deta,71:今回もやってやるぜ!!
「エレイン……あなたが恋した相手って、私達と同じ女の子なの……!?」
「そう。だから悩んでたの。だってあたし、あの氏仲のせいで男嫌いになっちゃってから……男相手に恋が出来なくなっちゃったもの。そしたらミコトが……男勝りな性格の女の子で、気付いたら騙すつもりがどんどん惹かれていっちゃって、もうどうしようもなくなったの!!」
エレイン・ローレンスの悲痛な叫びは涙に変わる。
「そんな……!!」
セレア・メイランドは愕然とする。
まさかエレインの男嫌いがそこまで重症だったとは、思いもしなかったからだ。
「その子、ミコトって言うのね……」
「うん……ユウキ・ミコトって言う名前……」
「鮫島さんが狙っている女の子ね……」
「ミコトを鮫島なんかには渡したくない!! もしミコトの身に何か起きたら、あたしがミコトを守るわ!!」
「……落ち着いてエレイン……ひとまず少し眠ってから、一緒に考えましょう」
「うん……」
こうしてセレアとエレインは、二人一緒にベッドへ横になった。
「今日の典礼に、エレイン来てなかったな。何かあったのかな」
典礼の後片付けをしながら、悠貴美誠がラフィン=ジーン・ダルタニアスに訊ねる。
「時には休むこともありますよ。あまり気になさらずとも宜しいのでは?」
「そうだな。何か別の用事でもあっただけかもな。明日になっても連絡なかったら、俺から電話してみるよ」
「ええ。そうなさい」
ラフィンは言うと、ニッコリと笑顔を見せる。
ちなみに水沢堂魁は、昨夜の後もあって寝不足で、リビングのソファーで眠っていた。
「典礼お疲れ様二人とも。もし良かったら、どちらか一人草むしりをやってくれんかね? 夏場の雑草はむしった側からまた生えてくるから、きりがなくて困る。わしは畑をいじるから、草むしりは教会周辺で構わんのだが」
麻宮清神父が姿を現して、そう二人に告げる。
「あ、じゃあ俺がやるよ!」
美誠が草むしりを引き受ける。
「では私は室内の掃除を」
「そうかい。じゃあよろしく頼むよ美誠ちゃん」
「は~い!」
麻宮神父の言葉に、美誠は元気良く返事をした。
ゴーガーゴーッ!!
「ぅう~ん……」
ガタン、ゴトン、ガーゴーガーッ!!
「……――ちょっと! うるさいわね! 人が寝てる所で!!」
「掃除機をかけているのですよ。そんなに眠いのなら他所で寝たらいかがです?」
「……そうね。じゃあ美誠の部屋に――」
「あなたが学生時代に使っていた曰く憑きの部屋でお眠りください」
「誰が曰く憑きじゃコルァ!」
ラフィンの嫌味に、魁は目を吊り上げた。
美誠は道路沿いの草むしりに取り掛かっていた。
首にかけてあるタオルの端っこで、顔から噴き出す汗を拭う。
「ふぃ~、しっかし今日も炎天下だなぁ」
立ち上がって、積乱雲を目にしながらぼやく。
「頭から水かぶりてぇぜ」
「かぶせてやろうか小娘」
「おぅ! 何だ魁も草むしり手伝ってくれるのか――」
背後から声をかけられて、美誠は振り向いたが。
そこに立っていたのは、黒い眼帯を付けた鮫島だった。
「鮫島……っ!!」
「この前はよくもやってくれたな」
「フン、今回もやってやるぜ!!」
美誠は吐き捨てると同時に、鮫島の顔へと拳を振るう。
しかし。
パシッと片手で受け止められてしまった。
「お前の強さは、ある程度の距離からでないと、勢いが出ない」
鮫島は彼女の拳を握り締めると、ググッと外側へと捻りを入れる。
「――ック! は、離せ……!!」
「俺を一度倒したからと油断したか? ――馬鹿めが!!」
鮫島は勝ち誇った顔で声を大にすると、首根に手刀を叩き込んだ。
これに美誠の視界はフェイドアウトされ、気を失った。
一時間以上経ってもこの暑さの中、美誠が戻らないのでラフィンは熱中症を心配して、外へと出てみる。
そして教会の敷地内を見て回り、道路沿いも探してみたが姿が見えない。
草もボウボウで、時間の割には半分もむしった形跡がない。
ラフィンは麻宮神父がいる、畑の方へと行ってみた。
「麻宮神父。美誠を見ませんでしたか?」
「いいや? こっちには全然来てはおらんよ?」
「そうですか……もしかしたらお手洗いかも知れませんね。戻ってみます」
そう言ってラフィンは畑を後にして、来た道を戻っていたがふと何かが側溝に落ちているのに気付く。
それは、美誠が首にかけていたタオルだった――。




