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ブレイブエイト〜異世界八犬伝伝説〜  作者: 蒼月丸
第一章 珠に導かれし戦士達
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第38話 キリカとルミナールの誓い

今回は戦いのその後の話です。

「落ち着きました?」

「うん……」

「なんとか……」


 基地の壊滅から数分後、倫子と日和はようやく泣き止んでいた。目は赤くなっていて、涙の跡も残っている。あれだけ大泣きしたのも無理はないだろう。


「さて、残る問題はあの荷物ね。どうにかして運ばないと」


 アイリンの視線の先には、壊滅したGブロック基地から出た財宝と食料が多く置いていた。悪鬼は多くの村を襲撃し、多くの財宝と食料を略奪しながら滅ぼしていた。その襲撃による犠牲者は計り知れず、救出した奴隷の殆どがその村の生き残りとなっているのだ。


「取り敢えずはモンスターの力を借りて、其れ等を運ぶしかないですね」

「そうね。じゃあ……」


 倫子が言い切ろうとしたその時だった。



「その必要は無いわよ!」

「この声は……!」



 零夜達が声のした方を見ると、なんとキリカとルミナールが馬車に乗りながら駆け付けてきた。しかも大きめの馬車二台であり、馬二頭が引っ張ってきたのだ。


「奴隷達については私達の街「アルムルダ」へ送り届けたわ。彼女達はギルドで保護されているから、もう大丈夫よ」

「それに敵の基地から財宝や食料も出そうだから、その荷物も運べる様手配しておいたの」


 キリカとルミナールの説明を聞いた零夜達は、安堵の表情でため息をつく。彼女達が一時離脱したのは正解であり、もし間違えた選択をしたらどうなっていたのか分からないだろう。


「そうだったのか。お陰で助かったぜ」

「気にしないの。さっ、馬車に荷物を運びましょう!」


 零夜がキリカとルミナールに礼をした後、彼女の合図で全員が食料と財宝を運び始める。荷物の量はとても多く、馬車一台分乗せるぐらいだ。

 しかしゴーレムのお陰で素早く終わらせる事が出来たので、時間もそんなに掛からなかった。


「よし! これで荷物は終わり! 皆、お疲れ様!」


 倫子と零夜はそれぞれのモンスター達をバングルの中に入れるが、ワイバーンに関してはまだバングルの中に入ってなかった。彼等はまだ進化というやるべき事が残っているので、それが終わり次第バングルの中に戻る事になるのだ。


「後はあなた達を進化させないとね」


 倫子が指を鳴らした途端、ワイバーンは進化を開始する。すると彼等の鱗が宝石の様に輝き始め、それぞれの色に変化した。赤、青、緑、紫、黄色、オレンジ、藍色という虹の色となっている。

 更にそれだけでは終わらず、彼等は融合して一つのワイバーンへと姿を変える。その身体の色は虹色となっていて、アイリンはこのモンスターに驚きを隠せずにいた。


「レインボーワイバーン! ワイバーンの種族の中で最強のモンスターよ!」

「レインボーワイバーンか……。まさかこのモンスターになるなんて驚いたけど、良いモンスターに出会えて良かったかもね」


 アイリンはレインボーワイバーンを見ながら微笑んだ後、彼に視線を移しながら笑顔を見せる。それにレインボーワイバーンも笑顔で応え、スピリットとなって彼女のバングルの中に入ったのだ。


「よし! 後は馬車に乗って移動しないとね」

「ええ。アルムルダへの道は私達が案内するわ」

「お願いね」


 倫子達は一斉に馬車に乗り始め、キリカとルミナールの案内でアルムルダへと向かい出す。その数分後にGブロック基地はガラガラと音を立てて崩れ、瓦礫の山となってしまったのだった。


 ※


 零夜達はアルムルダに辿り着き、彼等は街全体の景色を眺めていた。そこはクローバールと変わらない街並みだが、特産品や文化の違いがあるのは明らかと言えるだろう。


「アルムルダはクローバールとあまり変わらないが、特産品も違うみたいだな」

「所変われば品変わるだけどね」


 零夜は辺りをアルムルダの風景を見ながら、この街に興味を示す。それにキリカが笑顔で応えたその時、魔法使いの老人男性が姿を現す。彼の姿を見た彼女とルミナールは、すぐに正面を向いて一礼をする。


