表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/94

Data,43:息抜きに、お茶でもいかがですか?



「エレインか。年、いくつ?」


 悠貴美誠(ゆうきみこと)の問いかけに、エレインはぼんやりとした表情ながら、ジィッと美誠を見つめて答える。


「14歳」


「じゃあ中学生だな」


「……あなたは誰なの?」


 今度は美誠がエレインの質問に答えた。


「俺か? 俺は悠貴美誠。17歳だ」


「じゃあ、高校生だね。ミコト」


 突然年下に名前を呼び捨てにされて、美誠は少しだけ驚いたが、外国人であることもありそのまま受け流した。


「一人でお祈りしたいことがあるから……終わったらすぐ帰るわ」


「あ、ゴメンゴメン! じゃ、また今度な! エレイン」


「ええ、ミコト……」


 そうして祭壇の奥へと姿を消した美誠を見送ってから、少女は静かに口角を引き上げた。

 そしてエレインは神へと祈る。


「どうか……クローン体成功化しますように……」




「で、何。あんた達、本気で付き合い始めたの?」


「はい」


「せやねん♥」


 中華料理屋で、テーブルを挟んで向かいに互いに腕を組んで座っている、氷室遊弥(ひむろゆうや)藤井梓(ふじいあずさ)を前にして、水沢堂魁(みさわどうかい)は白々とした視線を送る。


「ま、あたしは別にどーでもいいんだけど、その娘大切にしないと美誠を敵に回すわよ」


「別に仮に敵に回しても怖かないですけどね」


「もれなくあたしも回るわよ」


「あ、じゃあ回さないっス」


 魁と遊弥はラーメンとチャーハンを、梓はチャーハンのみを食べていた。


「それで、二重スパイになってもまだ、ダルタニアスさんを紹介してもらえないんスか」


「あいつ、小心者だからね。難しいわよ。スムーズにはいかないと思って頂戴」


「もう別にやましい気持ちはないだけどなー」


 遊弥は溜息とともにそう口にする。

 ちなみに魁に言わせると“小心者”扱いだが、ラフィン=ジーン・ダルタニアス本人は“警戒心”が強い(・・)との言い分だ。


「ん? タルタルソースって?」


「う、うーんと……」


 梓の質問に、遊弥が答えに困っていると、あっさりと魁が答えた。


「ダルタニアス。美誠の彼氏よ」


「へ? でも美誠の彼氏は水沢堂先生やったんとちゃいますのん?」


「ちょ、水沢堂さん! この子は……!」


「どうせあんたらクローン人間には二人の関係バレてるじゃない。一般人の梓にも知られたって今更どうってことないわよ。ダルタニアスはイギリス人の美誠の本命。あたしはあくまでも代理よ」


「えっ! 美誠の本命って外国人なんですのん!?」


「そ。ヒッキーのね。だから表向きではあたしが代理やってんの」


 ラフィンがこの場にいないことをいいことに、魁は酷い言い様だ。


「ヒッキーに代理とかって……美誠もよう辛抱してんのやな……」

 

 梓はこの場にいない美誠に、同情を覚える。


「それで? 鮫島(さめじま)とあんたはどこからの回し者なの?」


「まぁ、ライフサイエンス研究所からとだけ、言っておきます」


「ふ~ん。成る程ね。じゃあ後は自分で調べろってことね?」


「行き詰らない限りでは、ですね」


「なぁなぁ、さっきから何の話してんのん?」


 梓が二人の会話に、首を突っ込んできた。


「お子様のあんたには解からないことよ」


「大人の話っちゅーことかいな」


「そーゆっこと! 遊ちゃん、今度からこういう会話する時は、このお嬢ちゃん置いてきなさいね」


挿絵(By みてみん)


 これに梓が声を上げる。


「えー! 何でやねん! うちに聞かれたらアカンことでもあんのん!?」


 すると魁は梓に鋭い指摘をした。


「あんた達の大事なデートに、あたしに割り込まれたくないでしょ! ってことよ!」


「せやか。そらえらいすんませんでした……」


 魁からのもっともな指摘を受けて、梓は少し顔を赤らめた。




 それまで書斎にこもっていたラフィンは、部屋から出てくると大きく伸びをした。

 そして大きな溜息を吐く。

 階下のリビングに行くと、美誠が耳にイヤホンをつけて夏休みの宿題をしていた。

 背後から覗き込むと、科目は化学だった。

 それこそ今まで、書斎にてそれに取り組んでいたラフィンには、朝飯前の内容だったが。


 ラフィンは軽く人差し指のみで美誠の肩を叩くと、彼女は振り返り彼と分かるや、イヤホンのコードを引っ張って外した。

 そんな美誠に、ラフィンは満面の笑顔を向ける。


「息抜きに、お茶でもいかがですか?」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