第99話 エヴァの策略
ブラックファントムとの戦い、決着です!
エヴァは有刺鉄線バットを構えながら、ブラックファントムに次々とダメージを与えていく。有刺鉄線があるだけでもかなり痛く、ところどころに傷ができるのも無理はない。
「こいつが!調子に乗るのもいい加減にしろ!」
ブラックファントムも負けじと竹刀攻撃を繰り出し、エヴァの身体にダメージを与えていく。しかし彼女はここで一歩も引かず、真剣な表情でブラックファントムを睨みつけていた。
「竹刀の一撃……けど、この程度は問題ない!」
エヴァは真剣な表情で強烈なハイキックを繰り出し、ブラックファントムの側頭部に直撃する。今の一撃を一般人が喰らったら、仰向けに倒れて意識不明の重体となってしまうだろう。
「ぐお……」
ブラックファントムは強烈なハイキックを受けてよろめいてしまい、リングマットに片膝をついてしまう。エヴァのパワーを甘く見ていたからこそ、この様になっているのだ。
「あのブラックファントムが片膝をつくなんて……」
「いくら鋼の肉体を鍛えても、頭だけはどうしようもならない。これはプロレスラーでも同じだからな」
この光景にアイリンか驚きを隠せずにいて、零夜は真剣な表情で説明をする。人間身体を強く鍛えても、頭だけはどうしようもならないのが現実なのだ。
「それにプロレスラーは傷だらけで立ち向かう姿が多いが、鍛えるだけでなく忍耐も必要になる。半端な覚悟で挑めば、大怪我に繋がるからな……」
「う、うん……」
零夜は真剣な表情をしながらアイリン達に忠告し、彼女達はゴクリと息を呑んでしまう。どんな時でも誠心誠意を持ちながら取り組む必要があり、途中で止めてしまったら最悪な結果となるのだ。
「起きろー!」
「ぐお……」
リング上ではエヴァがブラックファントムを立たせたと同時に、相手の両腕を背面に「く」の字になるように自分の腕を絡めて曲げていく。更にやや腰を落とした後、ブラックファントムを持ち上げながら後方へ反り返り、相手を背面から後方に叩きつけたのだ。
「ダブルアーム・スープレックス!今の技は効果覿面!」
「エヴァ、その調子よ!どんどん攻めて相手を倒しちゃえ!」
(やってくれるじゃねえか……それならこっちだって考えがあるんだよ!)
トワはガッツポーズをしながら喜んでいて、マツリはエヴァに対してグッドサインでエールを送る。するとブラックファントムはすぐに転がりながら、リング外へと落下。そのまま蛍光灯を手に取り、リングへと戻っていく。
「あれは蛍光灯!あいつ、彼女に対して蛍光灯で殴り飛ばすつもりだ!」
「ええっ!?あれ、結構痛いのですか!?」
「そうだ。プロレスのデスマッチの多くは、蛍光灯を使った試合が多い。この一撃を喰らってしまえば、出血は確定と言えるだろうな」
零夜の説明を聞いたエイリーンは、怯えた表情をしながら息を呑んでしまう。蛍光灯が凶器として使われるだけでなく、その痛みによる恐怖にゾッとするのも無理はないだろう。
「じゃあ、これをエヴァが喰らってしまえば……」
「血まみれでやられてしまう可能性はあるだろうな……」
日和は恐る恐る零夜に質問した途端、彼は冷静に答えを返す。それを聞いた日和はガタガタ震えてしまい、顔も真っ青になってしまった。自身もあの蛍光灯にやられてしまえば血まみれになる可能性があり、恐怖で震えてしまうのも無理ないだろう。
「さあ、死ぬ覚悟はできているかな?お望み通り血祭りにしてやる……」
その間にもリング上ではブラックファントムが蛍光灯を振り下ろそうとしていて、エヴァは真剣な表情をしながら冷や汗を流していた。
(まさか蛍光灯を繰り出すなんてね……こうなると……そうだ!)
