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死者の声  作者: 岡本ゆきえ


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呪われし者

私たちはしばらく会社の外に佇んで黒い人影を探した。

「ゆっくり帰ろう。」たかおが言ったので私達は歩き始めた。

私は黒い人影を探しながら歩いた。遠くでぼんやりとした黒い人影がいた。周りの人は気付かす通り過ぎる。

私たちは黒い人影に近づいた。黒い人影は消えず私たちを待っていた。

近づくにつれて人影は大きくなり人の背丈になった。私は手を伸ばし人影の腕をつかもうとした。だが私は空を掴んた。

道行く人が不思議そうに見て行った。私たちはどうしていいかわからずに立ち尽くした。

「助けて。」黒い人影が苦しむように言った。私は心の中で言った。「助けてあげる。」黒い人影は霧のように消えた。

たかおは私の顔を見た。

「たかお人影と約束したわ。助けてあげるって。」

たかおは頷いた。

「問題はどうするかだな。」たかおは頭をかいた。

「あの廃村の廃神社へ行って銀のくさびを引き抜けば人影は解放されるわ。」とわたしは確信している。

「でも呪いが強くて夢の通りになる。」たかおは真剣だ。

「たかおの言うとおりだと思う。」私たちは歩き出した。

夢の通りあの廃神社にある藁人形の銀のくさびを引き抜こうとすれば私の両手首はねじ曲がり引きちぎられる。呪う者はそう警告したのだ。

駅の中に入り私たちはベンチに腰をおろした。人影が男性なのか女性なのかわからないしなぜ藁人形に魂が封じられたのかもわからない。わからない事だらけだ。

「今度あの場所へ行こうか。」たかおは言った。私は財布を出して自動販売機の缶コーヒーを2つ買った。

「いつもたかおのおごりだから。」私はそう言って1つ渡すとたかおの横に座る。

「悪いな。加奈。」たかおは受け取りふたを開ける。

「行ってみようよ。謎を解こう。呪いの正体を暴いてやりたい。」私たちは危険を承知で行く事にした。

「加奈。よく聞くんだ。最初はあの藁人形に触れてはいけなぃ。周りを探るんだ。」たかおは缶コーヒーを飲む。

「わかったわ。何か呪いを解くヒントが周りにあるかも。」

私たちはベンチで缶コーヒーを飲んていた。

私はマンションの鍵を開けた。隣りの部屋には仲のいい伊藤さん御夫妻が住んている。私はリビングに行くとバッグを置き着替えた。リビングに行きベランダのカーテンを見るとそこに黒い人影はいなかった。

私は麦茶を入れるとソファに座って考えた。黒い人影は呪われた者だ。では呪う者はどこに居るのか。答えが出ない。

廃村での呪ってやるの声。夢の中での呪ってやる永遠にというリアルな声。それは呪う者の声だ。

私は食事を作りにキッチンへいった。

それから私たちは会社で普通に仕事の日々が続いた。

あの人影を時々目にしながら私とたかおは日常を送った。

でも怖くなかった。人影を助ける方法がないものかと私とたかおは考えた。

屋上に私たちはいた。廃村の廃神社に行っても手がかりが無かったら。私たちはどうすればいい。

私の夢の中で両手首がもぎ取られたのは廃神社に近づくなという呪う者の警告だ。

「たかお廃神社に秘密があるかも知れないよ。」ふと私は思った。

「封じられた者は誰なんだろう。」たかおは考えながら青い空を見上げる。

「聞いて見る。」と私は言った。たかおは私の顔を見た。

「私の部屋に人影が出てきたら聞いてみるわ。」と私は決める。もうわからないので人影に聞くしかない。

「うんそうするしかないな。加奈が言うのなら。」

降霊術はやるつもりは無い。ただ純粋にあの人影に語りかけるのだ。私は決心した。

「心配無いとは思うけど人影に聞いたら連絡くれよ。」

「わかったわ。」

私とたかおは平常どおり仕事した。

仕事が終わると私ははやる気持ちが抑えられない。そんな私をたかおは私をコーヒーショップに連れて行ってくれた。

私とたかおはコーヒーのレギュラーサイズを前にテーブルに着いた。人影は道路を歩く時、ちらほら見えた。私とたかおは人影に取り憑かれているのかも知れない。だが人影は助けを待っていた。

