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異分子



「な、なんで触れないの…?」


触ろうとすると強い静電気みたいなものが発生し、どうしても魔石に触れない。


「……。」


ルイさんもジンさんも喋らない…。やっぱり変なことだったのかな…。


「あの…やっぱダメだったのかな?私、魔法使えないんじゃない?」


沈黙が走る。

口を開いたのはジンさんだった。




「神が造った異分子アウトサイダー…?」



な、なんか物騒な言葉がでてきたぞ?!神?本気なの?


「神が造ったナントカダーって…なに?」

異分子アウトサイダーな。偶にいるんだよ、お前みたいに魔力量がとんでもねえのに魔石が受け入れない、魔力の質が違う奴が。ごく偶にだけどな」

「この世界で、いるのは1人って言われてるんだ。それがどこのだれか、果たして今も生きてるのか伝説の人物なのか、なにもわからない。わかってるのはそういう魔導士がいた、ということだけ。この世界でも色んな魔法があるんだけど、その異分子だけはこの世で見たこともない魔法を使うらしい」

「でっ、でもさ!魔石はじいちゃっただけで断言できるものなの?」


触れなかっただけで変なことなの?ってか、そもそも魔法ってもんが変じゃん!!こっちからしたら!


「今までの歴史書に書いてあるのはたった1人。『神からの申し子、力を与えば善となるか悪と転じるか。救わせよ、それがしの魂を』と書いてあるものに挿絵があるだけ。書かれたのは400年前。その時にいた人のことを描いたのか、これから起こる出来事を予測して描いたのかは全くわからないんだ。そこにあるのは『魔の石、某を弾かむ。すなわち神の者』」


…そんな何年も前の話、当てにしちゃっていいワケ?っていうか本当に私大丈夫なの?なんか変な身体になっちゃったのかな…。



「とにかく!魔石に触れないなら魔法もわからないし…。とりあえず今日は魔法じゃなくて、ミリア自身の強さを見せてもらおうかな」


私の不安が伝わったのか、ルイさんが話題を変えてくれた。


「ま、そーだな。魔法がどんなものであれ自分が強いに越したことはない。武術の訓練はルイがやってくれるから、任せとけ」

「ジンもちゃんと調べとけよ、異分子のこと。魔法はそっちだからな。じゃあミリア、始めようか」


ルイさん、ジンさんに対してだと口調が荒くなるんだぁ。意外だな、紳士って感じなのに。


「おいミリア、騙されねえ方がいいぜ?こいつはこう見えてドSだからな。訓練も容赦しねえぜ」

「ジン!とっとと調べてこい。ミリア、外ににいくよ」


ジンさんに向ける顔と私に向ける顔の切り替えが早すぎる…確かに二重人格的な面ありそう…!ヒエエッ




木の重いドアを開くと、緑が広がった。

サアサアと心地いい風が吹いていて、木陰が気持ちよかった。って私、令嬢の服のまんまじゃん!ドレスだよ!捨てられるなんて思ってなかったからピンクのゴテゴテフリフリドレスの上にツインテの縦ロールだよ!!ほんとミミリアって根っからのお嬢様だよね!


「ルイさん、着替えたいです!動きづらいですさすがに」

「ああ!忘れてた。うーん、女性用のものがあいにく…。僕が着るシャツとサロペットならあるけど、女性がズボン履くのもなあ…」

「いや!それ!それでいいです!」


日本人だった私も断然ズボン派!制服はスカートだったけど、私服は圧倒的にズボンが多い。ありがたいことに、ミミリアの脚はとても綺麗だ。白くて細くて華奢な感じ!日本人の私は剣道や合気道をやっていたせいかどちらかといえば肩幅が広いムキッとした女の子だった。かわいくない!!


「ボロっちいけどこれでもいい?ごめんね」

「全然大丈夫です!私のいた世界では女性がズボン履くことも多かったんですよ」

「それは良かった、気に入ったようで。僕は外にいるから、着替えたら出てきてね」


ドレスを脱ぐと出てきたのはコルセット。道理で腹が常に苦しいなあと思っていた。まあミミリアの身体は細いからそんなことしなくてもいいんじゃないかなって思うけどね?


着替えて外に出ると、ルイさんが芝生に座って待っていた。


「すいません遅くなっちゃって」

「いやいや大丈夫だよ。言っていいのかわからないけど似合ってるよ」


キャピ!イケメンに似合ってるよって言われちゃった!贅沢してるなあ、眼福眼福。


ルイさんが貸してくれたのは白いワイシャツに茶色のサロペット。お腹のところに大きめのポケットがあって、腰のところにたくさん武器を引っ掛けるようなところがあるものだ。ルイさんは身長が割と高めなので裾は折らせて頂いた。(決して私の足が短いわけではない)


ついでに視界の横でプランプランしている邪魔な金髪ツインテの縦ロールもポニーテールにしといた。ようやくスッキリしたわん。


「さて、じゃあ着替えたところでミリアのできる武術を教えてもらおうかな?」

「そうですね〜、私が習っていたのは一応剣道と合気道でしたけど」

「ケンドウ…アイキドウ…ごめんね、どちらも聞いたことないんだけど…どういうものかな?」

「剣道は簡単に言うと木刀を持って相手に一撃を与えるスポーツ、合気道は主に護身用で用いられるんですが、例えば私のこと後ろから襲ってみて下さい」

「うしろから?」

「はい、うしろからわたしの両手を掴んでください」

「これでいい?」

「はい。ここから手を前にもってきて」


「ぐぁっ!」


グッとつかまれた手を前に出し右手を上に突き上げる。そして相手の腕が交差になるように締め上げる。これが『十字投げ技』と呼ばれるものだ。


「痛いよミリア…」

「す、すいません。説明したかったので…今のが合気道と呼ばれるものです」

「なるほどね、それは確かに使えそうだ。剣道っていうのは木刀を持って戦うって言ってたよね?それは剣術、とは違うのかな?」

「うーん…同じ、ではないと思います。剣道というのはそもそも人を傷つけるものではなくれっきとしたスポーツですから」

「なるほど。でも剣道で培ったノウハウを使えば剣術も、それもミリアにしかできない妙技が使えるかもしれないな」



そのときだった。

ぐわぁと視界が揺れ、映像が視えた。




この小屋に近づく、10人くらいの頭に黒い布を被った怪しい人たちの姿が。









ルイがまさかのドSキャラになってしまいました。

全部ジンの残念キャラのせいです。コノヤロウ。

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