するとエヴァの頭の中に、ある閃きが思い浮かべられる。その直後に蛍光灯が彼女に向かって振り下ろされてきたのだ。
「おっと!」
「な!?」
エヴァは素早くサイドステップで回避していき、そのままリングの外へ移動する。すると零夜の元に移動していき、彼の手を掴んだのだ。
「へ?エヴァ?」
「零夜、あなたの力が必要よ。あと、有刺鉄線付きボードを用意して」
「策略があるのか……分かった!やってみるとするか!」
エヴァからの頼みに零夜は真剣に頷き、すぐに有刺鉄線ボードを取りに向かう。更にエヴァはリングに上がり、落ちている有刺鉄線バットを拾って戦闘態勢に入ろうとしていた。
「こいつが!」
ブラックファントムはエヴァに対して蛍光灯を振り回すが、何れの攻撃も躱されてしまう。逆に彼女は有刺鉄線バットを振り回し、強烈な一打を彼の右手に叩き込む事に成功したのだ。
「ぐわっ!」
「有刺鉄線バットが右手に炸裂した!今、蛍光灯を持っているという事は……」
今の行為にトワが真剣に推測したその時、ブラックファントムの手から蛍光灯が落ちてしまった。すかさず零夜がその蛍光灯を奪い取り、跳躍しながら振り下ろそうとしていた。
「蛍光灯を持ったのが仇になったな!はっ!」
零夜の蛍光灯による一撃が、ブラックファントムの頭に炸裂。蛍光灯は当然割れてしまい、破片が辺り一面に飛び散ってしまったのだ。
「ぐおっ……」
ブラックファントムはよろけてしまい、すかさずエヴァが彼を持ち上げる。同時に零夜も有刺鉄線ボードをコーナーリングに設置し、すぐにリングサイドに移動する。
「そーれ!」
エヴァは勢いよくブラックファントムを投げ飛ばし、彼を有刺鉄線ボードに叩きつける。今の一撃で有刺鉄線ボードは真っ二つに割れてしまい、彼の背中に有刺鉄線が食い込んでしまった。
「ぐわああああああ!!」
ブラックファントムは有刺鉄線のダメージを受け、思わず悲鳴を上げてしまう。いくら彼がデスマッチファイターでも、この痛みは尋常ではないだろう。
するとエヴァはすかさずブラックファントムの右手を掴み、彼を持ち上げて逆さまの状態にする。そのまま天井に向かって高く跳躍したと同時に、場外へ向かって急下降しだしたのだ。
「これで終わりよ、ブラックファントム!」
エヴァの宣言の直後、彼女はブラックファントムの脳天を城外の床に叩きつける事に成功。そのまま彼は大ダメージを受けてしまい、バタンと仰向けに倒れてしまったのだ。
「これが私のオリジナルプロレス技……奈落落としよ!」
「そうか……俺は……こんな奴に……負けて死ぬのか……俺とした事が……」
ブラックファントムはそのまま息絶えてしまい、光の粒となって消滅。同時に彼のいた場所には札束が置かれていたのだ。その金額は二十万。
「よし!無事にブラックファントムを撃破!」
エヴァは札束を手に取り、笑顔を見せながら微笑んでいた。同時に次の部屋に続く扉もゆっくりと開かれ、零夜達は先に進める様になったのだ。
「まさかエヴァがこの策略を思いつくとは驚いたぜ……蛍光灯の攻撃を防ぐ為に有刺鉄線バットを上手く使い、俺を使って蛍光灯攻撃を仕掛けるとは……」
零夜は笑みを浮かべながら、彼女の策略を心から称賛していた。あの策略がなければ、ブラックファントムとの戦いは苦戦していたに違いないだろう。
「ええ。彼はパワー系であるプロレスラーなのは認めるけど、彼は完全に悪の心を持っていたからね。そんな奴に私が負ける筈がないんだから!」
「うおっ!?」
「「「!?」」」
エヴァはガッツポーズで笑顔を見せた後、そのまま零夜を持ち上げながら抱き寄せてきたのだ。これは誰もがビックリするのも無理無く、零夜に至っては理由が分からずに動揺するのも無理はない。
「さっ、進行開始!」
「おい!この状態でなのか!?恥ずかしいから離してくれー!」
エヴァはそのままの状態で先に進んで行き、零夜は赤面しながら叫んでしまう。しかしエヴァはルンルン気分で歩いている為、その耳には届いてなかったのだった……
エヴァと零夜の策略で見事勝利!次の部屋に向かいます!




