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20 旅立ち

 翌朝、ルナレイアは早い時間に目が覚めた。まだ太陽も登っていないが、良く晴れていて、旅立ちにふさわしい朝だ。


「いい気持ち」


 ルナレイアは窓を開けて、大きく伸びをした。眼下に広がるのは、城下町の様子。市場と思われるところはまだこんなに早い時間なのに、喧騒が聞こえてきそうなほど忙しくしている。


「もう、あさ……?」


 レイを起こしてしまったようだ。ルナレイアは慌ててレイに声をかける。


「ごめんなさい、まだ寝てていいわ」

「そう……」


 そう言うとレイはまた眠りに落ちたようだ。


「また、旅が始まる。魔王を討伐するための、旅が」


 ルナレイアはかつてのあの日々を想った。魔王を討伐するために、旅をした日を。

 あの頃は大変だった。長い長い旅で、疲弊した。疲弊したまま魔王に挑み、自分はこのざまだ。魔王を探すために各国を回った。ようやく見つけたそこは、大きなお城で、魔王ではなく人間が住んでいるのかと見紛うくらいの、豪華絢爛なお城だった。

 相対した魔王は、人と同じ形をしていた。紫の髪と、同じく紫の瞳。背が高くて、本当にこれが魔王なのかと思った。人と違うのは、桁違いの魔力と長い耳だけだった。

 今回の旅はそう長くはならないだろう。魔王がどのあたりにいるのか目星はついているそうだし、各国を旅して回る必要はない。


「旅がたのしみだなんて、初めて思ったわ」


 ルナレイアは冒険者に憧れていた。前の世界では、聖女が冒険者になるなんて、などと言って、なることは許されなかった。

 今回は急ぎの旅ではあるが、依頼でけが人を治すことなどもあの優しい人たちは許してくれるだろう。


「もうすぐ、陽が昇る」


 陽が昇れば、用意された馬車に乗って旅に出られるのだ。


「そろそろ、レイを起こしましょうか」


 ルナレイアはそう呟いてベッドに向かい、レイを起こす。


「レイ、起きて。もう朝よ」

「……おは、よ」


 寝ぼけ眼をこすりながら、レイはベッドから起き上がった。


「おはよう。さあ、支度をしましょう」

「うん」


 もたもたと着替えていると、扉がノックされ、リサが入ってきた。


「おはようございます。ルナレイア様、レイ様。お手伝いいたします」

「ありがとう」


 主にレイを手伝いながら、リサは話す。


「先ほど、朝食は城で取るようにと言付かってきましたので、料理人に準備をさせております。でき次第持ってくるようにと申し付けました。そろそろ持ってくると思います」

「わかったわ」


 ルナレイアとレイが着替え終わった頃、料理人たちが朝食を持ってきた。


「お待たせいたしました。本日の朝食でございます」

「ありがとう。いただくわ」


 今日の朝食はサラダとパンだった。控えめだが、旅に出る前だから、ちょうどいい。よくわかっている。


 ルナレイアとレイは食べ終わり、まずユスティの部屋に向かおうとした。


「ルナレイア様、召し上がり終わりましたら、ユスティ様のお部屋に行くように、とのことです」

「そう、わかったわ。レイ、行きましょう。リサ、身の回りのお世話をしてくれてありがとう。とても助かったわ」


 もう会えないかもしれない、そう思い、ルナレイアはリサに感謝の気持ちを告げたのだ。リサは感極まったように、泣き出してしまった。


「もったいないお言葉です……。お役に立ててよかったです。ルナレイア様、魔王を倒して、戻ってきてください……」

「そうする予定ではあるけれど、万に一つがあるかもしれないからお礼は言いたかったの。じゃ、またね。リサ」

「はい。……いってらっしゃいませ」


 リサに見送られ、ユスティの部屋に向かった。


***


 ルナレイアとレイがユスティの部屋に着くと、仲間たちはみんな、もう来ていた。


「おはよう」

「ルナレイア、遅い」

「ごめんなさい。お待たせ」

「ラナリー、遅いと言っても君もさっきついたばかりじゃないか」


 それは言っちゃだめよ、とユスティに言い返したラナリーだった。


「それは置いといて、もう出発するの?」

「うん、そのつもり。陛下は見送りに来てくれるそうだよ」


 ユスティの部屋から城門に向かって歩きながら、ユスティはそう言った。


「ほかにお見送りに来てくださる方はいないの?」

「あとは騎士隊の人たちがちらほら。隊長も来てくれるって」


 ほんとはうちの家族と隊長を会わせたかったんだけどね、と、ラナリーが呟いた。養子の件で何か話したり、顔合わせでもしたかったのだろう。


 城門に着くと、フォルカはもう来ていた。


「よう。見送りに来てやったぞ」

「ありがとう。フォルカ」

「ユスティ、シド。死ぬんじゃないぞ」

「あら、わたくしたちには言ってくれないのかしら」


 フォルカは鼻で笑った。ラナリーは、フォルカに会えたことが感激で慌てていた。


「お前は別に死んでも構わん。というか、死んでも魔王を倒して来い」

「まあひどい」

「だめだよフォルカ、ルナレイアとレイは僕が死んでも守るんだから」

「チッ。……行ってこい。全員無事に帰ってこいよ」


 じゃあな、とフォルカは城に戻っていった。さっぱりとした別れだった。

 ルナレイアたち五人は、用意された馬車に乗って、旅立つ。

 まず最初の街、リベルティへ。


申し訳ございませんが、明日の投稿はお休みさせていただきます。

次の投稿は月曜日20時の予定です。

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