフが攻撃を止めたのね!」
「そうだったんだ! 流石エヴァね!」
この光景に零夜達が疑問に感じながら驚く中、アイリンはすぐに分かった表情で手を叩いていた。それに倫子達も納得の表情をする。
エヴァは純粋なるワーウルフであり、ウルフとは交流がとても深い。其の為、ウルフはワーウルフを上の存在だと認識していて、今回の様にエヴァに対して攻撃できなかったのは当然である。
「いい子ね。私達はあなた達に対して攻撃しない。頂上にいる親友に会いに来たの。案内してくれない?」
エヴァは笑顔でウルフ達に声をかけ、彼等は頷いたと同時に頂上への道を案内し始めた。その様子だと敵意はとても無いので、安心と言えるだろう。
「良かった……。それにしてもウルフがエヴァに対して、彼女の指示を聞くなんて……」
「うん。彼等は基本的に良い子だからね。さっ、早くマツリの元に向かいましょう!」
「そうだな。エヴァがいてくれた事に感謝しないと!」
「ありがと!」
エヴァの笑顔に零夜達は一斉に頷き、そのままウルフ達の後に続いて頂上を目指し始めた。
その離れた場所では、ルイザがフラフラで歩きながら前へと進もうとしているが、まっすぐに歩く事ができなかったのだ。
「エヴァ……。私は……、必ず……、あなたを……、殺してやるわ……。必ず……」
ルイザがフラフラと歩きながら前に進もうとするが、横に動いてしまう。そのまま彼女はバランスを崩してしまい、崖から落ちてしまったのだ。
「あっ! しまっ……」
崖から落ちた事に気付いたルイザは、すぐに崖を掴もうとする。しかしその手は空振りとなってしまい、彼女はそのまま落下してしまった。果たして彼女はどうなったのか……。
ルイザが落下!果たしてどうなるのか!?




