真理への到達
私はこの物語を綴る過程で、いわば「幸福の追求」と名付けるべき幾重もの扉を開き続け、ついには「真理の扉」と呼ぶべき場所へ辿り着いた。
この一文だけを聞けば、諸君は私を常軌を逸した者、あるいは狂人の類と見なすかもしれない。無論、その推測はある側面において的を射ている。
一般に、凡人が得る突発的な閃きは「病」や「狂気」という語で片づけられる。おそらく私も、その範疇に含まれていると皆様は思われていることだろう。だが、ここで断言しておく。
私が到達した「真理」は、決してそのような浅薄で下卑た幻覚ではない。理由は単純だ。私はもはや凡人ではないからだ――いや、より正確に言えば、私はある日を境にして凡人ではなくなったのである。
その日、私は悟った。この世界の構造を、過去の連なりを、未来の相貌を、そして存在の本質を。
あれはまさしく天啓であった。突如として、神の導きが稲妻のごとく私の精神を貫き、視界を覆っていた薄膜を剥ぎ取ったのだ。
諸君は、この世界がいかにして成立しているかをご存じだろうか。
リンゴがなぜ赤いのか知っているか?
今世界に溢れる言語の本当の意味は?
849677という数字に見覚えは?
量子力学などという馬鹿げた妄想の裏に隠された真実は?
今この瞬間、我々を見つめている存在に気づいているだろうか?
しかし、ここにすべてを書き記すべきではない。今の私には、成すべき使命がある。私と私の隣人たちのための揺るぎなき幸福を築き、そして全ての人々に真理を開示するのだ。
隣人に恒久的な幸福を。
すべての人類に普遍の真理を。
願わくば、諸君もいつの日か、その扉の前に立つことを。
そして、その日が訪れるまで――。
※ 改題「狂人の手記、あるいは殺戮の動機」




