カンチガイ
自己紹介は済んだけど、私がこれからすべきことはなんだろう…。ミミリアの記憶を辿るとほんとにロクなことせずに勘当されてるし…。
とりあえず生きるために必要なのは
衣・食・住!
「えっと、ルイさん!」
「なに?」
「しばらく私が1人で暮らせるまでここに置いてください!」
「おい!なんで俺には頼まねえんだ!」
「ジ、ジンさんはちょっと怖いから…って嘘です!怪我治してくれたんだった!衣食住ください!」
「まあまあジン落ち着け。ミリアは家から捨てられて着る物も食べ物も住む処もないわけだよね。ここに一緒に住むのは構わないけど…条件がある」
「条件?な、なんでしょう」
まさかルイさんに限って身体で支払えとかないよね?
詐欺で金を稼いでこいとか?!
それとも下僕になれってことかな…?!
「全部口に出てるけど、違うよ」
「はぇ?!すいません!なんでしょうか?!」
「君の出来ることを僕らに差し出して、パーティを組む」
パーティ?
宴のこと?
あ〜やったやった、クラスのみんなでクリスマスパーティーとか言って、レクをやったりしたんだよね!
出来ること=一発芸とかかな?
なかなかユーモアあることするじゃんこっちの人も!
「全然良いですよ!というか、初対面の私が参加しちゃっていいんですか?」
「おいルイ、正気かよ。そりゃ1人探してたけどよ」
「本気さ、彼女の魔力含有量は結構だよ。僕が言うから間違いない」
が、がんゆうりょう?理系っぽくなってきたな…。
私は根っからの文系だからなぁ。
「で、どうかな?ミリアは」
「ああ!大丈夫ですよ。ただ、日にちはいつですかね?すぐだと考えるのが厳しいから」
「出発は明後日だよ」
「明後日ぇ?!そりゃ随分と急じゃねえか?!」
「早めに出ないと、それこそ収拾がとれなくなってしまう。早ければ早いほどいい」
「あの!!明後日までですとちょっと考えられない…かな…。クオリティが低くなっちゃうんですけど」
今できるのと言えば、歩く犬のおもちゃの鳴き声の真似くらいしかできないからな…。
「そんな改めて考えなくていいよ、今ミリアができるものを見してほしい」
「お前はなにができんだ?」
「あ〜っと、今はこれしかできないんですけど…」
ウォホンッ
咳払いをして挑む。これは友達にも爆笑されたネタだから多分大丈夫なはず!
「キャン!キャン!ワオ〜ン」
「……?」
「……?」
あ、あれ?
「あ、分かりづらかったですか?歩く犬のおもちゃの鳴き声の真似です!あ、でも異世界だと犬のおもちゃ自体知らないのか…ごめんなさい、今はこれしかできないんですけど…」
「……っ」
「………こ…っれは…っ」
「あっははは!!久しぶりにこんなに笑った!!!お腹がよじれる!!ヒーーっ」
「お…っお前その勘違いはねーよ!!ぶっひゃひゃひゃひゃ!!やべえこいつ!!」
いや、冷静にジンさんの笑い方がやばい。
しかもそんなに笑う?おもちゃの犬、わかってるのかな?
「はーーっ…待ってね、確かに説明不足だったかもね。ミリアはどこから勘違いしてる?」
「か、勘違いですか?どこからだろう」
「もしかしてこいつ、パーティとパーティー間違えてんじゃね?ぶっひゃひゃひゃ」
パーティとパーティー?ほぼ変わらないじゃん!
「僕らが組もうと言ったのは、チームです。3人のチームです。仲間ってことですよ」
「パーティにそんな意味があるとは…」
「ぶっひゃひゃひゃひゃ!!ひーっ!!」
「ジンさん笑い方キモいです!」
「誰がキモいじゃコラ!!」
ジンさんのキャラが崩壊していく…。
「それでね、僕らが差し出してほしいと言ったのは、ミリアの持つ能力のことなんだ」
能力?
能力ってなんだろう…剣道、とか?
「見た感じ、ミリアは魔力含有量がすごく多いんだ。魔法が使えるんじゃないかな?」
「マホウ?」
ー
「よーし!よーしきた!いい流れ!これで僕のあげたチートが引き出されるね!」
「仕事してくださいって…」
「いいじゃん特例のイレギュラーなんだし、見ていたくもなっちゃうよー」
「ったく。こんなんでいいのか神様が!」