表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブレイブエイト〜異世界八犬伝伝説〜  作者: 蒼月丸
第三章 幕張の隠された秘宝
117/167

第116話 断罪の矢

ダークサイクロプス戦、決着です。

 ダークサイクロプスは腕を鳴らしながら、余裕の笑みを浮かべている。自身の技で形勢が逆転し、後は生き残っている者達をまとめて倒せば勝利と言えるだろう。まずは目の前にいる零夜達を始末しようと、自らの拳に最大限の力を溜め込み始めた。


「とどめの一発を浴びせるとしよう!覚悟しろ、八犬士の戦士よ!」

(ここまでか……!皆、ごめん……)


 ダークサイクロプスが全身全霊の拳を振り上げ、零夜にとどめを刺そうとする。彼が覚悟を決めて目を閉じたその直後、彼の懐が強く光輝き始めたのだ。


「な、何だ⁉」

「零夜君の懐が光り輝き始めた……!」

「どういう事⁉」


 全員が予想外の展開に驚いている中、零夜の光っている部分からまばゆい光が飛び出していく。その光は部屋全体に広がり始め、この光景に誰もが驚きを隠せずにいたのだ。


「なんだこの光は⁉まぶしくて見えない……!」


 ダークサイクロプスは両手で目を抑えながら、一歩ずつゆっくりと後退してしまう。彼は闇属性であるので、今の様なまばゆい光にも弱い。なので今の零夜を直視できないのも、当然無理はないと言えるだろう。


「今の光が懐から……もしや!」


 すると零夜は光を放つ正体がすぐに分かり、光り輝く懐からある物を取り出していく。その正体は……刈谷が零夜達の為に作成し、彼等が迷宮へ入る時に渡した手作りのお守りだった。


「あの時あいつから手渡されたお守りが……ここで役に立つとはな……本当に感謝するぜ!」


 零夜は手作りのお守りを見ながら、ニッコリとほほ笑み始める。あの時お守りを受け取っていなかったら、彼は死んでいた可能性もあり得るだろう。

 するとお守りは零夜の手から離れ、そのまま宙へと浮かび上がる。同時に彼等に向けて光を浴びせた途端、今まで受けたダメージが嘘の様に消えてしまったのだ。


「傷が回復していく……!これがお守りの力なのか?」

「そうかも知れないわ。その証拠にダメージも完全回復したし、後で刈谷にお礼を言わないとね」


 零夜達がお守りの効果に驚きを隠せない中、気絶していた筈の日和達が次々と起き上がっていく。彼女達もお守りの効果で戦闘不能から回復し、完全に戦える様な状態になったのだ。


「あれ?私達は確か気絶していた筈じゃ……」

「あれが原因です。刈谷から貰ったお守りがあったからこそ、今の俺達がいます」

「なるほど……後で刈谷君に感謝しておかないとね!」


 日和がキョロキョロ見回しながら、自身がいきなり動ける様になった事を疑問に感じる。零夜は彼女の肩を叩いたと同時に、宙に浮かぶお守りを指さしながら説明をした。それに日和達は納得したと同時に、一斉に立ち上がってダークサイクロプスを睨み付けていく。


「刈谷君から貰ったお守りが無かったら、私達は倒れていたままかも知れない。完全復活した以上、容赦しないんだから!」

「同感よ。私達の戦いはここからが本番!最後まで諦めずに戦うのみ!」


 日和の宣言に倫子も同意し、彼女の宣言と同時に全員が武器を構えながら戦闘態勢に入る。これまで好き勝手にされた以上、ダークサイクロプスを倒さなければ気が済まないのだ。


「こうなったらお前等を完全に倒してやる!今度は強烈に行かせて貰うからな!」

「またあの技が来るぞ!全員躱せ!」


 ダークサイクロプスは自身の拳に力を籠め始めたと同時に、跳躍しながら地面に拳を当てようとする。危機感を感じた零夜の合図と同時に、彼はヒカリ、エヴァは椿、マツリはりんちゃむを抱え始める。そのまま全員で跳躍しながら、ダークサイクロプスの技を回避しようとしているのだ。


「何度躱しても無駄だ!ダークアラウンドウェーブ!」


 ダークサイクロプスが地面に拳を当てて、強烈な波動攻撃を周囲から出そうとする。しかしその波動は不発に終わってしまい、静寂な空気が流れてしまったのだ。


「あれ?攻撃が出ない?」

「いったいどういう事なのかしら……」

「攻撃不発……まさか……!」


 零夜達もこの光景に思わずポカンとしてしまうが、無事に地面に次々と着地をしていく。するとトワは攻撃不発の原因がすぐに分かり、宙に浮かぶお守りの方へ視線を移す。


「分かったわ!技が不発したのはあのお守りが原因よ!もしかすると敵が攻撃する事を察して、不発にさせてくれたに違いないわ!」

「まさかそんな力があるなんて……刈谷には物凄い借りを作ってしまったかも知れませんね」


 トワは笑みを浮かべながら、宙に浮かんでいるお守りの可能性を予測する。その説明を聞いた誰もが納得の表情をしていて、助かった事に笑みを浮かべていた。あのお守りのおかげで助かった以上、刈谷にはお礼をしないといけないのだろう。


