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詐欺師と寂しい女

作者: うずらの卵。

「俺、俺だって」ガチャ…。

最近はオレオレ詐欺は流行らないのかない?

今月はスッカラカンだよな。

俺は浩二、フリーターの22歳だ。

以前は楽にオレオレ詐欺に引っ掛かる奴が沢山いて儲かったけど、最近はもう引っ掛かる奴がいない。

まぁ、仲間と二人でやってるから後一回かけて駄目なら諦めるかな。

プルループルルー、ガチャ「俺だよ。俺だって」すると、相手が答えて来て手応え有りだった。

「あっ、海斗さん?」俺はガッツポーズを作った。

「そうそう、海斗だよ、実は今困っててさ」

「どうしたの?相談に乗るよ」

「実はお金盗まれちゃってさ」

「大変ね、いくら有れば足りる?」

「言いにくいんだけど、五十万どうしても必要で」

「解った、用意しておくから◯◯公園に取りに来てくれる?」

「今俺どうしても外せない用事があって知り合いに取りに行かせるから」

「解った、じゃ2時にね」

俺は電話を切り仲間に連絡を入れて取りに行かせた。

そして、仲間の環太が待ち合わせ場所に行くと、顔色が青くほっそりした30歳位の女性がベンチに座っていた。

環太が近づくとその女性は「海斗さんの知り合いの方?」と聞くので、

環太は「そうです」と答えると女性はバックから封筒を差し出した。

寛太は封筒を受け取ると「ちゃんと海斗に渡します」と言いその場を後にした。

環太はニヤニヤしながら浩二の所に行き、

二人でお金を山分けした。

それから数回に渡り、その女性からお金を騙し取った。

受け取りは環太で、電話は浩二がかけた。

そんなある日、女性に困ってるといつものように電話をすると、女はお金を用意しておくから家まで来て欲しいと言うのだ。

今回も環太が聞いた住所に行くと、そこはかなり古いアパートの一階だった。

そして、インターホンがなくドアを叩いても返事がなかったので、寛太はドアノブを回してみた。

すると、鍵が掛かっておらずドアはするなり開いたのだ。

寛太は声を掛けて玄関から部屋に入ると、

布団の上に女性が寝ていた。そっと近づくとなんと息をしていなかったのだ。

そして、枕元には封筒が置かれていて宛名に海斗様と書かれていた。

寛太は恐る恐る封筒を取ると急いで部屋を後にした。

そして、浩二の元に行き女性が亡くなっていた事、手紙が置いて合った事を伝えた。

浩二が手紙を開くと綺麗な時で文字が綴られていた。

海斗さん、あなたが詐欺師だと最初から解っておりました。

私はずっと1人で天涯孤独でした。

そして、半年前に病にかかりもう長くないと医者に言われたのです。

寂しかった、一生懸命働いて働いて…でも職場の人達とも打ち解けず、家と職場の往復のみで楽しみもなく、誰かと話したかった。詐欺だと解ってたけど人と話せた事が嬉しくて、誰でも良いから私の存在を知って欲しかった。生きていた証が欲しかった。

今までは固定電話はただの置物でしかなかった。でも、その固定電話が鳴った時どんなに嬉しかったか。人と会話が出来た事がどんなに嬉しかったか。

海斗と言う名前は小さい頃に事故で亡くなった私の弟の名前です。

寂しかった私に死ぬ前に話し掛けてくれて有難う。

今後二人が悔いのない人生を歩む事を祈っております。 さようなら、幸子。

俺達は手紙を読んだ後、警察にアパートの一室で女性が亡くなっていると連絡をし出頭した。

罪を償う為に。










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