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27話 アルバム

 アルバム


「なんだ、これ?」

 いつもきれいなはずの春男の家の中が散らかっていた。あっちこっちに、本が置いてある。アルバムだ。

「アルバムか?」

 CDのではない。写真の入っているほうだ。それがたくさん散らばっていた。

「そう。片付けて実家のほうに送ろうかと思って。そうしたら、スペースがもう少しできるからね。」

 オレに言わせれば、一人暮らしをするのにどうしてこんなものを持ってきたのかを聞きたい。そしてこの量は半端じゃない!どれだけあるのだか!

「それで、原稿は?」

「あ、全然できてない。」

「おい!」

 一度、本当に間に合わなくなるかもしれないと思うほどギリギリになったことがあってから、締め切りは早めに言ってある。しかし、それでも全然できてないと言うのは困るのだ。

「全然出来てないって、今までなにやってたんだ!」

「アルバムの整理。」

 しれっとした顔で春男は言った。

「二週間もか!」

「だって、引っ張り出してくるのが面倒で。」

 オレの頭は真っ白になった。面倒なら出してくるな!

「親父さんは?」

「ああ、母さんの出張についていった。沖縄料理習ってくるって。」

 春男の母親は料理研究だ。主婦が趣味の親父さんもついて行ったとなると、アルバムの整頓は頼めない。

「整理なら、オレがやるから、お前はさっさと作品を書け!」

 春男はしぶしぶながら、パソコンに向かった。

 オレはどうして人の家まで来て、他人の写真を整頓までしなければならないんだろうと思いつつも、整頓を始めた。ソファの上まで置いてあるのだから仕方がない。

 箱の中に、かなり適当に写真が入っている。季節もバラバラ、年数が入っているものもあれば、そうでないものもある。人物から風景、よくわからない写真も入っている。

 それにしても、春男の写真をしばらく整頓して気がついたが、春男自身の写真が妙に少ない。人の写真ばかりだ。そこには、高校時代のオレも写っていた。しかし、いつ撮られたのか記憶にない。

「春男、これ、誰が撮ったんだ?」

「ん?ああ、それは、担任の先生だよ。」

「先生が?何でお前がそれを持ってるんだ?」

「卒業アルバムで使わなくなったものを貰ってきたんだ。」

「お前、卒業委員じゃなかっただろうが!こんなに貰ってきて!」

 どうりで、多いはずだ!おそらくこの写真に映っている、半分以上の人間を春男は覚えていないだろう。名前はもっと覚えていないに違いない。春男は忘れ方がひどいから。

 ついでに、春男は卒業委員じゃなかった。なぜなら、オレがそうだったからだ。どこから先生たちがそんな写真を持っていると知ったのだろうか。

「でも、写真って捨てられないんだよねぇ。」

 春男はそう、しみじみと言って、またパソコンに向かった。

 だから増える写真が一方なんだと思った。大量の写真を前にオレは途方にくれた。これは片付くのだろうか?老後のあいた時間つぶしが出来そうな量だ。早く春男の親父さんが帰ってきてくれないだろうか、オレは心からそう願った。


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