「只今戻りました! マスターウォルト!」

「おお。無事で何よりじゃ!」


 ウォルトと呼ばれた男はキリカとルミナールが無事である事にホッとしていて、彼女達は微笑みながら応えていた。ウォルトは零夜達に気付いたと同時に、彼等の元へ近付き始めた。


「ウチのギルドメンバーが世話になった。わしはウォルト。この街のギルド「エッジスレイヤーズ」のマスターじゃ」

「俺は東零夜です」

「藍原倫子です。宜しくお願いします」

「有原日和です!」


 ウォルトの自己紹介に対し、零夜達も自己紹介で返す。すると彼はアイリンに目を移し、彼女がいる事に驚きを隠せずにいた。彼女が行方不明と聞いた時はショックを受けていたが、今は目の前にいる事で驚いてしまうのも無理ない。


「おお、アイリン! 無事じゃったのか!」

「お久しぶりです、マスターウォルト。迷惑掛けてごめんなさい」

「いやいや。お主が無事で良かったわい」


 アイリンの済まなさそうな謝罪にウォルトが笑顔で応える中、キリカとルミナールはこの光景にキョトンとしてしまう。二人が知り合いだという事は初めて聞いていて、気になりながらも彼に質問をし始める。


「マスター……、アイリンとは知り合いなのですか?」

「うむ。わし等のギルドのクエストに来た事があり、彼女とは知り合いなのじゃよ」

「そうですか……。意外な事もあるのですね……」


 ウォルトの話にキリカとルミナールが苦笑いする中、彼は馬車に乗せられている大量の食料と財宝に視線を移す。その様子だとGブロックの基地は壊滅したみたいで、彼は納得の表情をしていた。


「二人共、ご苦労。八犬士達のサポートに尽力し、奴隷達を安全な場所に避難させる行動は見事じゃ!クエストクリア並びに、Bランクの昇級試験を受けてもらう!」


 ウォルトの宣言を聞いたキリカとルミナールは驚きを隠せず、目には涙が浮かべられていた。自分達の努力で褒められただけでなく、まさかのBランク昇級試験を受ける事になるとは思わなかっただろう。


「「ありがとうございます、マスター!」」

「気にするな。八犬士達と出会って心機一転した甲斐があったのう。食料と財宝についてはこちらで手配するとしよう」


 キリカとルミナールのお礼に対し、ウォルトは笑顔で頷きながら応える。零夜率いる八犬士がいたからこそ、彼女達は変わる事が出来た。もしそうでなかったら、ギルドを脱退してひもじい思いをしていたのかも知れない。

 キリカとルミナールは零夜達に視線を移し、これまでの感謝を込めながら一礼をした。


「あなた達がいたからこそ、私達は此処まで来れた。本当にありがとう!」

「今後私達はS級ランクを目指して、精一杯強くなるわ。今度会う時は、あなた達を助けるから!」


 キリカが零夜達に対して礼を言った後、ルミナールは彼等に向けて強くなる事を宣言する。零夜達に色々助けられて貰った以上、その恩を返す為に強くなる事を決意しているのだ。


「分かった! その日が来るのを楽しみにしているぜ! また何処かで会おうな!」


 零夜はキリカとルミナールに対し、笑顔で別れの言葉を告げる。同時に倫子はシルバーファルコン、レインボーワイバーン、ペガサス、ロックファルコンの四匹を召喚。彼等はそれぞれのモンスターに乗り込み、空を飛びながらクローバールへと帰って行った。


「さっ、また会うその日まで、昇級試験に向けて頑張らないとね!」

「新たな仲間も増やさないと!」


 キリカとルミナールは昇級試験に合格する事を決意しながら、ギルドに向かって笑顔で走り出した。その様子を見たウォルトは頷きながら、彼女達の後を追いかけ始めたのだった。

キリカとルミナールは強くなる事を決意。彼女達と再び出会う日が来るかも知れませんね。

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