表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
緋碧ノ娘  作者: 桐夜 白
10/11

緋碧ノ娘 10




城の門の扉が開かれる音がした。

多くの馬の走る大きな音と、響く大きな声に国中が驚く。


「国王が動き出したのね…。

私を捕らえる為に緋碧宮に向かっているんだわ」


城の螺旋階段の壁に背をつけ、窓から走る馬と兵達の背を見る。


「…行こう、君の話してくれた風景、きっと地下だ!」


王子が離れてゆく兵達の姿を見つめ、娘の手をぎゅっと握り、手を引いて階段を駆け下りてゆく。

外からは夜中であるが、人々のざわめく声が聞こえ始めていた。





城の地下には数人の臣下達が捕らえられていた。

全て、王子と親密な関係であったり、王子を影ながら支えてきた者達だった。


王子が目を見開く。

王子の言っていた行方不明になっていた臣下達は、王によって地下牢で捕らえられていたのだった。


娘が王子を見上げる。

裏でこんなことが起こっているのを知らなかったから、王子はとても傷ついたような、驚いた表情をしていた。

牢屋の鍵は閉まっていたが、王子は「コレは王族しか知らない隠し開け方だ」、と言って、あっさり牢屋を空けてしまった。

余程臣下を信頼しているのも見て分かったし、余程大切になさっているのも見て分かった。

とても、必死そうだったから。


「早急に兵を集め、事態を伝えよ!

緋碧宮へ向かった兵達も追い、捕らえよ!

国を、アカーナ神様の教えを守る為に!!」


王子の声が鋭い眼差しと共に臣下にかかる。

助けられた臣下達は散り散りに己の成すべきことの為に走り、国を守る構えを見せた。



「私も、成すべきことをします」


静けさが伝う地下牢で、娘がそう静かに澄んだ声で言うと、王子は驚いた表情で娘を見る。

酷く心配した心が見えた。

娘は安心させるように、王子に首をかしげ強く微笑みかける。

そしてアカーナ神の剣を携え、地下廊から上へ上がる階段へと足をかけた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