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音楽コラム 『ロックの歴史』 -時代を彩る名ミュージシャンたち-  作者: Kobito


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第50回 私の好きなシンガー ランキング・ベスト25 (17位~11位まで)

今回は、私の好きなシンガー、ランキング・ベスト25の、17位から11位までを発表して行きます。


ロックに限らず、オールジャンルからの選出です。


さて、あなたの好きなシンガーは選出されているでしょうか?

選出されているなら、何位に登場しているでしょうか?




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第17位 グレッグ・レイク(【ロック】キング・クリムゾン、エマーソン・レイク&パーマー)


第18位に選出したジョン・ウェットンと同じくらい好きな歌声ですが、グレッグ・レイクこそ、キング・クリムゾン的なボーカルの原点となった人なので、ジョンよりも上の順位にランキングしました。


日本にはコアなキング・クリムゾン・ファンが多いようで、長いバンド史の中の各年代の発掘ライブ盤が、今でも公式に発表され続けているのは、常に根強い購買層がいるからに他なりません。


ライブ盤の多さからも分かるように、キング・クリムゾンは基本的にライブでこそ真の力を発揮するバンドです。


しかし、最初期の、特に、ファースト・スタジオ・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿(In The Court Of The Crimson King)』(1969年)での演奏は、後年の演奏から薄れてしまった繊細な抒情性が満ちているという点で、かけがえのない価値があります。

その名盤が、より完璧になるように、大きな魅力を添えているのが、グレッグ・レイクの郷愁を誘う寂しげな歌声なのです。


挑みかかるように激しくテクニカルな、1974年頃のライブも良いですが、それと同じくらい、いや、あるいはそれ以上に魅力的な、1969年の抑制された衝動とでも言うべき表現の演奏に、まずは耳を傾けてみて下さい。



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第16位 オジー・オズボーン (【ロック】ブラックサバス、ソロ活動)


ボーカリストと器楽奏者の間に現れる明確な差と言えば、歳を重ねるにしたがって、ボーカリストの方が、声に張りや若々しさを失って行く事が多い、という事ではないでしょうか。


厳密に言えば、器楽奏者の演奏も、歳を重ねるにしたがって、持って回ったくどい演奏になる事が多く、若い頃とは違いが出て来るわけですが、ボーカリストの歌声の変化は、楽器の音色に比べて個性が明瞭な分、より著しく耳に届く事になります。


好きだった歌手の歌声が、次第にしわがれて声域が狭くなり、不安定になって行くのを聴くのは、とても残念な事ですが、中には、ローリング・ストーンズのミック・ジャガーや、イエスのジョン・アンダーソンのように、若い頃そのままの声を維持して、何十年も歌い続けている、驚異的なシンガーもいて、感心させられます。


メタルの帝王の異名を持つオジー・オズボーンは、この、若い頃と声があまり変わらないシンガーの一人に名を連ねています。


声域があまり広くないシンガーほど、喉への負担が少なく済むので、全盛期の声を維持できる、という面もあり、オジーはその恩恵を受けたシンガーではないかと思います。


逆に、声域が広く、高音を割れるように歌うシンガーは、喉の不調を抱える事が多いです。

レッド・ツェッペリンのロバート・プラント、ヴァン・ヘイレンのデイヴィッド・リー・ロス、ジューダス・プリーストのロブ・ハルフォードなどが、最も特徴的な例でしょう。


若い頃の歌声を長年保っているシンガーも、若い頃に喉を酷使して全盛期を短期間しか維持できなかったシンガーも、どちらも素晴らしいです。


なぜなら、どちらも、歌う事に捧げた人生である事に、変わりはないからです。


オジーの推薦文を書こうと思ったら、こんな内容になってしまいました。


とりあえず、オジーの出発点であり、凄みさえ感じる、ブラック・サバスのファーストアルバム『黒い安息日(Black Sabbath)』(1970年2月13日の金曜日発売)をお勧めしておきます。



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第15位 ポール・マッカートニー (【ロック】ビートルズ)


ポール・マッカートニーは、言わずと知れたビートルズのメンバーであり、音楽史上屈指の偉大なミュージシャンの一人であるという世間の評価に、私もすんなり同意しますが、ビートルズ解散後の彼のソロ活動では、残念ながら私の好みに合致する曲が一曲もない、という、極端なミュージシャンでもあります。


ビートルズから離れると、こうも変わってしまうのかと思うほど、ソロ活動では、ロック魂から離れた甘めのポップスに寄り過ぎた曲が多く、しかもそれが聴き手に媚びた妙に嘘っぽい内容なので、私には偽善的にさえ感じられてしまいます。


ところが、こと彼が手がけたビートルズの曲「バック・イン・ザ・U.S.S.R.」「イエスタデイ」「ヘイ・ジュード」「レット・イット・ビー」「ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー」「ゲット・バック」となると、評価は一転して、本当に、世界で愛されるのももっともな、音楽史にとって欠かすことのできない稀代のメロディー・メイカーだと素直に感嘆してしまうのです。


彼の歌声も、落ち着いた曲から激しい曲まで、自在に声色を変化させて実に魅力的です。

特に、激しい曲での、初期のエルヴィス・プレスリーのシャウトを思わせる歌声の質感が、若い情熱が感じられてとても良いです。


でも、ビートルズのアルバムで、どれを勧めるかとなると、けっこう悩みますね。

初期のアルバムはちょっとチープで時代がかっているし、後期のアルバムはエキセントリックなのが万人向けではないし。

『リボルバー』(1966年)あたりが、中間的な出来栄えでちょうど良いでしょうか。



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第14位 ゲイリー・バーデン (【ロック】マイケル・シェンカー・グループ)


マイケル・シェンカーのバンドでシンガーを務めたゲイリー・バーデンの歌声が大好きで、大好きで仕方がない、という人、この指とまれ!


