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第14回 へヴィ・メタルの源流 ブラック・サバス 1969年~

現在では、ホラーやオカルト的なテイストを売りにしたロックバンドは、特にへヴィ・メタルの分野で珍しくありませんが、1960年代末頃の時点では、まだロックシーンでは一般的な手法ではありませんでした。そこに目を付けて、聴衆にダークな雰囲気でアピールし、そのジャンルで最初の大成功を収めたのが、イギリスのロックバンド、ブラック・サバスです。


ブラック・サバスは1968年に、ボーカリストのオジー・オズボーンが新聞に出した「バンドメンバー求む」という広告が元になって結成されました。オジーは15歳で学校を中退し、酒代にするために盗みを繰り返すような悪童でしたが、「こんな俺でもできる事がある。」という事を証明するために、バンドを組んでみる事にしたのでした。レコードデビューは、1969年12月のシングル『エビル・ウーマン』、ファーストアルバムは1970年2月の『ブラック・サバス(黒い安息日)』でした。


レコードデビュー当初から、バンドはすでに、十字架や悪魔や呪術といった、オカルト映画によく見られる暗いイメージを前面に打ち出しており、作詞や音楽性の面でも、従来のロックバンドよりも陰鬱いんうつで苦悩するような、重々しい内容とサウンドを追求していました。

大事なのは、これらが、人々の注目を集めるための演出として採り入れられたスタイルであり、彼らが悪魔崇拝や呪術に凝っていたわけではない、という事です。(ベーシストで作詞担当のギーザ―・バトラーが、宗教やオカルトに造詣ぞうけいが深かったことが、バンドのイメージ作りに貢献しています。)ショービジネスのための一手段として、彼らはそういう演出を好む傾向を持つ聴衆に向けてアピールしたのです。

常に新しい刺激を求めていた聴衆は、オカルト的な「恐怖」をテーマにした彼らの音楽を斬新に感じ、また、バンド自体の演奏能力の高さや、オジーの素晴らしいショーマンシップにも魅せられて、伝統的な既存のロックを重んじる音楽雑誌や評論家が、彼らの音楽を酷評したにもかかわらず、イギリスのみならずアメリカでも、幅広い聴衆が彼らのレコードを買い求め、コンサートに足を運ぶという結果となりました。


また、前回のディープ・パープルのコラムでも述べた通り、ロックの聴衆はこの頃から、印象的なリフで構成された曲を好むようになって来ていたのですが、シンプルで魅力的なリフを生み出す事ができる、ギタリストのトニー・アイオミの作曲の才能が時代の波に乗る形となり、バンドはファーストアルバム以降も、ロック史に残る名曲の数々を、矢継ぎ早に世に送り出して行く事になります。

『黒い安息日』、『N.I.B』、『パラノイド』、『アイアン・マン』など、初期の人気曲全てで、一度聴いたら忘れられない、これぞブラックサバスという特徴的な優れたリフを堪能する事ができます。


ブラック・サバスのオカルト的な演出や作詞、重々しいサウンドは、多くのバンドに採り入れられながら、一つのスタイルとして発展して行き、後のへヴィ・メタルやデス・メタルといったジャンルの、へヴィさを競うバンド達の、方向性や演奏手法の形成に、多大な影響を与える事になります。



挿絵(By みてみん)




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