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「ほら、陸!それに空!今度ここの山を登りに行くぞ!」
「ええ!あなた達の進学祝いよ!」
両親がにこにこしながらこちらにパンフレットのようなものを見せてきた。人が少なくなってきて登るなら今!大自然の静かさを直に感じられます。と、書かれていた。
嬉しそうな二人は、多分陸と空の都合は考えてない。進学祝いもきっと、建前で二人が登りたいだけだろう。
空は顔だけはにこにことしていたが、陸にだけ聞こえる声で「めんどくさい」とつぶやいた。陸も同じ気持ちだが、そのことを臆面もなく両親に言う。なんてことはできない。
二人は目的はともかく、とてつもなく楽しそうだった。それに陸も、まだ登ってないのにつまらない。というのは流石に子供すぎるというものだ。
「……楽しみ、だね」
「そうだろ!陸もそう思うよな!じゃ、とりあえず日程を決めて……あと必要なものも……」
「はは。眠れない、かもね」
陸はとりあえず言葉をこぼした。まぁ、何にせよ。楽しそうな二人を見るのは陸自身も嬉しい。
あまり気乗りはしないが、山登りがある日。その日だけは、なにもアクシデントがないように。と、彼は心の中で祈ったのだった。