「加奈落ち着けよ。」

たかおは私を心配そうに見つめる。私はドキドキした。

「落ち着いているわよ。」私はたかおを突き放す。

「ならいいけど。」たかおは笑ってコーヒーを飲んだ。

「他人事だと思って。いくら人影が悪い者でなかったとしても怖いわよ。」私はコーヒーをブラックで飲む。

「得体が知れないか。勇気いるよな。」

「とにかく人影に聞くしか無い。」私はコーヒーを飲んだ。

「そうだよな。それしか思い浮かばない。」

「何を聞けはいいかな。」私はたかおの顔を見る。

「加奈に任せる。」たかおは私の顔を見た。

たかおに任されたものの私は何を聞くか考えた。

「あなたは誰。呪いを解く方法はいるの。取り敢えずそんな事を聞いて見ようと思う」私は自信が無かった。たかおは深く考えて言った。「何かあったら知らせてくれ。」私とたかおはコーヒーを飲み干し立ち上がった。

私とたかおは人影を意識しながら駅まで歩いた。私はたかおと別れるとマンションまで歩いた。

マンションのエレベーターに乗り部屋の鍵を開ける。玄関で靴を脱ぐ。

リビングに行き鞄を置いて着替えた。バワハラ上司はいつものようにパワハラを振りまいていた。毎日なので気にしなかった。私の部屋に人影は現れて答えてくれるだろうか。

私はエプロンを付けてキッチンへ行き冷凍室から作り置きの炒飯を取り出してレンジに入れた。冷蔵庫から麦茶を取り出しコップに注ぐ。私は炒飯が温まるのを待っていた。

温かい炒飯と麦茶を持ってリビングに行った。ソファに座り炒飯を食べ始めた。

時々ベランダの方を見る。私はゆっくり時々炒飯を食べるとキッチンで食器を洗った。リビングに戻りソファにぐったりともたれた。仕事の疲れからうとうとした。

「助けて。」弱々しい声がした。

私は目を開けた。眼の前に人影がいた。私は驚いたが怖くはない。

「答えてくれる。」私はゆっくりと人影を見上げで尋ねた。

「あなたは誰。どうやったらあなたを救える。」

「苦しい。解放して。」人影は弱々しく言った。私は人影が苦しんでいるように見える。

「私は呪われて死んだ。」死んだ。私は心の中でくり返す。

人影は死者だった。呪い殺してもまだ呪う。私は呪う者の本当の恐ろしさを知った。人影は死んて魂になってもあの廃村の廃神社の藁人形の中に封じ込められている。

そして銀のくさびを打たれて苦しんでいる。呪われし者への残酷な仕打ちだった。

「助けてあげたいの。どうしたらいい。」私は悲痛な思いで人影を見上げる。私が知りたいのは呪いを解く方法。

「銀のくさびを引き抜けばいい。」苦しそうに人影は言った。

「わかってる。でも邪魔されるわ。」私は夢を思い出していた。

永遠に呪われし者の呪いを解く方法はわかったが呪う者が邪魔するだろう。ならば呪う者はどこに存在するのか。

「あなたはなぜ呪われたの。」私は人影を見上げた。

「心を受け入れ無かった。」苦しそうに人影は言った。

「あなた、女性なの。」私は尋ねた。

「私は如月の巫女。あの神社に仕えていた。」

あの廃村が賑やかだった頃、神社に如月の巫女という女性がいた。神主と共に神事を行っていたが心臓麻痺で急死してしまったと人影は言った。それが呪いだとは誰も気づかなかったという。大変強い呪いで如月の巫女が亡くなったあと魂が藁人形に封じ込められた。呪う者は思いを残して命を終えた。

なぜ呪う者は強い呪いで如月の巫女を藁人形に封じ込めたのだろう。まだ謎が残る。

「永遠に縛るため。」苦しそうに人影は言った。

「永遠に縛るため。」私は繰り返した。

「私は浄化できない。あの中に封じ込められて苦しんでいる。」私は目を反らした。 

「呪う者はどうしたの。」私は人影を見上げる。

「あの神社に宿っている。」呪う者も魂となり廃神社で封じ込めた如月の巫女を見はっていた。だから私とたかおが呪ってやると声を聞いたのだ。

私は人影の前で鞄からスマホを取り出したかおに電話をかける。

「人影が現れたんだけど。」たかおは驚いていたが怖がりもせずに私の話を聞いた。

























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