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青い瞳のペンドルトン  作者: 若宮葉子
3/7

私と彼と酒場の主人2

「一週間以内」

「…」

「前話で一週間以内に投稿するといっていましたね。今は何曜日ですか?」

「……」

「その上これで三話目になるというのに彼の姿が見えません。某作品では首がもぐっといかれたり唐突に轟沈したりする時期ですよ。いつまで引っ張るつもりですか?稚拙で回りくどい文章しか書けないんですから自分で提示した期限位守ってください。ただでさえいるのか怪しい読者様から見捨てられますよ?」

「…………」

「黙っていては何もわかりませんよ?はっきり言葉にして教えてください。あなたはこの落とし前をどうつける気ですか?」

「…回想パート突入まで毎日更新します…」

「言いましたね。約束しましたね。聞きましたよ。言質取りましたよ。次はありませんからね。」

こんな会話の果てに初投稿。

書き溜めって難しいのね。

征暦1882年6月13日。私が酒場で働き始めて3か月ほど後の事だ。

その日、酒場の主人は朝から店を留守にしていた。酒場ギルドの寄合へ出席するためである。


「魔王が倒されたからって、王都までの主要な街道の閉鎖が撤廃されたろ?街道たどって王都まで攻め上がってくる連中がいなくなったからな。」

早朝、出かける支度をしながら主人が私に向かって言った。いつになく気合を入れてめかしこんでいたが、気だるげな様子は隠そうともしていなかった。


「そのおかげで、これまで王都に届かなかったモンが来るようになったり、品物運ぶ荷馬車にしても回り道をする必要がなくなったりで……要は仕入れされるモンがより早く、安くなる訳だ。するとどうなる?」

仕入れ値が安くなれば、店頭に並ぶものの値段もまた安くなる。経済は専門外な私でもわかる、簡単な理屈だ。


「その通りだ。ところがどっこい。だからと言って売値を好き勝手下げるわけにもいかねえんだ。ギルドのお達しでな。」

ギルドとはパン屋ならパン屋同士、鍛冶屋なら鍛冶屋同士、というように同業者たちがあつまって形成される寄合の事だ。所属する者同士が密に連携を取ることで、相互援助、共存共栄を実現するのだ。ただし、そうしたメリットを享受できる反面、提供する商品の品質や値段は厳密に規定され、各人の自由な商売というのは阻害される…だったか。大分昔に読んだきりの本の受け売りだが。


「よく知ってるな。そうだ。品物一つの値段を下げるにも話し合いが必要なのがギルドってもんだ。」

主人がため息交じりにこぼす。心底うんざりだ、という表情をしていた。


「まあ、その程度の決定なら手早いんだがな。今回は桁が違う。街道が復旧したおかげで売値だけじゃなくて仕入れの手順の見直しについてから話し合わなきゃならん。バロックとウィーゼルが揉めるだろうなぁ。まったくまだるっこしくてしかたがねえ。どれだけ時間がかかることやら。」

今日の寄合は既存の体制を解体し、新たな体制を作り上げるための話し合いだ。酒場ギルド傘下最大手であるバロック商会とウィーゼル酒店は更なる利益獲得に向けて互いの腹を探り合うだろうし、その他大勢の参加者もそのおこぼれをあずかろうと深謀深慮、あらゆる策をめぐらせることだろう。であれば、平穏な話し合いなどあるはずもなく。主人が嫌がるわけだ。私は納得しうなずいた。こんなもの、面倒以外の何物でもない。


「……まったく。面倒な手続きなんざ抜きにして、俺は酒を出す。来たやつらはそれを飲む。酒場ってのはそれで十分だろうに。」


 そうため息交じりにぼやき、主人は寄合に向かった。私はその背中を見送り、店の戸に「臨時休業」の看板を立てる。店主不在で店を開けるわけにもいくまい。深呼吸をすると、早朝のひんやりとした空気が喉を通った。良い一日になりそうだ。腕を上に向かって伸ばし大きく伸びを一つ。全身の骨をこきこきと鳴らしてから、私は扉を開けて薄暗い店の中に戻った。


【次】明日

【用語解説】王都:「大陸」南部に位置する城塞都市。読んで字のごとく「王」の座す「都」。「大陸」における物流、文化の中心地であり各商会の本舗、学校などの教育設備も充実している。また、先王からの伝統でデミヒューマン…亜人種への融和が積極的に行われている。

【今日の一言】ロボット物書きたい。

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