表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブレイブエイト〜異世界八犬伝伝説〜  作者: 蒼月丸
第一章 珠に導かれし戦士達
3/167

第2話 大量虐殺の悲劇

悲劇が発生。果たしてどうなるのか……

 後楽園ホール内に突如響き渡った悲鳴と怒号。戦闘員たちによる容赦ない虐殺が始まり、観客たちは一瞬にして我を失った。ここで死にたくない――その切実な願いが、出口へと突進する無秩序な足音に変わった。


「そうはさせねえ! 血を流さないプロレス技でぶっ倒してやる!」

「まさか奴らもプロレス技を使うのか!?」

 

 戦闘員Bの哄笑が響き、零夜が目を丸くした瞬間、戦闘員Bが動いた。出口へ殺到する観客の前に立ちはだかり、獣のような勢いで張り手を叩き込む。


「一般人にはキツいかもしれねえが――どすこい張り手!」

「「「あべらっ!」」」

 

 轟音とともに張り手が観客の胸に炸裂。衝撃波が空気を切り裂き、数人がまるで紙のように吹き飛んだ。プロレスラーなら耐えられたかもしれないが、一般人には耐えきれぬ一撃だ。宙を舞った観客たちは床や椅子に激突し、うめき声も上げられず失神した。


「なんて威力だ! アイツとやり合ったら絶対死ぬぞ!」

「こうなったら反対側の出口だ!」


 生き残った観客たちは息を乱し、反対側の出口へ殺到した。しかし、そこにはすでに戦闘員Aが待ち構え、疾風のように技を繰り出した。


「スパイラルドロップキック!」

「「「あべしっ!」」」


 鋭い回転が空気を切り裂き、ドロップキックが先頭の観客に直撃。衝撃が波紋のように広がり、次々と人が倒れていく。二つの攻撃で瞬く間に観客の半数が地に伏し、ホールは血なまぐさい混乱に支配された。


「出口が塞がれた! どうすりゃいいんだ!」

「簡単な事です。プロレスラーは殺さず、観客だけを仕留める。それが我々の役目です!」

「くそっ! この野郎ども!」


 戦闘員のリーダーが氷のような声で宣告すると、残る戦闘員CとDが獲物を狩る獣のように観客に襲いかかった。その時、一人の観客が震える足で立ち上がり、戦闘員Cに立ち向かった。


「お前らに好き勝手させねえ! くらえ!」


 渾身のパンチが放たれたが、戦闘員Cは嘲笑うようにかわす。拳は空を切り、観客はよろめいて隙を晒した。


「お仕置きだ!」


 戦闘員Cが背後に滑り込むと、両腕で腰を締め上げ、一気に後方へ反り投げる。ジャーマン・スープレックス――頭から床に叩きつけられた観客は、鈍い音とともに崩れ落ち、動かなくなった。


「が……!」


 その無残な姿に、他の観客たちは凍りつき、次の瞬間、出口へ向けて我先にと逃げ出した。


「逃がすかよ!」


 戦闘員Dの声が響き、超能力が発動。逃げる観客たちが悲鳴を上げながら宙に浮かされ、身動きが取れなくなった。リーダーが指を鳴らすと、彼らは一瞬で力を失い、操り人形のように静止した。


「どうなったの!?」

「さあ……」


 倫子と日和は冷や汗にまみれ、倒れた観客たちを凝視した。死の影がすぐそこに迫っているような感覚に、胸が締め付けられる。次の瞬間、宙に浮いていた観客たちが地面に叩きつけられた。零夜は息を呑みながら近づき、彼らの状態を確認し、倫子と日和に目を向けた。


「全員失神していますが、中には死んでる方もいます。残った観客は俺だけになりました……」

「そんな……!」

「こんなことって……信じたくない……」


 零夜の言葉に、倫子と日和は涙をこらえきれず震えた。たった五人の異世界からの戦闘員が、瞬く間に観客を蹂躙したのだ。

 信じがたい悪夢が現実となり、戦闘員たちは観客に圧倒的な力を振るった――だが、プロレスラーにはなぜか普通のダメージしか与えられない奇妙な特性を持っていた。零夜は歯を食いしばり、怒りに燃えた。


