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プロローグ


 俺は真島大樹まじま だいき19歳。

 地方大学の一回生だった。

 なんで過去形かって?

 説明するとーー



 大学にも入学したんだから。と高校生の時は校則で出来なかったバイトをしてお金稼いでサークル入ってコンパして彼女作って彼女以外の女の子とも仲良くしてーー


 早速脱線しかけたが要するにバイトをしようとネットで探していた。

 すると[神子募集みこぼしゅう]と書いてあった。

 時給は¥2,000+出来高と、とても目を惹く内容だった為すぐに募集をかけている神社を調べたらこれまた近所だった。

 

 これは絶対やりたい! と思い募集要項を見ながら


 「あれ? 神子って巫女の事か? でも男女問わずってなってるぞ」

 そもそも神子というものを知らないが応募資格があるならなんでもいいや!


 掲載されている電話番号に電話したら気の良さそうな女性の声で案内された。


 「あの、神子のバイトの募集を見てお電話しました。まだ受け付けてますか?」

 『はい、ありがとうございます。受付は行なっておりますよ。お名前とご年齢を頂戴致します』

 「はい! 真島大樹と申します。19歳学生です!」

 『畏まりました。では明日の19:00に神社の方にお越しください』

 「わかりました! ありがとうございます!」


 電話を切ってから19:00という時間に引っ掛かったものの、それだけで断る理由にはならないので一瞬で受け入れた。



◇◆◇◆


 約束の時間10分前に神社に着いたので社務所の方を訪れた。

 面接の印象値を上げるために10分前行動は心掛けて。


 コンコンコンーー

 ガチャ


 「19:00から面接のお約束をさせて頂いております真島と申します!」

 「お待ちしてました! こちらへどうぞ」


 声を掛けると20代後半頃の綺麗なお姉さんが案内してくれた。

 声からして恐らく電話の対応してくれた人だろう。

 社務所から廊下続きで歩いていると神社の境内の中に案内され広めの空間に置かれてある座布団に座るよう指示された。


 日も落ちてきたしあまり良い雰囲気とはいえないがあまりマイナス印象を与えないようそこには触れないでおく。


 「それでは面接を始めますね。あまり緊張せずに質問にお答えください」

 「はい、わかりました!こちら履歴書です」

 「質問はこの場でしますので履歴書は不要ですよ」


 女性はそういうと履歴書を開けもせず横に置いた。

 神社で働くなら履歴書なんていらないのか。と思い質問を待った。


 「では質問始めます。神様の存在を信じますか?」


 初っ端からなかなかぶっ飛んだ質問がきた。

 そりゃ神社で働いてるからには神様を信じているから働いている人も多いんだろうが俺は特に信仰もしてないし家に神棚すらない。

 だが受かる為だ。


 「勿論信じてます! ってか、います!」

 「ほぉ…… ありがとうございます。では続いて質問します。黄泉の国について知っている事をお話しください」


 んん?

 なんか2問目にしてテイストが急に変わったな。

 なんか怖い質問だけど時給¥2,000+出来高の為だ。

 平気な顔で答えてやる。


 「そうですね。黄泉の国と聞くと死後の国という事しか知りません。そこには魑魅魍魎がいて現世の裏の世界という印象です」

 「ほほぉ…… なるほど。よくご存知ですね。」


 お?

 なんか褒められたって事は正解なのか?


 「では最後の質問です。これから真島さんには除霊の仕事をして頂きますが、他にもあればいいな。と思う能力を2つ挙げてください」


 除霊の仕事?

 なんか白い紙の付いた棒を振ったり、数珠持ってお経読んだりするのか?

