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死者の声  作者: 岡本ゆきえ


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1/5

廃村の廃神社

私とたかおは車に乗った。

なんとなく二人でいたくて休みの日山へとドライブだ。私とたかおは同じ会社て知り合った。

パワハラのクソ上司がたかおの提案を取って上から評価され企画に登る。こんなことある?

私は加奈、真面目に会社員やってる。たかおは私より2個上、彼女いたけどクソ女でたかお振って金持ちと結婚した。本当わかってない。

で私が励ましてると付き合おうってことになった。

真面目なお付き合いだよ。

車は山のハイウェイを走った。私は窓を開けた。気持ちいい風があって私は上機嫌。

「たかお憂さ晴らししようよ。」

「ちょっとそれるか。」たかおはスピードを落とし脇道に行った。

深緑が綺麗だ、。鳥が冴えずって遠くで川のせせらぎが聞こえる。とても心が和む。

「なあ加奈少し歩かないか。」

「うん。景色もいいし。」

私とたかおはすぐ帰るつもりで車を止めた。

たかおと私は車から降りて思い切り新鮮な空気を吸った。

「自然はいいなあ。」とたかおは上を見上げた。

鳥たちが木々を飛び移る。

この辺りは昔村があってたくさんの村人がいた。

でも時代と共に人々は山を離れ森になった。

林業も廃れたと言う。ハイキングコースがあって他から登山にやって来る。バードウォッチングにやって来る人もいてとてもいいところだ。

私とたかおは歩き始めた。

私は村がどうなったのか知りたくなった。人々のいなくなってしまった村にノスタルジーを抱いてしまう。廃村はひっそりと取り残されているのだろう。

たかおはゆっくりと歩いた。2人ともGパンにトレイナー。

「たかお。写メ撮ってもいい」

「うんいいよ」たかおは立ち止まる。

私はたかおのとなりに行き自撮りした。たかおも自撮りする。私たちは笑いあった。

私は幸せだ。たかおは優しい。山を歩きながら廃村を目指した。

「加奈、おなか空かない。」

「まだお昼じゃないよ。朝何食べたの。」

「チキンラーメン。」

「体に悪いよ。サラダ食べなよ。」

「めんどくさいからさあ。」と照れながらたかおは笑った。

「お金あるじゃん。たかお働いてるし。まさかギャンブル。」冗談まじりで私は言った。

「やるわけないよ。」とたかおは笑った。

「わかってる。真面目なとこ好きだもん。」

深緑の中を歩くと朽ちた家があった。骨組みだけで原形を留めていなかった。かっては人が暮らした場所だ。村人たちが林業を止め山を降りてから村は静かに眠っていた。

ここは廃村ではなく遺跡だ。古代のロマンを感じるように私とたかおは歩いて行った。

廃村には寂しさがあった。いたであろ村人たち、子供の賑やかな声、温かい食事、廃村は沈黙する。

どれも骨組みだけで原形を留めない。

「寂しさなあ。廃村は」とたかおは廃虚を眺めた。

「そうだね。なにか寂しい。」

私たちはしばらく廃虚を眺めた。

古ボケた木材に苔がびっしり張り付いていた。苔は生きていて廃虚を命で包み込んでいた。

たかおは苔を優しく触った。

「やわらかいな。廃虚にも命があるんだね。」

包み込むようにたかおは言った。

「廃村て別世界だね。まるで時間が止まってるみたい。」私はたかおの側に行った。

「そうなのかも知れない。ここには時間がないんだ。忘れられた世界だ。」

私はたかおと廃村を散策した。

日常を忘れられたらどんなにいいだろう。パワハラ上司のことを忘れたい。悲惨なのはたかおだ。企画案をパワハラ上司に取られたのだからたまった物ではない。私はたかおのメンタルが心配だ。

たかおは穏やかなな顔をしている。

私たちはゆるい坂道を登った。しばらく廃虚の坂道

を行くと古ボケた石の鳥居があった。石の鳥居も苔むしていて歴史を感じる。

「なかに入ろうよ。」私は興味があった。

「しっかり作られてるね。」と嫌がりもせずにたかおは言った。

「ねえ。どんな神様が祀られていたんだろう。」私が言うとたかおは鳥居を見上げる。

「そうだな。八百万の神様とか、天照大御神とか。」たかおは石段を登った。私もついて行く。

古ボケた石段を登って行くと風に木々が揺れ心地いい風が拭いた。私はすっかりハイキング気分だ。

たかおは歩調を私に合わせて歩いてくれた。

少し長い石段を上がると大きな広場についた。周りを深い森で囲まれひっそりと大きな廃虚があった。

これも骨組みだけでびっしりと苔に覆われている。

山村の廃虚と同じだった。苔むしていてどこか寂しい。八百万の神様はおらず時間だけが止まっている。私たちは柏手を打って頭を下げた。

「おなか空いたね。」私がセイコーの腕時計を見るとお昼近かった。たかおも自分のジーショックを見た。

「車に戻ろうか。加奈の弁当置いてきたな。」

私はたかおのためにお弁当を作った。料理屋の娘なので料理は好きだ。それに男が手弁当に弱いことも知っている。私たちは背伸びをして木立を見た。

私は1本の木に変な物がついているのを見つけた。

「ねえ。たかおあれ。」私はまっすぐ人差し指を伸ばした。

「えっ。」たかおが驚いて見つめた。体が震えている。私は信じられなかった。

「あれ。藁人形じゃない。」私は戦慄した。

「行ってみよう。」私たちは確かめるために変な物のそばに駆け寄った。澄み渡る空に鳥たちがさえずっていて私は違和感を覚えた。

それは森の中の廃虚にあってはいけない物だった。

「これ新しいよ。」私は震えながら言った。

釘は太く銀色に光っていた。藁人形はしっかりと編まれ赤い紐でまとめてある。

「誰がこんな廃虚に丑の刻参りをやったんだ。」

釘を打つことは木を傷つけることになる。

藁人形には呪った相手の名前も写真もつけられてはいなかった。私たちは恐ろしくなり石段を降りた。

早足で廃村を出て車に戻る。

私たちはびっくりしてしばらく黙っていたがたかおが背伸びをした。

「おなか空いたね。」とたかおはいい私は車の後部座席からリュックを取ってお弁当のパックを出した。

「怖かったね。呪う人いるんだ。」と私が言うと

「幽霊よりも怖かった。」とたかおは満足顔でおかずをほうばった。

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