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ブレイブエイト〜異世界八犬伝伝説〜  作者: 蒼月丸
第二章 追放奴隷のシルバーウルフ
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第44話 奇跡のハンバーガー

エヴァの考えたハンバーガーが登場します!

 エヴァは零夜と共にとある場所へと駆け出していた。彼や他の客のトマト嫌いを治す方法を思い付いていて、それをすぐにでも実行しようとしているのだ。


「おい。何処に行くんだよ!」

「良いから着いてきて! 私に策があるから!」


 零夜の叫びにエヴァが笑顔を見せる中、彼女は足を止めて目的地に到着した。そこは市場であり、多くの人が賑わっている。

 市場は生鮮食品、加工食品、菓子、惣菜は勿論、オルゴールや壺なども売られているのだ。


「市場……、ああ! もしかするとトマト嫌いを治す方法があるのか!?」

「ええ! こういうのは得意だからね。さっ、行くわよ……、って、倫子!? いつの間にいたの!?」

「むーっ……」 


 エヴァと零夜は手を繋いで行こうとしたが、倫子が彼の背中にいつの間にか飛び乗っていた。しかも嫉妬で頬を膨らましているのは無理もない。

 倫子は零夜とエヴァが駆け出す姿に危機感を感じていたので、お店を日和とアイリン、ヤツフサに任せ、自らも急いで駆け付けてきたのだ。恐るべき執念と言った方が良いだろう。


「倫子さん、付いてきたのですか!? しかも俺の背中に乗っていますし……」

「だって二人が一緒に行くから、ズルいと感じたんだもん」

(ひょっとして倫子さん、俺の事好きなんじゃ……。そうなると大変な事になりそうだな)


 驚きを隠せない零夜に対し、倫子は頬を膨らましながら反論する。その様子だと零夜の事がとても好きなのだが、本当の気持ちをまだ伝えられていない。彼女が本当の気持ちを伝えるのは時間が掛かるだろう。

 それにエヴァは苦笑いしつつ、倫子の頭をよしよしと撫でる。


「ほら、落ち着いて。早くトマトがある八百屋さんへ向かいましょう!」

「そうだった! すぐに急がないと!」


 エヴァの合図に2人は頷いたと同時に、すぐに八百屋さんがある場所へと向かい出す。その目的はトマトだが、エヴァが探すトマトは普通のトマトではないみたいだ。


「市場にトマトがあるのは知っているけど、どんなトマトを探しているの?」

「甘いトマトよ。けど、その中には最も甘いトマトがあるから、それを探しに向かっているの」


 倫子が気になる表情で質問をしていて、それにエヴァは笑顔で応えながら説明する。トマトはお尻の部分であるヘタの反対側から、放射状に白い筋が浮かび上がっているものが甘い証拠である。しかし今回探しているトマトは、甘いトマトの中でも格別と言われているのだ。


「甘いトマトか……。最も甘いトマトなら、俺でも食べられるのかな?」


 零夜は心配そうな表情で、これから探すトマトが大丈夫なのか気になってしまう。彼は小さい頃からトマトが苦手なので、生で食べるのは流石にできない。他の物と一緒に食べたり、プチトマトぐらいなら話は別だが。

 

「大丈夫だって! ほら、着いたわよ」


 エヴァ達はようやく八百屋に辿り着き、目の前に並んである野菜に視線を移す。トマトは勿論、白菜、キャベツ、キュウリ、ジャガイモなど沢山売られている。特にレタスはハンバーガーの組み合わせにも合うので、オススメの食材と言えるだろう。


