deta,65:間違いなく男の勲章ですよ
「うんうん! デートする!」
「貴女とはデートらしいデートをしていませんからね……こちらへいらっしゃい美誠」
キッチンのカウンターで喜んでいる悠貴美誠へ、ラフィン=ジーン・ダルタニアスは自分が座っているソファーの隣を、ポンポンと手で叩いて示す。
これにまるで飼い犬が尻尾を振るようにして美誠は、ラフィンの隣へと足早にやって来ると座った。
「では、デートはどこに……」
ラフィンは言いながら美誠へと目を向けると、心なしか彼女の瞳が潤んでいるように見えて思わず、胸キュンさせられてしまう。
「か……っ、ゴホン! 本当に貴女は、可愛らしいですね……」
ラフィンは美誠の頬に手を当てると、その口唇に自分の口唇を重ねる。
これに、美誠は彼の背中に両手を回して、抱きしめてきた。
2~3度と口づけをしてから、口内でお互いの舌を絡ませあう。
やがて熱を帯びてきたキスに、ラフィンから口唇をゆっくり離す。
「愛していますよ美誠……」
「俺も、ラフィンを愛してる……」
お互いにその長い髪に指を絡ませたが、美誠は風呂上りもあってまだ髪が濡れていた。
「では先に、髪を乾かして差し上げましょう」
ラフィンは言うと、立ち上がり美誠を横抱っこすると、階段へと足を運んだ。
ラフィンも長髪なので、部屋には鏡台とドライヤーが置いてある。
彼の部屋で、美誠はラフィンからドライヤーをかけてもらう。
「さぁ、完成ですよ。とても艶やかな黒髪になりました」
まるで美容室宜しく、彼女の両肩に手を置いてラフィンは鏡越しから告げる。
「わぉ。自分でやるよりもサラサラストレート」
美誠は鏡の中で、自分の髪を手ぐししながら感心する。
「では、本番はこれからです」
美誠が鏡台から立ち上がったタイミングで、ラフィンはグイと彼女の腰を抱き寄せた。
そしてキスをしながら、ベッドへと彼女を連行すると、ゆっくりと一緒に倒れこむ。
今度は美誠の首筋に鼻を埋めて、口づけをする。
「ア……」
彼の熱い吐息を首筋に感じて、つい美誠は小さく声を漏らす。
これにラフィンの中の漢が頭を擡げた……。
事を終えて二人は、ベッドの上で全裸姿のまま一緒に抱き合っていた。
彼から腕枕をしてもらいながらも美誠は、ラフィンの体にまだ薄っすらと残る痣にそっと、指先で触れる。
「痛くなかった……? 大丈夫……?」
「もう痛みはほとんどありませんよ。後は勝手に放っておけば消えるでしょう」
「何だか……こうして見るとまさに“男の勲章”って感じだね」
「感じ、ではなく間違いなく男の勲章ですよ」
「だね」
そうして二人でクスクス笑いあう。
「男の勲章ついでにですが、こうして“女”になる時の美誠は堪らなく愛らしいですよ」
「そ、そう、かな? 何だか、無意識でそうなっちゃうんだよね。ラフィンこそ、そうじゃない」
美誠は少し頬を赤らめながら答える。
「確かに。それでいいんですよ。このギャップが。私達だけが知っているお互いのもう一つの別の顔ですからね。誰にも渡しません」
「フフ、うん……私はラフィンだけの物だよ。ラフィンもね♡」
「ええ。私は美誠だけの物です」
ラフィンは改めて、美誠を更に抱き寄せた。
「おお。さすがは老舗。ナビの検索でもサクッと出てきたぜ」
「クスクスクス……では、早速行きましょうか」
翌日、美誠とラフィンは車内にて、行き先を決めていた。
こうしてナビから案内されるがままに、ラフィンが運転する車はゆっくりと発進した。
車内で他愛ない会話をしながら進むこと40分、目的地に到着した。
「ぅおっほ~! さすが老舗。外観も趣きあるなぁ!」
そこには頭上の高さくらいの短い暖簾の右下で、目の高さくらいの位置に白くて四角い小さな看板で“みさわ堂”と、筆文字で記されてあった。
「店名、まんまだな」
「おかげでとても判りやすいですけれどね」
店には駐車場がなかったので、店より少し離れた路肩に車を停めて、降車する。
ラフィンから先に引き戸を開けて暖簾を潜ると、その後を美誠が続く。
「いらっしゃいませ」
女店員に声をかけられて、店内をザッと見渡してから店員へと視線を移す。
すると店内には高齢の女性と若い女性とが二人、頭に茶色の三角巾、同じ色の腰エプロン姿で立っていた。
しかしすぐにその店員二人が、水沢堂魁の身内だと判る。
何せ二人とも顔がそっくりだったからだ。
「お邪魔します」
ラフィンが軽く会釈する。
「あの、水沢堂魁さんの紹介で、こちらへ来てみました」
格式高そうな店内に気圧されつつ、美誠がそう口にすると若い方の女性が声を上げた。
「さきがけの!?」
「……さきがけ??」
ラフィンと美誠は同時に口を揃えると、キョトンとする。
「私はさきがけの姉です」
本作中の美誠とラフィンとのHシーンの詳細をムーンライトノベルズに掲載しております。
ラフィンのイメージを壊したくない方はスルーで、別に大丈夫だよ、寧ろ読みたい! っていう方は是非お越しください。
タイトルは『炎に宿りし誓いの太陽』です。
宜しくお願いします!