 お経なんて覚えれるかな。

 あ、じゃなくて除霊するにあたって[もしこんな能力があれば便利だな]という質問か。

 これも遠回しに霊を信じているかどうかの判断材料にされてるっぽいから合わせておくか。

 

 「そうですね…… やはり何と言っても霊を見つける目が必要ですね。どこに霊がいるのかわからなければ除霊しようがないので! そして二つ目は良質な除霊道具ですね!」

 

 これが求めている答えなのかわからないが理由も添えて即答したから印象は悪くないだろう。


 「ありがとうございます。質問は以上になります」

 「ありがとうございました! 採用の結果はいつ頃連絡頂けますか?」

 「採用に関しては私に一任されておりますので、真島さんは採用とさせて頂きます」

 

 おお!

 即時採用はありがたい!


 「では続いて別室にて職務内容のDVDをご覧になって頂きますね」

 「はい! ありがとうございます!」


 案内された部屋は小さなソファと小さなテレビしかないこじんまりとした部屋だった。


 「ではこちらにお掛けください」


 小さなソファに腰をかけ小さなテレビをみつめた。

 テレビには棒人間のようなキャラが説明する安いアニメーション動画が流れた。

 


 『では今から職務内容の説明に入ります! 内容は簡単。今から行って頂く下位世界で人間に取り憑く悪魔を退治して頂きます。方法はーー


 1.悪魔だけ退治する

 2.取り憑いている人間ごと殺す

 3.封印してしまう


 どの方法をとって頂いても結構です! 退治の場合は取り憑いている人間自体が悪い思考を持ってる場合も多くありますのでアフターケアも忘れずにお願いします。めんどくさい場合は取り憑いてる人間ごとっちゃってくださーーい! 封印に関しましては能力か道具が必要なので、その能力を面接で所望していたら手っ取り早いですね! ではご健闘をー!』



 ブチッーー



 DVDが止まりテレビが砂嵐になる。

 面接の女性が横から話し始めた。


 「以上になります。なにかわからないことは……」

 「わからん事しかないわ!!」


 淡々とした口調に食い気味で突っ込んでしまった。

 さっきまでは採用されたいが為に合わせて話してたけど、もうこうなったら採用とかどうでもいい。


 「まず下位世界ってなんですか!? それで悪魔退治って俺がそこで1人でやるんですか!? あと、人間殺すって!? これって何かの隠語か専門用語で説明されてます!? 1ミリも理解できてねえんすけど!」


 もう正直に全部ぶちまけた。

 

 「……。えーと、もう一度ご覧になられますか?」

 「見てもわかんねーよ!!」


 お姉さんが笑顔で問いかけてきた。

 見てもわかんねーよ!

 口で言った言葉だが心でも全く同じ事思った。

 怪しい。

 モロ怪しすぎる。

 まず仕事内容の説明の説明ほしい。

 いや、それ以前の問題だ……

 

 よし、断ろう。


 「すいません! ちょっと他のバイトの面接もあって来週には全部結果出るんですよね! なので一度考えさせてもらって!」


 よし、このまま立ち去ろう。


 「ありがとうございました! また何かご縁があればお願いいたしまーす!」


 よし、切り上げよう。


 そそくさと社務所を出て、外に向かって小走りで帰ろうとした。


 「真島さん! ちょっと待ってください!」


 お姉さんが後ろから追いかけながら叫んでたが関係あるかい。

 さっさとおいとましよう。


 「いえ、大丈夫です! お構いなく!」

 「そこでたら危ないです!」

 

 振り切りながら鳥居をくぐって外に出たら、そこは全く見た事のない風景が広がり山のひらけた場所のような所からそれを眺めていた。


 というかさっきまで夜で真っ暗だったのに昼?


 ふぁ?


 ふぁぁ?


 ふぁぁぁぁぁあ!?

