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――opening――
「探さねば……あの男を」
上半身裸で一人の男が、壁に備え付けられている鏡で自分の顔を確認しながら呟く。
鏡の下には簡素な陶器の洗面台があり、そこに両手を突いた姿勢だ。
肩には一羽の白いオウムが乗っている。
「見つけなければ……あの、ダルタニアスを!」
そう言って男は、鏡に拳を殴りつけた。
鏡はそこを中心に四方八方にヒビを走らせる。
オウムが驚いて翼を羽ばたかせた。
拳からは、どす黒い赤の血が滴り落ちる。
しかし男はそんな事はまるで気にせずに、ゆっくりとサングラスをかけるとオウムへと言った。
「ダルタニアスを探し出せ! あいつは我々の脅威でもあり……――希望でもある!」
「クェェッ!!」
オウムは男からの命令に、室内を一周旋回すると開いている窓から、外へと飛び去って行った。