Data,41:それで貴女を抱けるのであれば
朝――。
先に目を覚ましたのはラフィン=ジーン・ダルタニアスだった。
隣には、悠貴美誠が静かな寝息を立てている。
彼女の長くて黒いまつ毛が、愛おしさを増幅させる。
まさか長い逃亡生活の果てに、これだけ本気で異性を、しかもまだ10代の娘を愛する時が来るとは、ラフィン本人も思いもよらなかった。
これも、貴方の願いの一つでもあったのですか?
お父さん……。
内心、静かに思う。
ラフィンにとっての父親とは、自分のクローンとして彼を生み出した一人の科学者のことだ。
もうこの世にはいないとは言え、鏡を見ればそこには父の姿が映っている。
年齢差はあれど、まさに父とラフィンは双子のようにそのまま同じ顔形をしている。
せいぜい髪型が違うくらいだ。
ラフィンは美誠を起こさないように、ゆっくりと上半身を起こしてから……思わず彼女に目を見張った。
そこには寝相が悪く、両足ををおっぴろげて胸元までネグリジェがめくりあがっている、美誠の姿があったからだ。
当然、彼女のレースがあしわられた白とピンクのパンティーが丸見えで、細いくびれをしたお腹も露になっている。
こ、これは……!
思わずラフィンはゴクリと喉を鳴らした。
17歳ともなれば、ある程度肉体も完成されてはいるが、まだどこか幼さも感じさせている。
それはきっと、美誠が処女だからだろう。
ラフィンは穴が開くほどまじまじと、そんな愛する自分の恋人を見つめていた。
やはり昨夜あのままの流れで美誠を抱いていれば良かったなどと、内心密かに痛感する。
彼の中で、理性と欲望が激しく揺らぐ。
いくら普段は紳士的なラフィンでも、恋人となったからにはやはり彼も男。
スケベでエロいエッチな感情もあるのだ。
これだけ無防備であられもない彼女の姿を前にして、そんな感情を抱かない男はいない。
仮に愛する恋人のこんな姿を前にしても、カッコつけてクールさを気取り、ネグリジェを整えてあげたりする男がいたとすれば、それは単純に痛々しい奴だろう。
その時。
「う……ん……」
美誠のぷっくりとした口唇から、しとやかな声が漏れる。
白とピンクのパンティーから伸びる白い太腿が、クネクネと動く。
そんな彼女の足をじっくりと見つめていたラフィンは、美誠が目を覚ましたのに気付かなかった。
「おはよラフィン……」
「はい、おはようございます美誠……」
ここでようやく彼女が目覚めたことに気付き答えながらラフィンは、足から腹、胸へと視線を上げていき、最終的に彼女の顔へと辿り着いた。
「ん……どうかしたか……?」
「ええ……どうかしています」
「……?」
ラフィンのうっとりとした表情と熱のこもった言葉に、美誠は意味が分からなかった。
「これは、私を誘惑していると受け取っても構いませんね……?」
「え……?」
するとスゥと彼は美誠の太腿を撫で上げてきた。
ゾクゾクとした感覚が、美誠の全身を駆け巡る。
「ぁん! ヤ……ッ」
咄嗟に声を上げて自分の下半身を確認した美誠は、慌てて飛び起きた。
「キャアッ!!」
美誠は顔を紅潮させて、急いでネグリジェを整える。
「まさかここまで私に晒しておきながら、お預けとは言いませんよね?」
「まだお預けだバカ! ラフィンのスケベ!」
「スケベで結構。それで貴女をを抱けるのであれば……」
ラフィンは完全にオスの顔になっていた。
「待って、ラフィン。だってまだ、俺心の準備が……んぅ」
ラフィンから口唇で口唇を塞がれる美誠。
いつもと違う、情熱的なキスに、美誠は次第にうっとりとしてくる。
口内に、彼の舌が侵入してくる。
ラフィンの舌に、美誠の舌は容易く絡め取られる。
彼の舌の動きに、少しずつ応えていく美誠。
ラフィンは長い指を、彼女の足にそっと這わせた。
「フゥ……ウン……」
微かな声を洩らす美誠に、カァッとなるラフィンだったが。
突然部屋のドアが激しく開け放たれた。
ビクンと体を弾ませる二人。
その拍子に互いの口唇が離れる。
「大変よラフィン! また美誠が部屋にいな――……あら、あらあらあらまぁ」
水沢堂魁だった。
「何よ。ここにいたの。紛らわしい。しかも朝っぱらからなんて、どれだけ辛抱が足らないのよこの猿カップルは」
「みーさーわー……!」
せっかくのチャンスを邪魔された怒りを露にラフィンはゆっくりと、背後のドアに立つ魁へと振り向くのだった。