 

 ちょっと待て。これどうなってんだ。

 整理しよう。

 さっきまで夜だった。確かに夜だった。

 それで俺は神社にいて逃げるように帰ろうとした。

 お姉さん追いかけきた。

 

 うん、整理してもわからん。


 見た事のない風景を絶句しながら呆然と見ていると後ろから


 「あ! 良かった! 生きてた!」


 さっきのお姉さんが追いかけてきた。


 「どこから!?」

 「説明も聞かれずに急いで除霊に向かうからビックリしましたよ!」


 いや、向かってないし。

 潔く逃げたんだし。


 「行ってねーよ! てかここどこなんすか!?」

 「説明DVDを観た時点であの神社の敷地外は下位世界に繋がるようになってたんですよ。初めての転移は身体にかなり負担がかかるから私共が付き添い負荷を担うのですが真島さん1人で行かれたので。良かったですね。初転移1人ですると80%ぐらいの確率で負荷に耐えきれず死にますからね。」

 

 おー……

 この人今かなり怖い事を平然と言ったよ。

 80%で死ぬような説明絶対最初にする所だろ。

 馬鹿なの?

 てか馬鹿だこいつ。

 だが頼れる奴は悲しいかなこいつしかいない。

 

 「逃げようがないって事か。次はちゃんと話し聞くんで説明してください。諸々と。なんにも理解できてない。」


 逃げたせいでさっきより疑問が増えただけだった。


 「わからずに飛び出たんですか!?死んだらどうするんですか!」


 黙れ、ポンコツ。

 面接の時のキャリウー感どこいった。


 「まず下位世界ってなんですか? ここがその下位世界?」

 「そうです。下位世界というのは簡単説明すると我々が生活している現行世界の裏世界です。下位世界でネガティブチェインが広がると表裏一体の現行世界にも良くない事が起こります。地震も戦争も全ての原因の元は下位世界にあります」

 

 急にキャリウー感戻ってきたな。

 DVDの内容とお姉さんの話しを擦り合わせたら少し理解できてきた。


 「てことはこの下位世界でよろしくない事が起こっている。と。その原因が悪魔で、それを俺が退治する。と。それを放置してたら俺らの世界にも悪影響がでてくる。ってことですか?」

 「そうそう! なんだ、わかってるじゃない!」


 お姉さんはケラケラと笑いながら背中を叩いてきた。

 

 「全然頭じゃ理解できてないけどな!」

 「そうそう、それで面接の時に希望してた能力は今から与えるから少しジッとしててくれる?」


 能力か……

 確か[目]と[道具]って言ったな。


 「では、いきます」



 ザクッーー


 いだだだだだ!!!!


 「はい、オッケーです」

 「何したんですか!? めっちゃ左眼痛いんですけど!」

 「安心してください。左眼に霊視できる膜を貼っただけです。一度眼球外しましたが……」


 なんか怖い事を最後にボソッと言いやがった。

 確かに左眼がボンヤリする。


 「続いて道具でしたね。3つお渡しします」

 

 ほう、3つもくれるのか。

 なんか状況を受け入れすぎてる自分も怖いがこうなれば喜んで受け取ろう。


 「ではこちらの剣とネックレスと鏡をお渡しします。使い方は簡単です。取り憑かれた人間ごと殺(や】りたい時は剣で思いっきり切り倒してください。そして悪魔だけを駆除したい場合は取り憑いている人間にこの鏡を覗かせれば悪魔だけが離れます。ネックレスは身につけてもらってたらいいです。」


 ほほう、それっぽいな。

 そしてネックレスはアイテムとしてはノーカンだな。これ。

 実質2個やん。


 「わかりました。じゃぁもう諦めてやれるだけやります。最初はどこに行けばいいんですかね?」

 「ここから見える街に修道院があるのでそこにいるアリアという方を訪ねてください。ハルカからの紹介できた。と伝えてもらえればお世話してもらえるようになってます」

 「アリアさんですね。ハルカはお姉さんの名前ですかね。わかりました。これ、どうなったら仕事終わりなんですか?」

 「今は詳しく言えませんが悪魔のボス的な存在封じ込めたら終わりです。頑張って!」


 最後雑すぎわろた。

 なんせ行かないと始まらないし終わらない感じだな……


 「わかりました…… とりあえずあの街行けばいいんですね。行ってみます」

 

 俺は嫌々ながらも少し遠くに見えてる街へ歩きだした。

 振り返ったらお姉さんもういねえし。

 帰るなら連れて帰れや。


 


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