「さて、残りは一人か……ん? そのバングル……まさか!?」


 戦闘員Aが零夜に目を留めた瞬間、彼の右手首のバングルに気づき、顔を強張らせた。倫子と日和の手首にも同じものが輝き、戦闘員たちは一斉に後ずさった。


「我々に抗える者がこの世界にいるとは……」

「下手に動けば返り討ちにされるか、最悪死ぬ。ここで命を散らすわけにはいかねえ」

「その通りです。ここは撤退しましょう。我々の恐怖を植え付けた以上、長居は無用。ワープホールを!」


 リーダーの鋭い指示で、戦闘員Dがワープホールを呼び出す。彼らは零夜たちに背を向け、迷わず飛び込んだ。


「おい、待て! 逃げる気か!」

「我々はハルヴァスへ戻ります。もし貴様らがその世界へ来るなら……その時は全力で相手をしてやりましょう」


 リーダーの冷たい言葉が残響し、ワープホールが消滅。ホールには零夜たちだけが取り残され、静寂が重くのしかかった。


(このバングルのおかげで奴らが逃げたのか……俺が助かったのは奇跡だが、他の皆さんは耐えきれずにやられた……)


 零夜はバングルに目を落とし、唇を噛み締めた。周囲には血を流さず倒れた観客が散乱し、中には死体も混じる。この惨劇は大会中止を余儀なくし、重大事態へと発展するだろう。


「せっかく皆が楽しみにしてたのに、戦闘員どものせいでぶち壊しや……こんなの……許さへん……っ!」

「ひっく……うえーん……」


 倫子は怒りに震えながら涙を溢れさせ、拳を握り潰した。観客を喜ばせるはずの舞台が、一瞬で地獄に変わったのだ。日和は倫子にすがりつき、嗚咽を漏らしながら大粒の涙を流した。


(あの野郎ども……せっかくの大会をぶち壊しやがって……絶対に許さねえ!)

 

 零夜は拳を震わせ、戦闘員への憎悪を燃やした。大会を破壊し、観客を次々と屠った彼らの非道は許容を超えていた。そして決意を固め、泣き崩れる倫子と日和に呼びかけた。


「倫子さん、日和さん。悔しい気持ちは分かります。でも、ここで立ち止まっていても何も変わりません。奴らを倒しに行きましょう!」

「倒しに行くって……どうやって? 私たちがやっても返り討ちにされるだけじゃない……」

 

 倫子の声は涙に濡れ、不安が滲む。戦闘員の圧倒的な力を思い出し、恐怖が彼女を縛った。


「俺たちの手首にあるバングルが鍵になります。奴らはこれを見てビビって逃げ出しましたし、倫子さん、日和さんにも付いてますよね」

「そうだった……私たちも零夜君と同じバングルだけど、もしかして何か繋がりがあるのかな?」


 日和が涙を拭い、バングルを凝視しながら呟いた。倫子も頷き、三人は自分たちに秘められた何かを感じ取っていた。


「そこまでは分かりません。とにかく、準備ができ次第ハルヴァスに行く方法を探しましょう。きっと何か見つかります!」

「そうだね。私たちの手でお客さんの仇を取らないと! これ以上奴らの好き勝手はさせへん!」


 倫子の目に炎が宿り、倒れた観客たちの敵を討つ決意が固まった。日和と零夜も頷き、三人は固い絆で結ばれた。

 後楽園ホールでの襲撃は多くの命を奪い、零夜、倫子、日和は復讐を誓った。ここから、彼らの命がけの冒険が幕を開ける。

悲劇の展開によって多くの観客達が死亡する事態に。果たしてどうなるのか……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
これは酷いです。 そしt続きも楽しみです、
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