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銀色の砂漠の物語-1

今回は、シルラ視点でのお話です。

 これは、シリカ国に行った時、あの衝撃的な事件を目の当たりにした時の話。


 トラキノスから西に旅をし、それからは船旅を続け半島や島を転々とし、最終的に島国カルタ国へ。カルタからは大陸へと上陸し、トラキノスへ帰省を目指して旅をしていた。


 だけど旅の道中、シリカの話を聞いた。今まで散々、色々な文化に触れてきた。だから、シリカ国の文化にも触れたくて俺は寄り道感覚でシリカに行くことにした。そこから船を使えばトラキノスに帰れるという情報を持って。


 シリカは古代より栄える国で、文化も独特だった。周りを海と砂漠に囲まれているから他国からの侵入も少なく、トラキノスの向かいの大陸で向かいの国だというのに、その文化は独自のものを保っていた。


 そんなシリカを俺は満喫していた。予定ではメケシェトという街で船に乗って川を下り、トラキノスへ帰る予定だった。――――そこの港で、一人の少女と出会った。銀髪の少女はベンチに座り、誰かを待っているようだった。


 最初は特に気にしてはいなかったから声はかけなかった。港へは出港時間を確認するために来ていて、トラキノス行きは三時間以上待たなければならなかったから、それまで街をふらついていた。だけど、港に戻ってきた時にも、少女はベンチに大人しく座っていた。乗船場所に立っている男に聞いてみると、少女は朝早くからずっとここにいたと話していた。


 気になったから、俺は少女に声をかける。彼女はアンジェティというらしい。とある人物を待っているとのこと。


「その人って……?」


 失礼かもしれないと思ったけど、俺は聞いてみた。


「とても大切な人」


 アンジェティは言う。


「今日、ここで待ち合わせて、一緒に向かいの大陸に行くって約束したんや」


「向かいの大陸? 国は決まってないの?」


「誰も私らのことを知らん国へ行きたいんや。私らは銀髪の種族ってことでこの辺では有名。せやから、誰も知らない所に……」


 その時、アンジェティは急に頭を抱えうずくまった。


「え、ど、どうした!?」


 少女は顔を上げ、苦しそうな顔を見せて言った。


「ちょ、ちょっと頭痛が……。大丈夫や、もう収まった」


「ほんとに、大丈夫?」


「大丈夫や……」


 その時、背後から声がした。


「見つけたぞ」


 振り返ると、銀髪の男がそこにいた。アンジェティと同じ種族……?


「異端者め……逃げれるとでも思ったか!」


 アンジェティが異端者!? どういうことだ……?


 俺の頭は混乱していた。だけど、理由もわからずに彼女を見捨てることはできない。今まで色んな国を見てきて、ありえない理由で異端扱いされている人を見てきたから。


「ちょっと、勘違いしないでくれる? この子、俺の彼女」


 男を突き飛ばし、アンジェティを抱き寄せて俺は言った。


「何言ってんだお前。こいつは異端の巫女、アンジェティやぞ!」


 男が手を伸ばしてきた。俺はアンジェティの頭に手を添えながら強く抱きしめた。


「だから、勘違いしないで。この国以外にも銀髪の種族が住む国はあるんだ。この子は大陸中央のスタニーって国で見つけた。スタニーにも銀髪の種族はいる。お前、知らないのか?」


「嘘つくんやない! そいつはどうみてもアンジェティや!」


「アンジェティじゃない、ウェルゼ。俺の恋人。な、ウェルゼ?」


 俺はアンジェティを抱きしめる強さを緩めて、頭から手を離した。アンジェティは頭を上げ、黙って頷く。そして俺にしがみつく。


「俺にはアンジェティにしか見えねぇ。本当にスタニーの女なら、証拠を見せてくれや」


「ふぅん。スタニーの女、じゃなくて俺の恋人なんだけどね」


 ここでアンジェティにスタニーの知識を話させれば、確実にこっちの負けだ。彼女に申し訳ないとわかっていたが、俺は彼女にキスをする。


「ウェルゼ、こいつと関わっていたら危険だ……。もう行こう!!」


 俺はアンジェティの腕をとって駆け出した。自慢にはならないししたくないけど、逃げ足には自信がある。


 細い路地を通って、追いかけてくる男を巻く。アンジェティの息が上がってきた。早く安全な所に行かないと……。


「ア……ウェルゼ、あとちょっと頑張って……」


「う、うん!」


 息を切らしながらアンジェティは言う。


 路地を走り回っていると、河川敷に出た。多分、港の川とは別の川。俺達はじゃりの上に腰掛けた。


「あ、ありがとうな……助けてくれて……」


 アンジェティはこちらを見ようとしない。当然のことだと思う。


「いや、こっちこそ……なんていうか、ごめん……」


 そういう俺もアンジェティに目を合わせられない。


「そんな! わ、私はすごく感謝しとるから! せやから、謝らんで!!」


 叫ぶようにアンジェティが言った。ちらりと彼女の方を見ると、また目を反らされた。


 俺はまっすぐ川を見る。そして、聞かなければならないことを口にする。


「あのさぁ……異端って、どういうこと?」


 アンジェティの視線が自分に向けられているのがわかる。彼女は動揺したような声を出す。


「いや、俺はさ、色んな国を旅してきて、ありえない理由で異端とされた人を見てきたんだ。だから、アンジェティはどんな理由なのかと……」


 アンジェティは言いにくそうに答えた。

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