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音楽コラム 『ロックの歴史』 -時代を彩る名ミュージシャンたち-  作者: Kobito


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第21回 クリーム後のロックシーン 素朴さから洗練へ デレク・アンド・ザ・ドミノス 1970年~


1960年代に流行したサイケデリックロックを象徴するバンド、クリームが解散したのは1968年11月26日の事です。

クリームが解散した頃には、クリームを模したロックバンドが、イギリスを中心にすでに数多く現れており、クリームが音楽シーンに与える影響力は相対的そうたいてきに低下していたと言えます。

ロックの歴史上で言うと、サイケデリックロックの流行そのものが、下火になって来たのが、ちょうどこの頃でもあります。

サイケデリックロックにありがちな、素朴な編曲と、ギターの大音響に依存した荒々しい演奏という、やや時代がかった味わいの音楽に飽き足らなくなった聴衆は、より洗練された高度な音楽性と、スタジオでの編集技術の巧みさを駆使した、作り込まれた音楽を求め始めたのです。


その傾向は、1970年代に入るとより顕著になって行き、レッド・ツェッペリンやディープ・パープルといった、ドラマチックなハードロックの台頭によって、古式めいたサイケデリックロックは急速に過去の音楽となって行きます。


また、1970年には、ロック界にとって、非常に重大な、二つの出来事が起こっています。


・1970年4月10日 ビートルズからポール・マッカートニーが脱退し、ビートルズが事実上解散

・1970年9月18日 ジミ・ヘンドリクス死去


ビートルズも、ジミ・ヘンドリクスも、1960年代のロックシーンをけん引してきた、偉大なバンドであり、ミュージシャンです。

これらのサイケデリック世代の代表的ミュージシャンがシーンを去った事により、ロックシーンでは新進気鋭のミュージシャンたちが流行をけん引することになり、1970年頃を境に、流行の音楽の質の変化がなおさら際立つという現象がもたらされました。


古参のミュージシャンたちも、この時代の変わり目に際して、変化を求められています。

クリームのギタリスト、エリック・クラプトンは、1970年に入って、新たなバンドを立ち上げますが、そのバンド、『デレク・アンド・ザ・ドミノス』の音楽性は、旧来のサイケデリックな荒々しさから完全に脱却し、その頃流行し始めたサザンロックの影響を取り入れた、ポップスセンスの光る、整った印象のサウンドを、特徴として打ち出していました。


デレク・アンド・ザ・ドミノスが、ロックファンにとって特別なバンドである理由は、人気ギタリスト、エリック・クラプトンの存在ゆえ、だけではありません。

このバンドには、もう一人、ロック・ファンの関心を集めるに足るギターの達人が参加しているのです。

それが、オールマン・ブラザーズ・バンドのギタリスト、デュアン・オールマンです。


ドミノスの唯一のスタジオアルバム『いとしのレイラ』は、1970年11月にリリースされました。

収録曲14曲、合計時間77分という、かなりボリュームのあるアルバムで、ゲスト参加という形のデュアンは、11曲でその素晴らしい演奏を披露しています。

とはいえ、ドミノスの音楽は、編曲重視のコンパクトな楽曲が多いため、クラプトンとデュアンのギターバトルを楽しむことは、残念ながらできません。

聴きどころは、彼らの個性が対立することなく調和した、それでいて複雑にからみ合うバッキングの美しさと、要所要所のソロの、控えめながら曲を盛り立てる見事な完成度にあります。


私が好きな収録曲は、「ベル・ボトム・ブルース」、「ノーバディ・ノウズ・ホェン・ユアー・ダウン・アンド・アウト」、「アイ・アム・ユアーズ」、「エニィディ」、「テル・ザ・トゥルース」、「いとしのレイラ」、「庭の木」です。(特に好きな曲を挙げましたが、このアルバムの収録曲は全て、丁寧に作られた名演、名曲揃いなので、本当は全曲お勧めです。)

名前を挙げた曲のうち、デュアンが参加していない曲は「ベル・ボトム・ブルース」のみですが、この曲も、非常に美しいメロディの、感動的な演奏で、この曲をまず好きになって、アルバムの他の曲も好きになって行った、という思い出があります。


「いとしのレイラ」では、後半のインストゥルメンタルパートで、デュアンの本領発揮の素晴らしいスライドギター演奏が聴けます。エンディングの鳥の声を模した「ピルル~」という音も、ギターで出しているそうです。


最後の収録曲「庭の木」も、アコースティックギターが主役の名演です。

アルバムにキーボード&ボーカルで参加しているボビー・ウィットロックが、またいい味の、ソウルフルな声の持ち主で、この曲では彼の歌声の魅力が余すところなく活かされています。


ドラムのジム・ゴードンの、引き締まった、それでいて丸みのあるドラムサウンドとテクニックの冴えも、このアルバムを聴き応えのある物にしている重要な要素です。


ロックがより洗練される、転換期に生まれた、歴史的にも意義深い名盤です。

ギターミュージックがお好きな方には、特にお勧めですので、機会があればどうぞお試しあれ。




 挿絵(By みてみん)


この絵は、デレク・アンド・ザ・ドミノスのアルバム『いとしのレイラ』のジャケットアートを基に、構図を再構成して描いたトリビュートアートです。

オリジナルの絵では、女性の顔の半分が、花束で隠されているので、私の絵では、顔全体が見える様にしてみました。





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