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緋碧ノ娘  作者: 桐夜 白
11/11

緋碧ノ娘 11


王の間で、冷たい国王の目が娘と王子を見下ろす。

捕らえに行った娘が城に居たことに驚いた心は見えたが、ソレ以外は未来で体験した時と変わらなかった。


王子が娘の前に立ち、王と言葉を交わすも、根本的な思想から異なっている為か、和解はできそうになかった。

王は実の息子である王子に、部下達に「処刑せよ」と命じると、王子の心には悲しみが過ぎる。

無理もない、実の父親なのだから…。


娘はソレを想うと、剣を構え、王子の前に立った。

驚く王子を手で制すると、娘は大きな声で言い放つ。



「国王!

貴方は女神──アカーナ神の言葉を忘れてしまった!

国が始まった時の、女神の言葉を!!」



娘の言葉に、国王は変わらず鼻であしらうように笑う。

娘はソレに、剣を構え、凛と静かで美しい歌声で歌を歌い始める。

ソレは大きく、美しく、まるで花が(ひら)くような歌声。


──私は成すわ、私にしか出来ないコノ力で!


途端混乱する王の間。

兵士が兵士を捕らえ、兵士が国王を捕らえ、国王が兵士を捕らえだす。

混乱する声の溢れる中で、自由に動けるのは最早、娘と王子だけだった。


「コレが、“他人を操る力”…」


王子の驚く声が耳に聴こえた。

王と臣下は娘の力によって自らが自らを捕らえ、娘を捕らえようと走った部隊も、王子の部隊によって捕らえられた。


そうして王の企みは(つい)え、王国には平穏と静けさが戻る。





今日もまた日が昇る。

柔らかな歌声が天へと上り、穏やかな空気があたりを包む。

王子が娘を見ると、娘は首を傾げ柔らかく微笑んだ。



人間の王子に惚れるも、アノ日、王子を失った日に、天界で悲しんでいた娘──アカーナシャル。


母──アカーナ神はソレを哀れに想い、時を巻き戻し、娘に特別な力を与えた。

けれどもソレは試練だったのだ。

ソノ力を使って、過去を変えられれば、願いは叶う…。

王子と笑い会える日が来る。



娘の口からそう聞いた王子。

驚きはあったものの、娘が愛しい人であることには変わらず、王子はいつものように娘を慈しみ、大切に想った。


そして後に王として即位してもソレは変わらず、王子は娘を王妃とし、同時に神殿の神聖な存在として崇めた。


国の始まりの女神──アカーナ神の可愛い可愛い可憐な愛娘。

“心を読む力”と“他人を操る力”と“時を巻き戻す力”を持った娘──アカーナシャル。





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