第37話 一つの因縁の終わり
Gブロックでの戦い、決着です!
零夜達はアイアンダークゴーレムの弱体化と大ダメージを与える事に成功し、彼に片膝をつかせて追い詰めている状態となっている。そのまま攻め込んで攻撃を与えれば、勝機を掴めるチャンスとなるだろう。
「散々好き勝手した以上、一気に攻めさせてもらうわ! 炎龍連撃打!」
アイリンはバングルを変形させ、炎属性のガントレット「バーニングナックル」へと変化させる。そのまま炎の連撃打を放ちまくり、次々とアイアンダークゴーレムにダメージを与えまくった。
「日和、準備はいい?」
「任せて! アクアキャノン!」
日和はアクアイーグルから魔法弾を再び発射し、次々とアイアンダークゴーレムにダメージを与えていく。同時に防御力も最大限にまで減ってしまい、所々に強度が下がっている部分も続出しているのだ。
「鉄ならこいつだな! 火薬玉連発!」
零夜は火薬玉を次々と投げ飛ばし、強度が下がっている部分に爆弾を当てて爆発させる。爆発した部分から次々と装甲が開かれ、中は空洞になっていたのだ。
当然アイアンダークゴーレムはダメージを受けて動けなくなり、倫子はその隙を見逃さずに動き出す。
「チャンスは見逃さない! ここはこの武器を使って終わらせる!」
倫子は自らの手にハンマーを召喚し、両手で掴みながら振り下ろす態勢に入る。ハンマーは見た目がとても重そうだが、倫子が持てる重さと威力の高めで設計されているのだ。
「ハンマークラッシュ!」
「グボァッ!」
倫子の強烈ハンマー攻撃が炸裂し、アイアンダークゴーレムの頭に直撃。すると彼の頭から強烈な音が鳴り響き、そのままフラフラとなって倒れてしまった。
「今の一撃は効いたけど、どうなったのかしら……」
「さあ……」
「またパワーアップして強くなるんじゃ……」
誰もがこの光景に恐る恐る確認してみると、アイアンダークゴーレムの身体から紫色の煙が出始めた。それは強化終了の合図と同時に、彼が元の姿に戻ろうとしているのだ。
「あの紫色の煙……、もしかして……」
「ダメージを受けすぎた分、強化が強制的に解除されるみたいだ。後は確実にとどめを刺すだけだが、油断は禁物だ」
「言われてみればそうかもね」
ヤツフサからの忠告に全員が真剣に頷く中、アイアンダークゴーレムは本来の姿に戻ってしまった。そこにいるのは倒れているバンドーで、彼は既にボロボロとなっているのだ。
「バンドーが……、ボロボロになっている……」
「こ、このわしが……、ここで……、死ぬとは……。何故……、こんな事に……」
バンドーは自身が死んでしまう事をまだ信じず、抵抗しながらも身体を起こそうとしていた。しかしあまりにも大きいダメージの為、身体を起こす事は不可能と言われている。
すると零夜がバンドーの元に近付いたと同時に、忍者刀の先を彼に向ける。その表情は怒りで満ち溢れていて、今にでも殺しそうな勢いだ。
「お前が俺達の世界に侵攻し、後楽園の観客達を殺した。それが最大の敗因だ!」
「そうか……。わしは……、とんでもない敵を……、回してしまったみたいだ……。申し訳ございません……、タマ……、ズサ……、様……」
バンドーは自身の敗北を悟った直後、そのまま光の粒となって消滅。すると大量の金貨が姿を現し、彼の死んだ跡地に落ちていたのだ。
「これで俺達の因縁は終わったか……。仇は取ったぜ、皆!」
零夜は自身の復讐が終わりを告げた事を確認し、青い空を見上げる。それは雲一つなく晴れ渡り、穏やかな風も吹いていた。
零夜の表情は穏やかで、これで死んだ人達も報われたのだろうと感じている。倫子と日和はヒックヒックと泣きじゃくってしまい、我慢できずに彼の元に駆け寄ってきた。
「「零夜君!」」