「おのれ……こうなったらお守りを破壊してやる!そうすれば怖いもの無しだ!」


 ダークサイクロプスは宙に浮かぶお守りを破壊する為、自身の左手で握り潰そうと動き出す。しかしその前に零夜が立ちはだかり、彼に向けて強烈な斬撃を放とうとしていた。


「村雨よ、邪悪な者を切り裂け!断罪一閃!」

「がはっ!」


 強烈な横一線の斬撃が、ダークサイクロプスの身体を上から下まで切り裂いていく。激痛の大ダメージを受けた敵は片膝をついてしまい、体力も大幅に半分以下へと減らされてしまったのだ。


「敵の体力を半分以下に減らしたぞ!」

「よし!皆でロープを飛ばしてください!動けない彼を縛り上げましょう!」


 エイリーンはロープを次々と錬金術で作り上げ、一人ずつ渡していく。倫子達はロープを受け取った事を確認したと同時に、立ち上がろうとするダークサイクロプスに向けて投げようとしていた。


「行きますよ!せーの!」

「「「そーれ!」」」


 エイリーンの合図で彼女達はロープを投げ飛ばすと、ロープは自動的に伸びながら動き出し、ダークサイクロプスをぐるぐると縛り上げながら固定し始めた。これで彼は身動きが取れなくなり、いくら抵抗しようとしても解けなくなってしまったのだ。


「なんだこのロープは!外れないぞ!」

「このロープはハントロープ。敵を自動で追いかけて縛り上げる高性能ロープです!捕まってしまった以上、抵抗する事は不可能ですからね?」

「て、テメェ!余計な事をしやがって!」


 エイリーンは縛られているダークサイクロプスに対して、あくどい笑みを浮かべながら説明する。それを聞いた彼が怒り狂い出してしまい、ロープを引きちぎろうと両手に力を籠め始める。しかし両手までロープで縛られている以上、脱出や攻撃も不可能。こうなると観念するしかないだろう。


「そしてトドメは私ではありません……この人がします!」


 エイリーンが指さす方に全員が視線を移すと、トワがシャインアローを構えながらダークサイクロプスに狙いを定めていた。しかもその弓矢には光のオーラが強く纏わっていて、彼女も敵の弱点を確認しながら冷静に対応しているのだ。


「リッジ。あなたの野望はこれで終わり。あなたの罪は……私が断罪する!」


 トワはダークサイクロプスに対して力強く宣言し、光のオーラに包まれた弓矢の弦を強く引っ張り始める。自身の大切な仲間を殺した罪、孤児院の皆を殺した罪、刈谷に重傷を負わせた罪を、その弓矢に力強く籠めながら。


「あなたはここで終わりよ!断罪の矢!」


 トワが放たれた矢は、光のオーラを纏いながら真っ直ぐにスピードを上げていく。そのままダークサイクロプスの心臓部分に直撃した後、強烈な光を放ち始めたのだ。


「ぐわああああああ‼この俺が……こんな……輩に……負けるなんて……うおおおおおおおお‼」


 ダークサイクロプスは絶叫した直後、光の粒となって消滅。彼の消えた場所には、大量の金貨がドサッと地面に落ちていた。これによってリッジの死亡が確認され、Cブロック基地は壊滅。更に地下迷宮での戦いも終わりを告げたのだ。


「やった……私達の手で……リッジを倒した……勝ったぞー‼」

「「「やったー‼」」」


 トワは勝利の実感を感じながら、プルプルと身体を震え出していく。その直後、喜びの感情を爆発させながら笑顔でジャンプしたのだ。同時に倫子達も両手を真上に上げながら、喜びの声を上げていく。同時に皆がトワの周りに集まり、皆で抱き合いながら勝利を喜び合ったのだ。


「ようやく終わったか……後は刈谷に報告しておかないとな……」


 零夜は安堵しながら地面に腰を下ろした途端、奥の部屋からコツコツと足音が聞こえ始める。全員が音のした方を向いた途端、一人の老人が姿を現したのだ。


「よくやったぞ、トワ!」

「シュンラ様!」


 なんと部屋の奥から姿を現したのは、リッジの襲撃で死んだ筈のシュンラだったのだ。

第三章も残りあと4話です!最後まで目を離さないでください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