「さて、目的のトマトは何処かな……。あったあった!」


 エヴァはトマトの棚をよく見て探すと、あるトマトを見つける事が出来た。それは普通の白いトマトであり、値段は僅か百パルヴと安いのだ。


「白いトマト? 俺達の世界では見た事無いぞ」

「こんな色のトマト、初めて見た。ハルヴァスって色んな野菜があるんやね」


 零夜と倫子は白いトマトを初めて見るので、思わず疑問を感じてしまう。トマトの色は基本赤と黄色なので、白いトマトは普通ありえないと言っても良いだろう。


「これはスイートトマト。どのトマトよりも糖分が高く、サラダやピザなどにも多く使われているわ。お子様にも人気で、多く買われているの!」

「そうなのか……。じゃあ、これを買って試してみるか!」

「そうやね。後はレタスとジャガイモも忘れずに!」


 エヴァの説明を聞いた零夜と倫子は、納得の表情でトマトを買う事を決断。更にジャガイモやレタスも買い、後は帰るだけだ。

 しかしエヴァはまだ帰ろうとせず、今度は加工食品の店へ向かおうとしていた。


「まだ他にあるの?」

「ええ。後は菜食主義者の為にも、ある物を用意しないと!」


 エヴァはホワイトトマトを使ったハンバーガーを作るだけでなく、菜食主義者の為にもハンバーガーを作ろうと考えていた。

 菜食主義者は肉を食べずに野菜を食べるのが主であり、この街中にもその様な人は少なくない。エヴァはその人達の事を考えていて、彼等の為のバーガーも作ろうと考えているのだ。


「あった! これなら使えそうかもね」

「どれどれ……!? これってもしかして!」


 エヴァは加工食品の中を探してみると、とある食材を見つける事ができた。それを見た零夜と倫子は驚きを隠せないのも無理なく、これがバーガー戦争に決着を着ける事をまだ知らずにいた。


 ※


「おお! これが新メニューなのか!」


 ブレイクバーガーに帰宅したエヴァは、すぐに手に入れた食材を使って調理をし始める。そして出来上がったのは2つの新しいハンバーガーだ。

 一つはホワイトトマトのスライスが入ったハンバーガーで、もう一つはレタス、スライストマト、肉の代わりに大豆肉を使った野菜バーガーだ。どれも見た目は美味しそうだが、味を確認する為、試食を開始する。


「うん! 肉とホワイトトマトがマッチしていて、これは美味しい!」

「これなら俺でも食べられるぜ!」


 倫子と零夜はホワイトトマトのハンバーガーを食べてみて、あまりの美味しさに高評価を出していた。肉とトマトの組み合わせだけでなく、トマトの甘みが全体に染み渡っている。これならトマト嫌いの方でも大丈夫そうだ。


「野菜バーガーも美味しいわ!」

「肉の代わりに大豆の肉を入れるなんてね。これなら健康的で大丈夫そうよ!」


 日和とアイリンは野菜バーガーを食べていて、こちらも高評価だ。特に大豆肉は健康的でカロリー低めなので、野菜好きやダイエットをする方には好評と言えるだろう。


「おお!これならイケるぞ……。ん?」


 カニタロウがすぐに出品しようとしたその時、お客がいきなり入ってきた。どうやら今の話を聞いて入ってきたのだろう。


「いらっしゃいませ! 今の話を聞きましたか?」

「ええ! こちらにもお願いします!」

「早速注文が入った! 早速多めに作るぞ!」


 カニタロウはお客の注文に応え、すぐにホワイトトマトのハンバーガーと野菜バーガーを作り始める。そのままエヴァがお客に次々と配り、彼等はそれを食べ始める。


「これは上手い! 今のでトマト嫌いが治った!」

「野菜バーガーも美味しい! 私、好きになった!」


 お客達も高評価で2つの新しいバーガーを賞賛していた直後、多くのお客が次々と店の中に入ってきた。ホワイトトマトバーガーと野菜バーガーはあっという間に人気メニューとなってしまい、ついには行列ができる程になってしまったのだ。


「多くの客がこんなに! という事は……」


 ヤツフサは隣のリッチバーガーに視線を移すと、そこには客がすっかりいなくなっていたのだ。どうやらブレイクバーガーの新しいメニューに反応した事が切欠で、お客を全て奪われてしまったのだろう。


「どうやら勝負あったな……」


 ヤツフサは後ろを向いて、そのままブレイクバーガーの店の中に入っていく。リッチバーガーの中では落ち込む料理人達と、呆然と座り込んでいるサルノスケがいるだけだった。


 ※


 こうしてバーガー対決はブレイクバーガーが勝利し、リッチバーガーは倒産して跡地となってしまった。零夜達はクエストクリアとして賞金だけでなく、彼と日和のAランクの昇級試験も受けられる様になったのだ。


「ありがとな、エヴァ。おかげで助かったぜ」

「気にしないで。私達はもう仲間となっているし、これからは一緒に頑張りましょう!」

「おう! 宜しくな!」


 零夜とエヴァは握手を交わし、この光景に倫子達も微笑む。5人となった八犬士達の活躍は、ここから始まりを告げられたのだった。

エヴァの野菜嫌い克服作戦で、見事大成功!彼女の才能は見事です!

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