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死者の声  作者: 岡本ゆきえ


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7/8

調査

私がたかおと話をしている間に人影は消えた。

私はスマホをテーブルに置いた。如月の巫女は力を振り絞って人影となり助けを求めてきた。なぜ力のない私とたかおだったのかわからない。私はどうしたらいいかわからなかった。

「如月の巫女か。」

会社の屋上でたかおはつぶやいた。私は空を見る。空は薄曇りだ。私たちは人影を救う事ができるだろうか。

銀のくさびを引き抜くには恐ろしい妨害に合うだろう。私は両手首を見た。まだ赤くなっている。でも負けない。

「ねえ。たかお、呪いを解こう。」私は力強く言った。

「そうだな。」たかおは私を見て頷く。

「如月の巫女にかけられた呪いをどうやって解こうか。」私は不安だ。

「要は銀のくさびを引き抜けばいい訳だ。」たかおは私のほうを向いて腕組みをする。

「呪いを解こうとすると酷い目に合う。」私は言った。

「ならばどうしよう。」たかおは両手を腰にあてた。

「あの廃村のことを調べようよ。」私は調べれば呪いを解くヒントが見つかると思う。

「そうだな。あの廃村は実際にあったのだし記録が残っているはずだ。」

「如月の巫女の事も解るかも。」と私は言った。

「古い文献は図書館にあるはずだ。」とたかおは自信があるようだ。私は薄曇りの空を見た。

「どんな秘密があの廃村に隠されているのかな。」私はぼんやりと薄曇りの空を見ながら言った。

「わからないけど調べる価値はありそうだ。」たかおは私を見た。

「呪いが本当にあるなんて信じられない。死んても魂を封じ込めるなんで。」私は途方にくれる。

「僕もだよ。心霊や呪いは信じなかった。」

たかおは馬鹿にはしていなかったが普通に生きていた。

「如月の巫女の事を調べようよ。」

「どんな文献を調べればいいんだよ。」たかおは悲鳴をあげた。

休みの日、私とたかおは街の大きな図書館へ行った。

毎日人影は私とたかおの前に現れていた。現れては消えた。

私とたかおは図書館の大きなエントランスに入り検索用のパソコンにあゆみ寄った。何から調べていいかたかおは困ったようだ。私は郷土史とキーをたたいた。パソコンのデスプレイに何冊かの本が表示された。廃村の名前がわからなかった。

私は山の村とキーを打った。

たかおとドライブに行った山は葉隠山と言った。

私は葉隠山の村とキーをたたいた。すると葉隠村郷土史という本がデスプレイに表示された。

「たかお。あの廃村葉隠村というのよ。」私は興奮した。

横で見ていたたかおが私の大きな声に驚く。私は恥ずかしくなった。

「葉隠村郷土史読んでみよう。」たかおは私を見た。

「うん。」私はそう言って検索用のパソコンをもとに戻した。

私とたかおは本を探した。図書館は古い建物で書架が多く並んでいる。私とたかおは古い郷土史の書架を探した。

うろうろ歩き私は郷土史の書架を見つけた。たかおも寄って来る。私とたかおは手分けしてたくさんの郷土史から葉隠村郷土史を探る。

「有った有った。」とたかおは真中の書架の下の方から1冊の古びた本を取り出した。

「あったの。」私は小さく喜んだ。

「葉隠村郷土史これだよ。」そう言ってたかおはページをめくった。著者はわからない。ただ記録として書かれている。

「テーブルで読まない。」私はたかおに促した。

「うんそうだな。」たかおは立ち上がった。私とたかおは空いているテーブルを探した。

休みの日の図書館は賑わっており、親子や学生たちがたくさんいた。もちろん年配者もいる。

私とたかおは空いているテーブルに横に並んで座る。たかおが葉隠村郷土史を読み始め私はそれを見守った。

「葉隠村は明治時代に作られたそうだ。」たかおは本を見ながら言った。

「明治時代からあったのね。」私は本を覗き込んだ。

「そんなに顔を近づけちゃ読めないよ。」たかおが文句を言うので私は顔を離す。

葉隠山は昔から林業が盛んな山だと聞いた。それは有名な話だった。しかし葉隠村というのは聞いたことがない。

葉隠村は何のために存在したのか。

葉隠村郷土史には林業が盛んだった頃、山を管理するための村人が住んでいた。と書かれている。

木の枝を伐採したり木を植えたりするのが仕事で田畑を耕す事も無く葉隠村の人たちは潤っていた。

小さな学校が作られ村人たちの信仰のため葉隠神社が奉納された。奉納神事は神職の如月家によって行われた。私はそこで如月の巫女に思い立った。あの人影は如月家の人間だった。

葉隠村に神職の次男と長女がやって来た。

如月家は女の子が生まれると最初の女の子は生涯結婚せず清らかなまま神様の巫女として神社に仕える習わしである。それが如月の巫女であった。

如月の巫女は神主と共に葉隠村の村人たちの尊敬を集めていた。

それが明治時代から受継がれていた。戦争があったものの神職も葉隠村も無事だった。

戦争に行った者はほとんど帰ってまた林業を始めた。

たかおは本を読み小声で私に説明した。

「如月家は不思議な力があるんだ。」たかおは言った。

「戦前、葉隠村は林業で潤って村人たちは財をなし戦時下も困らなかった。葉隠山は如月家の物だったんだよ。」

「そうなの。村人で富を分あっていたのね。」私は如月家に感心した。如月家は今もあるのだろうか。如月家は神職で山林王でもあったのだ。

葉隠村郷土史によると如月家の神主と巫女が出征する人を内緒で拝めばみんな生きて帰った。戦死する者がいなかったのである。

時代が時代だけに祈祷は秘密のうちにおこなわれた。神主が祝詞を高らかに読み如月の巫女がお神楽を舞った。





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