魔法の切符
僕の誕生日のプレゼントは何でも願いが叶う魔法の切符でした。
3枚の切符がバラバラにならないように金色のてーぷで留めてあって切取線からピリピリと切り取って使うのです。
切符には願い事を書くところがあって、何を書こうか考えました。
そのとき、おなかが「ぐぅ」となったので僕の大好きなハンバーグが食べたくなりました。
「はんばーぐがたべたいです」と書いてピリピリ切ってお母さんに渡しました。
すると晩ご飯にケチャップのいっぱいかかったハンバーグが出てきました。
すごい!願いが叶ったぞ、次は何を書こうかととても楽しみになりました。
朝までによ~く考えて、スーパーマスクの変身ベルトにしようと思いました。テレビでいつもコマーシャルを見ていて、とても欲しかったのです。
「スーパーマスクのへんしんベルトがほしいです」と書いてピリピリ切りました。ピリピリ切れる音もとてもいい音でわくわくします。お母さんがお出かけしそうだったので急いで切符を渡しました。
お母さんはにっこり笑って切符をポケットに入れてお出かけしました。お昼になってお母さんが帰ってきました。急いで見に行くとお母さんは台所でご飯を作っていました。
「お母さん、切符はどうしたの?」
「まぁ、ポケットの中から切符がなくなっているわ。どうしたのかしら?」
「えぇーなくしちゃったのー」とテーブルを見ると緑色の紙にリボンがかかっている大きな箱がありました。「この箱あけていいー?」と聞いてからお母さんがにっこり頷くのを見て、大急ぎで開けてみるとスーパーマスクの変身ポーズが見えました。
変身ベルトは僕にぴったりで、変身ポーズをするとテレビみたいに雷の音がするので本当にカッコイイです。
切符の残りは1枚だから、大切にしようと机にしまうときに願い事の所にもう何か書いているのに気がつきました。
「あたらしい、おとうさんがほしい」
僕のお父さんは僕が小さいときに病気でもういないのです。これまでお母さんと暮らしてきてお父さんがなんなのかよくわかりません。お母さんに見せに行くと、お母さんはにっこり笑って切符を見ました。そしてポケットに大事にしまいました。
僕は明日が来るのがとても楽しみです。