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気づき



ズキンズキン


『なんで君はいつもそう自分勝手なんだい?』


『愛しい彼女から離れろ!』


『人の優しさを踏みにじるなんて最低だな』


『君みたいなのが王子の婚約者?笑わせる』



ズキンズキンズキン



『ミミリア・ルーヴェルトン。俺との婚約破棄を申し込む』



ズキン!



「痛いっ!」


頭の痛みと共に大量に頭に流れ込んできたのは誰からも忌み嫌われ、挙句捨てられてしまった女の子の映像。最も、その子の振る舞いにも大層問題は見られたのだが…。


「嫌な夢…」


ボソッと呟いたその声に確かな違和感を抱く。


あれ?わたしの声ってこんなに高かった?

もっと剣道で声を出しまくってちょっと枯れたハスキーな感じだったんだけど…。風邪かなぁ。


自転車で転んだ時にぶつけたのか、頭もすごく痛いし…。てか!朝練!


「朝練間に合わないじゃん!でもここに寝てたってことはだれか介抱してくれたのかな…黙って出るわけにも行かないか…」


仕方がないのでスマホで連絡を取ろうとするが、鞄さえも見当たらない。


「え?私鞄さえも忘れた…?」


どうしようと考えていると、ドアが開いた。


と、立っていたのは


「イケメン…」


青い綺麗な目をした金髪のイケメンが立っている!

なんて儚いんだ…イケメン…じゅる。


「ああ!お目覚めですね。良かったです。森の中で倒れておりましたので」

「あ、はい!目が覚めました!あなたが私をここへ?」

「はい。勝手な判断で申し訳ありません」

「いえいえ!こちらこそ助けてもらっちゃってベッドまで借りちゃって!すいませんでした」


日本人精神か、お礼を言うより先に謝ってしまった。

と、イケメンがこちらを驚いた目で見ている!


「あ、あの、なんか変なこと言いましたか…?あ、日本語わからなかったですか?!外人の方かな…えーっと、せんきゅーべりーまっち!」

「あ、いえ!言葉はわかりますが…あの、貴方はノーブロリア一等級の貴族様でおられますよね?」

「え?す、すいませんもう一回お願いします。のーぶろ?」

「ノーブロリア一等級、です」

「す、すいませんそののーぶろりあナントカではないですね、私。人違いではないですか?」

「…貴方は、ミミリア・ルーヴェルトン様で間違いありませんよね?」

「え?いえ、私の名前は…」



私の名前は?

あれ?なんで出てこないんだろう。いつもいつも、お母さんに呼ばれてる筈なのに。



「な、名前は…?私の名前は…?」

「ミミリア・ルーヴェルトン様ですよ」



それは、私が見た夢で呼ばれた名前。


手を見る。剣道の練習で出来たまめはない。

腕を見る。こないだ転んだ時にできた傷がない。

脚を見る。机にぶつけて出来た痣がない。


誰?誰の体…?


「鏡を貸して下さい…!」

「か、鏡ですか?あちらにございます」


走って駆け寄る。

鏡を見た私は、驚愕した。これは私ではない。


これは…



「ミミリア・ルーヴェルトン…?」





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