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音楽コラム 『ロックの歴史』 -時代を彩る名ミュージシャンたち-  作者: Kobito


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第42回 スタジアム・ロックの最良の手本 ボストン 1976年~

1976年にアルバムデビューしたスタジアム・ロックバンド、ボストンの、いかにもアメリカ受けしそうな美麗なコーラスワークと、ハードなリード&リズムギターのサウンドを組み合わせた爽快な音楽性は、その実、しっかりとしたロックの伝統を踏まえた演奏技巧の確かさ、音楽的興奮度の高さといった、硬派なロックファンも惹きつける魅力を持っていたという点で、数あるスタジアム・ロックバンドの中でも、稀有な存在だったと言えます。


私も、その他のスタジアム・ロックバンドのライブ・ブートレッグにはあまり蒐集欲をそそられないんですが、ボストンに限っては、多くのライブ盤を集めるほど好きで、特に、デビューから1979年までの4年間の演奏に、このバンドの音楽性の美点が余すところなく凝縮されていると感じます。


演奏の主体は、ギタリストのトム・ショルツの、何重にも重ねながら抜けの良いギター・オーケストレーションの響きの美しさと、ボーカリストのブラッド・デルプの伸びやかで柔らかな心地良いハイトーン・ボイスです。

スタジアム・ロックにありがちな、派手だけれど単純な曲のアレンジとは異なる、聴きやすいけれど凝りに凝った編曲の妙も、何度聴いても飽きない奥深さを生み出すことに成功しています。


1976年のデビューアルバムは、『Boston(幻想飛行)』。

ファーストアルバムとは到底思えない、細部まで入念に作り込まれた、完成度の極めて高いアルバムです。

一曲目の「More Than a Feeling」の、宇宙を旅するような雄大な曲調が特に良いです。

ジャケットに描かれた、巨大なギター型の宇宙船が、そのスペイシーなイメージをいっそう膨らませてくれます。ブラッド・デルプの歌声の高音シャウトやコーラスの美しさは、おそらく彼の純な心根が表れたものなのでしょう、他のボーカリストでは味わえない、癒しや安らぎさえ感じさせてくれます。


1978年には、第2作目の『Don't Look Back』を発表します。このアルバムが、また良いのです。

やはり一曲目の「Don't Look Back」が、バンドのイメージぴったりの、スペイシーで高揚感のあるご機嫌なロック・ナンバーです。

ジャケットデザインは、ファーストアルバムで描かれていたギター型の宇宙船が、未知の惑星に到着した場面が描かれていて、そのストーリーを勝手に想像して楽しめるという仕様になっています。


この2枚のアルバムこそ、ボストンのスタジオワークの魅力の全てが詰まった傑作です。

3枚目のアルバム『Third Stage』は、何と2枚目発表の8年後の1986年に発表されており、音楽性も凡庸なポップ路線に寄り過ぎていて、私の好みからは残念ながら外れてしまう結果となりました。


でも、初期の2枚のスタジオアルバムと、ライブ音源さえあれば、何の不足もありません。

時々聴きたくなって、パソコンに取り込んである音源を再生しますが、いつも新鮮な聴き応えで楽しませてくれる、ロックの本質をしっかりと捉えた、数少ない良質なスタジアム・ロック・バンドです。

特に初期の作品は、ロックの入門的な分かりやすさもあるので、何の迷いもなく皆さんにお勧めできます。



挿絵(By みてみん)




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