倫子と日和は零夜にそのまま抱き着き、我慢できずに大泣きしてしまった。自分達の復讐が終わりを告げた解放感はとても大きく、せき止めていた物全てを吐き出していたのだ。
「辛かったのも無理ないですね。よしよし」
「だっで辛がっだもん……! 皆の仇を討づまでは、負げだぐない……。うあーん!」
「ヒッ……、ヒッ……、私だっで、辛がっだ……。うわーん!」
大泣きする二人を零夜は優しく抱き締め、全身をくっつけ合いながら温もりを感じ取り始めた。誰もが見ても羨ましさを感じるのもいれば、同情してもらい泣きする人もいるだろう。
この様子を見たヤツフサ達は、邪魔をせずにその場から離れようとする。
「暫くはそのままにしておこう。我々が邪魔する理由にはいかないからな」
「そうね。私達が邪魔したらまずいし、落ち着くまで待機しないと」
ヤツフサの提案にアイリン達も頷きながら同意する中、ゴーレムの身体が突然光り始める。しかも彼の身体は石でできた身体から、鋼鉄の身体に進化してしまったのだ。
「おい、ゴーレムがアイアンゴーレムに進化したぞ!」
「マジか! 凄い身体しているじゃねーか!」
「いや、大した事じゃ……」
アイアンゴーレムが皆に褒められながら、照れ臭そうな表情で返していく。まさか進化した事は想定外でもあるが、同時に嬉しさも感じているだろう。
「まあ、こういう展開もありかもね」
アイリンはこの光景を微笑みながら見ていた後、突如寂しそうな表情で空を見上げる。今回の戦いでベティとメディを見つける事ができず、手掛かりさえ掴めなかった。その事がとても悔しかったのだろう。
(二人共、今何処にいるの……? 早く会いたいよ……)
アイリンは心の中でそう思いながら、目から涙を流していた。三人の再会は何時になるのか分からないが、必ず無事でいて欲しいと願うしか無かった。
※
「なんだと!? Gブロック基地が壊滅した!?」
悪鬼の本拠地の中庭では、部下達の報告にゴブゾウは驚きを隠せずにいた。Gブロックが壊滅した事は大きな打撃であり、この件で八犬士達が侮れない存在となったのは言うまでもないだろう。
「はい! あの四人の八犬士は見事な策略で、バンドー様を倒したとの事。更に後楽園の恨みが力になっていましたので」
「なるほど。奴が後楽園に向かわなければ、その結末は変わっていただろうな……」
部下の一人からの説明の内容にゴブゾウは一部納得するが、同時に危機感を募り始める。
女神フセヒメが魔王タマズサを倒す為、新たな八犬士達を集わせ始めた。それから数日で四人が集まり、僅か三週間ぐらいでGブロック基地を壊滅させた。零夜達の実力は認めざるを得ないが、何れ脅威となる恐れがあるだろう。
「そうなる為にも各隊長に警戒しろと伝えたからな。恐らく奴等はAからFブロックにも向かおうとしているかもな」
ゴブゾウは事前に各隊長に伝えて良かったと判断しつつ、零夜達の行動を予測する。彼等は今後他の基地も倒しに行かなくてはならないので、全てを解決するには時間が掛かるとの事。しかも其れ等の敵は全てGブロック基地のバンドーより上なので、苦戦するのは免れないだろう。
「そうですね。では、我々はこの辺で」
部下達は同意しつつ、一礼しながらそれぞれの場所に戻り始める。彼等の後ろ姿を見たゴブゾウはため息をついた後、闇に包まれた空を見上げ始めた。
(新たなる八犬士か……。もしかすると、戦う時が来る筈だが、厄介な存在となるかもな……)
ゴブゾウは心の中で八犬士達の脅威を感じたと同時に、タマズサのいる部屋へと向かい始めた。いずれ彼等とは戦う日が来るだろうと思いながら。
バンドーの死亡でGブロック壊滅!零夜達の因縁も幕を閉じましたが、まだまだこれからです!




