第七話
うひひひひ能力使うの楽しー
嘘である。流れ作業で能力を使用している私は思ったよりも暇で暇で仕方がないのである。
能力の使用はMP的なものを使用していないし疲れもしない。例えて言えば呼吸と同じように使用することができるため、目の前を通過していく呪いにかかった者たちを見るだけでいいのだ。
「見た感じスカートはいている人がいるけど空飛んだら見えちゃうよね?あれって大丈夫?」
「見せパンなんで大丈夫みたいですよ。パンツも見せたくない人はスパッツはいてます。」
「スカートはいたことある?」
「秘密です。」
グダグダと意味のない会話がすでに3日目に突入している。
なんだかんだカノアと仲が深まってきた感じがする。
あ、差し入れありがとうございます。へー肉まんっすか後で頂きますね。
「いまさら聞くけどさ、暇つぶしのボードゲームとかないの?」
「ありますよ。将棋とか囲碁とか」
将棋と囲碁あるんだ。世界観わかんねえな。
「将棋やろうよ、好きなんだよ将棋。」
「ルールはどうします?アイテムありのスキル禁止にしますか?」
「ごめん、私の知っている将棋じゃなかったよ。初心者向けの暇つぶし道具ない?」
「本やカードゲームなど持ってこさせましょう、昼食後にやりましょうね。」
昼食かぁ、この場所が世界樹だからか食事のほとんどは野菜である。
中には世界樹の葉のサラダなんてものもあってファンタジー感を満喫できる。
「今日の昼食何出てくるかな?」
「肉まんです。」
「差し入れと被っちゃったね。肉まんと肉まんって。」
「昼食はピザまんにするように連絡しておきますね。」
目の前では黙々と列が消化されていく。お、白色の羽根の人だ。珍しいんじゃなかったっけ。
「次の人の羽根、何色だと思う?」
「黒じゃないですかね?外したら罰ゲームですね。」
「私は茶色かな。罰ゲームの内容はどうする?」
「デコピンです。足のほうで。」
「そのかぎ爪で!怪我しちゃうよ!?」
幸いにして生えてきた羽の色は茶色で本人はなぜか申し訳なさそうにペコペコしながら列を流れていった。
「もしかして能力使用して羽の色変えました?」
「そんなに信用無いかな?」
ジト目で見られながら右手の中指でカノアの額にデコピンした。
「なんかずっと座っていると体なまってきたなぁ。ちょっと休憩して運動しない?」
「めんどくさいです。間違えました。めんどくさいです。」
「なんで二回も言ったの?」
あ、差し入れありがとうございます。え、肉まんですか?違う?ピザまんっすか......
「昼食、あんまんにするように連絡しときますね。」
あんまんかぁ。