……あ、二人とまった。

ありがとうございます。良いですよねー。ゲイリー。やっぱり「アームド&レディ」が最高ですよね。

あの、北斗の拳のオープニング曲のような味は、意外と彼以外出せないんですよね。


……という話が、誰かとしてみたいんですよ。


というわけで、まだゲイリーの歌声を聴いた事がない方は、マイケル・シェンカー・グループのファーストアルバム『神―帰ってきたフライング・アロウ(THE MICHAEL SCHENKER GROUP)』(1980年)を、聴いてみてください。



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第13位 ブラッド・デルプ (【ロック】ボストン)


ブラッド・デルプの歌声は、爽やかで後味が良くて、言い古された表現ですが、一服の清涼剤のようです。

それだけだと、ただのアイドル的な歌唱になるところですが、彼の歌声には、もっと深い所から来る輝くような美しさを感じます。

それは、人柄の良さ、です。

音楽に人柄は関係ない、なんて人がいるなら、それは大きな間違いですから、早く気が付いて下さい。

歌声にも演奏にも、その人の人柄は、必ず出ます。

絵にしても彫刻にしても手芸にしても、手作りの物には、全て作った人の人柄がにじむものなのです。

ましてや、心から直接出る歌声に、人柄が影響しないなど、ありえない事です。


いや、それを感じ取る事ができないとなると、その人の心自体が、からからに干からびて無味乾燥になっているのかもしれませんよ。そういう人の耳には、むしろドライな音楽が、心地よく響くのかも。


試しに、人柄を感じ取れるかどうか、ボストンのファースト・アルバム『幻想飛行(Boston)』(1976年)を聴いてみて下さい。

良い人そうとまで感じ取れなくとも、心地よく響いたなら、あなたの心は潤っていると保証します。



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第12位 ニール・ヤング (【ロック】バッファロー・スプリングフィールド、ソロ活動)


ニール・ヤングは、ボーカリストとしてもギタリストとしても超一流ですが、その素朴さが災いしてか、一部の熱狂的なファンの関心しか集められない所があるようです。


ただ、ソロ活動では特に、スタジオアルバムと、ライブの雰囲気がまるで違って、ライブの方に、深い情感を込めた名演が多い人なので、その辺も一般の洋楽ロックファンからの評価に影響していそうです。


私が好きな演奏&歌唱は、1989年のパリでのライブです。ブートレッグの音源ですが、英語歌詞が分からないのに、涙が出そうになります。


ライブでは、アコースティックギターによる弾き語りだけで前半を通して、後半はエレクトリック・ギターによるバンド演奏を聴かせるという構成が多いんですが、アコースティックギターでの弾き語りパートが特に出色の素晴らしさです。


弾き語りでこれだけ聴かせて、酔わせて、感動させる事ができるミュージシャンが他にいるかと考えてみると、フォークミュージックの中心人物、ボブ・ディラン位しか思い浮かばないです。

そして、完全にフォーク寄りのディランの表現よりは、ロック寄りのニールの表現の方が、私には共感できるところが多いです。


お勧め盤は、手に入りやすい所で、公式ライブアルバムの『ライブ・ラスト』(1979年)です。



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第11位 ロバート・ジョンソン (【戦前ブルース】)


ロバート・ジョンソンを評価する時、注目はどうしてもその驚嘆物のギターテクニックに集まりがちなんですが、彼の鋭く、甲高い歌声の持つ、衝動をかき立てるような独特の響きは、かなり強力な魅力だと私は思っています。


第12位の推薦文で、ボブ・ディランと並ぶ弾き語りの名手としてニール・ヤングを紹介しましたが、ロックの時代以前の弾き語りの名手と言えば、ロバート・ジョンソンがダントツの一位でしょう。

とにかく、その時代を超えたモダンなセンスと、アコースティックギターの限界に挑むような激しいアプローチに唖然とさせられます。


戦前にわずかな録音が残されただけのミュージシャンであり、録音状態も悪く、ノイズ交じりの演奏しか聴けないのが残念ですが、そういう不利な条件を忘れるほど、彼の演奏は素晴らしいです。


器楽演奏者全般に言える事ですが、感情表現が見事になるほど、楽器の音が、いかにもその楽器の音だと分かる感じではなくなって行く、というのがあります。

どういうことか、というと、例えば、ピアノの名手、ビル・エヴァンスの演奏と、アマチュアのピアノ愛好家の演奏を聴き比べてみると、エヴァンスの演奏はピアノの音自体がエヴァンスらしいしっとりした音になっているのに対して、アマチュアのピアノ愛好家の奏でる音は、楽器としてのピアノの音そのものなんです。

これは、ピアノのメーカーの違いや、値段の差の問題ではありません。

ピアノから情感のある音を引き出す、という、一つのテクニックなのです。


ロバート・ジョンソンのギターの音を聴いていると、どうもギターらしくない、陶酔的なサウンドで和音が奏でられているのが分かります。

ロバートは取り立てて金持ちだったという話を聞かないし、酒場で演奏して日銭を稼ぐ暮らしだったようなので、ギターはそれほど高価な物ではなかったでしょう。

そのギターから、これだけ素晴らしい音色が出て来るのです。

まさに魔術のようです。


ああ、ロバートの歌声の良さについて語れないで、結局ギターの話になってしまいました。

彼の歌声、本当に素晴らしいんですけどね。

(歌い出しのタイミングをずらす事で、曲を複雑にするテクニックなども。)

ギター好きが彼の話題に触れると、そのギター演奏の素晴らしさを語りたい気持ちを押さえられなくなる、という実例です。



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